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花組 未涼 亜希

10月5日まで上演中の花組・宝塚大劇場公演は、原作者の池田理代子氏が宝塚歌劇のために書き下ろしたストーリーのもと新たに構築された『外伝 ベルサイユのばら-アンドレ編-』と、現代的でエネルギッシュなスパークリング・ショー『EXCITER!!』の2本立て。 7月『宝塚巴里祭2009』で好評を博した未涼亜希、演技の幅を広げ、大劇場でも存在感を示している。

民衆を率いるベルナール役で 舞台を締める実力派スター

「『ベルサイユのばら』で1番やりたかった役がベルナール・シャトレ。彼は革命派の新聞記者ですが、闇夜で活躍する黒い騎士と呼ばれる義賊でもある。アンドレの目を傷つけてしまうので、アンドレ側の視点からみると複雑な思いが絡む役かもしれませんが、本来ベルナールにはロザリーへの愛やオスカルとの友情があり、民衆のリーダーとして貴族と闘い続ける熱い人間です。そんなベルナールの姿に魅力を感じています」と、未涼亜希さん。10月5日まで宝塚大劇場花組公演『外伝 ベルサイユのばら―アンドレ編―』に出演中だ。

『外伝 ベルサイユのばら』は、原作者の池田理代子氏が宝塚歌劇のためだけに書き下ろした原案をもとに、植田紳爾氏の脚本と演出により、新視点から描いた新しい『ベルサイユのばら』の世界。2008年にジェローデル編、アラン編、ベルナール編が全国ツアーで上演され、2009年にアンドレ編が中日劇場で幕を上げた。そのアンドレ編に新場面を加えて更にブラッシュアップした花組公演が今、宝塚大劇場を熱い感動の渦にまき込んでいる。

「全国ツアーの花組公演アラン編ではジェローデルのほかに、一市民の役で革命のシーンに出演しましたが、今回はその革命シーンで市民を引っ張っていくベルナール役なので大きな責任を感じます。大劇場に初登場した『外伝 ベルサイユのばら』をたくさんのかたに観ていただきたいですね」

 ショー『EXCITER! !』との2本立てのため、『外伝 ベルサイユのばら―アンドレ編―』は1時間40分に凝縮された舞台だ。だからこそ、颯爽と舞台を駆け抜ける未涼ベルナールの活躍を見逃すわけにはいかない。

 宝塚歌劇95周年の今年、最もフランス革命に縁があったのが未涼亜希さん。毎年7月に開催される恒例の「宝塚巴里祭」に主演した。ディナーショーの中でも特別華やかな「宝塚巴里祭」。未涼亜希さんはホテルグランドパレスとホテル阪急インターナショナルで、下級生10名を率い22曲を歌い上げ、絶賛された。

「宝塚巴里祭のような大きなことをさせていただけるとは思っていなかったので、お話をお聞きした時は驚きましたね。巴里祭は基本的にはシャンソンが中心ですが、ジャズ、スパニッシュ、タンゴなど、自分の好きな曲をやっていいよ、と演出の中村一徳先生が特別にアレンジしてくださって、いろんな色の場面を創ることができました」

 1998年の初舞台以来、新人公演『天使の季節』『La Esperanza』に主演している未涼亜希さんだが、「自分が主の作品はまだ経験していなくて、『宝塚巴里祭2009』主演は心底、うれしかったし楽しかったですね。たくさん吸収でき、一つの自信につながりました」

 今年のお正月公演『太王四神記』でも、高句麗の隠れ里・コムル村の村長ヒョンゴに扮し、幕開けに登場。はっきりと落ち着いた語り口で偉大な王タムドク誕生のドラマに観客を引き込んでいった未涼亜希さん。

「こんな色も出せるんだ、と言っていただける舞台人を目指しています」
 無限の色を吸収し、白く輝く、旬の男役である。

未涼 亜希さん

1998年『シトラスの風』で初舞台、花組に配属。2004年、『天使の季節』で新人公演初主演。09年『宝塚巴里祭2009』主演。
大阪府出身/愛称・まっつ、みすず

インタビュアー 名取千里(なとりちさと)
ティーオーエー、現代文化研究会事務局/宝NPOセンター理事主な編著書「タカラヅカ・フェニックス」(あさひ高速印刷)「タカラヅカ・ベルエポックI・II」(神戸新聞総合出版センター)/「仕事も結婚も」 (恒友出版)
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