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星組 音波みのり

3月9日まで上演中の星組宝塚大劇場公演は、第一次大戦後のスペインを舞台にしたミュージカル『黒豹の如く』と、華やかで美しく愛と夢に溢れたショー『Dear DIAMOND!!』―101カラットの永遠の輝き―の2本立て。 生粋の星組生の音波みのりが、勝気で活発な女性フロリンダを芝居心たっぷりに演じ、星組トップスター柚希礼音とトップ娘役夢咲ねねのサヨナラ公演を盛り上げる。

101年の星組公演は宝塚ならではのミュージカルと煌びやかなショーで始まる

 星組トップスター柚希礼音の退団公演が、ついに初日の幕を上げた。座付作者・柴田侑宏氏が書き下ろしたミュージカル・プレイ『黒豹(くろひょう)の如(ごと)く』(演出・振付/謝珠栄)と、同じく座付の藤井大介氏の作・演出によるダイナミック・ドリーム『Dear DIAMOND!!』―101カラットの永遠の輝き―の2本立て。トップ娘役の夢咲ねねも本公演で退団する。

 第一次大戦後のスペインが舞台の『黒豹の如く』でフロリンダという貴族の娘を演じているのが、2005年に入団した91期生の音波みのりさん。柚希礼音と同様、入団後に配属された星組から一度も異動していない生粋の星組生だ。2011年に宝塚バウホール公演『メイちゃんの執事―私の命に代えてお守りします―』のヒロイン東雲メイを演じた。「今現在もDVD等で『メイちゃんの執事』を観て下さっている方が多く、“メイちゃんの姿を観ると元気になります”というお手紙をいただきますが、私のほうがお手紙からパワーをもらっていて、メイちゃん役に出会えたことを幸せに思っています」という。

 音波みのりさんのヒロイン歴を振り返ってみると、その前年の『摩天楼狂詩曲(ニューヨークラプソディー)―君に歌う愛―』でバウ初ヒロイン。ダブルキャストで二役を演じ分けるという未知の可能性に挑戦し、「それまではアンサンブルが多かったので、どう表現したらいいのか悩み続けた毎日でしたが、大役をいただきとてもうれしかったです」。同年の『愛と青春の旅だち』で新人公演のヒロインに抜擢され、『メイちゃんの執事』のメイちゃん役を経て新人公演『オーシャンズ11』のヒロイン、2012年には宝塚バウホール公演『天使のはしご』でもヒロインを演じた。

 「すべて鮮明に覚えています。新人公演時代は毎日、目が回るほど忙しく、少々荒削りなまま突っ走ってきたような気がしますが、新人公演を卒業して本公演だけになると、自分自身と向き合う時間が多くなりました。私に足りないところ、勉強不足の部分などを丁寧に補っていけるように、劇団内外を問わずいろんなジャンルの先生についてお稽古を続けています」

 『黒豹の如く』のフロリンダにはマルセリーノという恋人がいる。彼の故郷のカーニバルが近づき、フロリンダはマルセリーノの両親に紹介してもらえるのを心待ちにしている。だがマルセリーノはカーニバルのことしか考えていない様子で、その苛立ちを親友のモニカに話すフロリンダ。「フロリンダは勝気で活発、元気いっぱいの女性です。マルセリーノを演じている礼真琴さんとはご縁があり、『眠らない男・ナポレオン―愛と栄光の涯に―』では妹、『かもめ』では礼真琴さん演じる主役トレープレフに片思いするマーシャ、『風と共に去りぬ』では礼真琴さんがスカーレット、私はメラニーでした。今回は恋人同士なので、これまで組んできた経験を生かして役の理解を深め、味わいのある人物として存在したいと思っています」

 ショ―の中詰、銀橋を歌いながら渡る音波みのりさんに注目。デュエットの相手は柚希礼音と同期の十輝いりす。178センチの男役と160センチの娘役・音波みのりさんが華やかに銀橋を渡っていく。「大事な場面。心を込めて大切につとめたいと思います」

 小学3年生の頃からモダンバレエを習ってきた音波みのりさんが宝塚歌劇を初観劇したのは、中学生の時。TAKARAZUKA 1000days劇場公演『夜明けの序曲』である。「お芝居に感動したあとに煌びやかなフィナーレがあり、あまりにすばらしくて圧倒されました」。家族との約束で大学受験と並行して挑んだ2度目の宝塚音楽学校受験は、直前まで怪我のために松葉杖とギブスの生活を強いられた。だが「燃え滾る情熱とありのままの自分をみていただこう」と体当たりで挑み、念願の夢を勝ち取った。

 これからの目標をお聞きすると、「宝塚が大好きなので、いつも新鮮に、いつまでも役の人物としてキラキラ輝いていけるように、勉強をしながらがんばっていきたいと思います」

音波みのりさん

2005年『エンター・ザ・レビュー』で初舞台、星組に配属。10年バウホール公演『摩天楼狂詩曲』で華雅りりかとともに初ヒロイン。同年『愛と青春の旅だち』で新人公演初ヒロイン。11年バウホール公演『メイちゃんの執事』でヒロイン。
出身/神奈川県  愛称・はるこ

インタビュアー 名取千里(なとりちさと)
ティーオーエー、現代文化研究会事務局/宝NPOセンター理事主な編著書「タカラヅカ・フェニックス」(あさひ高速印刷)「タカラヅカ・ベルエポックI・II」(神戸新聞総合出版センター)/「仕事も結婚も」 (恒友出版)
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