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雪組 沙央 くらま

1月1日から31日まで上演、2011年の幕開きを飾る雪組宝塚大劇場公演は、世界で最も知られている永遠の純愛物語をミュージカル化した『ロミオとジュリエット』。 新トップスター音月桂を中心とした新生雪組の宝塚大劇場お披露目公演で、歌唱力に磨きをかけた沙央くらまが、キーパーソンとなる初めての女役に挑戦する。

すばらしい曲を歌う 憧れのシェイクスピア作品で

1月1日、音月桂を新トップとする新生雪組披露公演、ミュージカル『ロミオとジュリエット』が宝塚大劇場で初日を迎える。シェイクスピアの同名原作を、ジェラール・プレスギュルヴィックが現代的解釈でミュージカル化したのがオリジナル。2001年、フランス「パレ・デ・コングレ・ドゥ・パリ大劇場」での初演後、世界各地で上演され続けている大ヒット作品だ。小池修一郎氏が宝塚的に潤色・演出し2010年7月、宝塚歌劇団星組により梅田芸術劇場と博多座で上演したのが日本初演である。

 キーパーソンの乳母役を演じる沙央くらまさんに、熱い注目が集まっている。男役10年目の節目で、初めて女役に挑戦するのだ。
「乳母の役でオーディションを受けたのは、男役では、私だけでした。ショー『ソロモンの指輪』でダルマ衣装を着て踊ったことはありますが、お芝居の女役は全く初めてです。『ベルサイユのばら』新人公演で演じたオスカルは、役自体は男役ですから。でも、これまでとはちがう角度で自分がやってきた男役を見直すことができる、いい機会をいただいたと思っています」

 正直なところ、新しい雪組がスタートするお披露目の新春公演で、男役ではない役を演じることに一瞬、戸惑いも感じたという沙央くらまさん。だが、いつかは出演したいと熱望していたシェイクスピア作品、しかも小さいころから馴染みのある『ロミオとジュリエット』、役者として自分を磨く絶好のチャンスである。
「宝塚の男役も一人の役者として厳しく評価される時代です。自分を甘やかさず、鍛え続けていかなければ。ミュージカル『ロミオとジュリエット』はたくさんのすばらしい曲で綴られた作品で、色々な役にソロが与えられています。小池先生自身、オリジナルをごらんになった時、乳母がすばらしい曲を歌うことに衝撃を受けたそうです」

 沙央くらまさんは研7だった2007年、新人公演『エリザベート』で主役トートを演じており、その歌唱力に期待がかかる。
「私の両親がシェイクスピアをすごく愛していて、今回の雪組公演をとても楽しみにしているんです。乳母はジュリエットの母親と同じ30代の設定で、夫も娘も亡くした苦労人。ユニークな役柄で、コミカルに描かれた部分もあるので、ユーモアを大事にしつつ、人生経験を積んだ人の深い思いを根底に感じさせられるよう、がんばります」

沙央さんはシェイクスピアに造形が深いご両親の影響で、小さいころから日常的に演劇の世界に親しんできたという。
極めつけは芸名の「沙央」。シェイクスピアの和名「沙翁」から、小田島雄志氏が命名した。
 
 沙央くらまさんの初舞台は2001年、『ベルサイユのばら2001』。それから、ずっと雪組だ。雪組で育ち、雪組を支えるスターになった。「真面目な雪組と言われている通り、お稽古スタート時点で、みんな、すごく緻密に譜面を読んでくる。最初に土台をきっちりつくるのが雪組のカラー。その良さをこの作品で生かせたらなと」

 2月、新生雪組により、宝塚版『ロミオとジュリエット』が、いよいよ初東上する。

沙央 くらまさん

2001年『ベルサイユのばら』で初舞台、雪組に配属。06年『ベルサイユのばら』新人公演、オスカル役で新公初主演、07年『エリザベート』新人公演、トート役で新公主演。09年宝塚バウホール公演『雪景色』、早霧せいなと役替りでバウ初主演。
東京都出身/愛称・コマ、くらま

インタビュアー 名取千里(なとりちさと)
ティーオーエー、現代文化研究会事務局/宝NPOセンター理事主な編著書「タカラヅカ・フェニックス」(あさひ高速印刷)「タカラヅカ・ベルエポックI・II」(神戸新聞総合出版センター)/「仕事も結婚も」 (恒友出版)
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