トップページ > 2011年10月号 >フェアリーインタビュー

雪組 彩凪 翔

10月3日まで上演中の宝塚大劇場雪組公演は、レオナルド・ディカプリオ主演の映画でも話題となった、A・デュマ原作のミュージカル『仮面の男』と、トランプゲーム“ポーカー”の最高の決まり手をタイトルにしたゴージャスなレビュー、ドリームステージ『ROYAL STRAIGHT FLUSH!!』。 雪組期待の若手男役スター彩凪翔、『仮面の男』でキーパーソンとなる青年・ラウル役を演じ、新人公演ではルイ14世と双子の弟フィリップの二役に挑戦。

『仮面の男』で、ルイ14世に 無実の罪を着せられた男・ラウルを熱演

  雪組の、若手男役スター彩凪翔さんにとって、2011年は飛躍の年だ。

 1月、宝塚大劇場公演『ロミオとジュリエット』の新人公演で、新生雪組2番手の早霧せいなが演じるマーキューシオ役に挑んだ彩凪翔さんは、4月、宝塚バウホール公演『ニジンスキー』で初めて娘役に扮し、その美しさを披露した。そして7月には、バウ・ワークショップ『灼熱の彼方』~「オデュセウス編」と「コモドゥス編」~の「コモドゥス編」に主演。500人劇場の舞台の中心に初めて立った彩凪翔さんは、自身のもつ煌きをさらに引き出すことになった。「バウ主演のお話をいただいた時は、主演の経験がなかったので衝撃を受けましたが、実際に舞台のセンターに1人で立ってみると、ものすごい量のエネルギーがいることがわかり、これまでは出し切れていなかったと自覚しました。その貴重な経験を、大劇場公演に生かしたいと思います」

 9月、宝塚大劇場雪組公演は、レオナルド・ディカプリオ主演で話題になった、アレクサンドル・デュマ原作による映画「仮面の男」を舞台化した、歴史ロマンの薫り高いミュージカル『仮面の男』と、人生の喜怒哀楽をゲームに例えた活気あふれるレビュー大作『ROYAL STRAIGHT FLUSH!!』の2本立てだ。

 今年、初めてづくしの活躍を更新し続けている彩凪翔さんは、バウ初主演に続いて『仮面の男』の新人公演でも主演することになり、「新人公演の主演は、トップスター音月桂さんという大きな御手本がありますので、お稽古場でしっかり見学して学ばせていただいています」と、並々ならぬ意欲を語る。というのも、『仮面の男』ではフランス国王ルイ14世と、双子の弟フィリップの二役を演じるのだ。研6の彩凪翔さんにとっては初の二役。しかも本役でもキーパーソンのラウル役に抜擢され、本公演で初めて通し役として台詞が与えられた。「ラウルはヒロインの婚約者。未涼亜希さん扮する三銃士アトスの弟という設定です。無実の罪で投獄されたラウルは、脱獄を図る途中で、幽閉されている仮面の男がルイ14世の双子の弟であることを知り、兄に手紙で知らせますが、それがもとで処刑されます。ラウルは物語が動き出すきっかけを作る役どころ。台詞や歌で、うまく心を伝えたいです。大劇場公演で上級生のかたと台詞を交わすのは初めてなので緊張しますが、すごく勉強になっています」

 脚本・演出の児玉明子氏からは、ラウルは青年だから、特に前半部分は爽やかに演じるように、と言われている。「実は青年と呼ばれる役を演じるのは初めてなんです」と、彩凪翔さん。
 その彩凪翔さん自身が、客席から見てみたい、と思っている場面がある。

 「ラウルが処刑される直前、同じ舞台の別の空間で兄アトスがラウルからの手紙を読んでいます。その手紙にはバスティーユ牢獄にルイ14世の双子の弟が幽閉されていることが書かれていて、アトスは弟の命を奪ったルイ14世に復讐を誓います。ラウルの幻想の場面として描かれているところが興味深いですね」
 時代は17世紀。ブルボン朝最盛期のフランス。太陽王の異名をもつルイ14世は、バレエを奨励し、ヴェルサイユ宮殿を建設したが、その一方で冷酷非情な暴君でもある。ある日、彩凪翔さん扮するラウルの婚約者ルイーズに出会ったルイ14世は、その美しさに心を奪われる︱。青年ラウルの悲劇が始まる瞬間である。

 彩凪翔さんがルイ14世と、双子の弟フィリップを演じる新人公演は9月20日。豪華な衣装の数々にも、観客は目を奪われるにちがいない。

彩凪 翔さん

2006年『NEVER SAY GOODBYE』で初舞台、雪組に配属。
11年7月バウ・ワークショップ公演『灼熱の彼方−コモドゥス編−』で主演。9月『仮面の男』新人公演で初主演。
大阪府出身/愛称・しょう、あやか

インタビュアー 名取千里(なとりちさと)
ティーオーエー、現代文化研究会事務局/宝NPOセンター理事主な編著書「タカラヅカ・フェニックス」(あさひ高速印刷)「タカラヅカ・ベルエポックI・II」(神戸新聞総合出版センター)/「仕事も結婚も」 (恒友出版)
宝塚の情報誌ウィズたからづか

ウィズたからづかの最新コンテンツ