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宙組 伶美うらら

宝塚歌劇100周年の掉尾を飾る宙組宝塚大劇場公演は、北欧史にその名を残すスウェーデン国王・グスタフⅢ世の波乱に満ちた生涯を描くミュージカル『白夜の誓い―グスタフⅢ世、誇り高き王の戦い―』と、宝塚歌劇ならではのゴージャスでスペクタクルなグランド・ショー『PHOENIX 宝塚‼―蘇る愛―』の2本立てで、12月15日まで上演中。 爽やかな笑顔で池田泉州銀行のイメージガールとしても活躍する伶美うらら、宙組トップスター凰稀かなめのサヨナラ公演で主人公と愛を交わす伯爵夫人を、新人公演ではヒロインのデンマーク王妃を演じる。

伯爵夫人としての気品を湛え   グスタフⅢ世と愛を交わす

 宝塚歌劇100周年の2014年、宝塚大劇場の掉尾を飾るのは宙組公演『白夜の誓い―グスタフⅢ世、誇り高き王の戦い―』と『PHOENIX 宝塚‼―蘇る愛―』の2本立て。この公演は宙組トップスター凰稀かなめのサヨナラ公演である。

 凰稀かなめ扮するスウェーデン王、グスタフⅢ世の美しい恋人、エグモント伯爵夫人を演じているのが、第95期生の伶美うららさん。

 2009年に初舞台を踏み、宙組に配属された伶美うららさんは、研3で新人公演『クラシコ・イタリアーノ』のヒロインに続き、宝塚バウホール公演『ロバート・キャパ 魂の記録』のヒロインに抜擢。その後も新人公演『華やかなりし日々』『風と共に去りぬ』『ベルサイユのばら―オスカル編―』でトップ娘役の役を務め、シアター・ドラマシティ公演『翼ある人びと』やバウホール公演『SANCTUARY』のヒロインを演じてきた。2012年からは池田泉州銀行のイメージガールに就任し、店頭ポスターやパンフレットなどで気品ある優雅な笑顔を披露している。最近、その表情が一段と美しさを増した。今にも語りかけてきそうなほど生き生きと輝いている。そんな薫り高い娘役・伶美うららさんが、主人公と愛を交わす女性を演じる。

 「伯爵夫人のエグモントは夫を亡くしていますが、心の落ち着いた女性です。グスタフⅢ世にとっては唯一、本心から話せて理解し合える存在です。お芝居はスピーディな場面展開で進行しますが、二人の間にはゆったりとした時間が流れるように台詞の言い方などを研究して、伯爵夫人だからこそ出せる雰囲気をつくりたいと思います」

 素顔の伶美うららさんは少しも構えたところがなく、穏やかで自然体の魅力がある。意外なほど率直な話し方に惹かれる人は多いだろう。

 今回、伶美うららさんにはもう一つの挑戦が待っている。新人公演でヒロインのソフィア・マグダレーナを演じるのだ。グスタフⅢ世と不仲のソフィアはエグモント伯爵夫人と対極にある役どころ。「デンマーク王妃のソフィアとグスタフⅢ世は政略結婚ですが、ソフィアは次第にグスタフⅢ世に惹かれていきます。幸せな結婚生活ではありませんが、グスタフⅢ世とは内面的に繋がる部分もあり、思いのこもった深いお芝居をしたいと思います」

 実は、新人公演のヒロインを演じる機会はもうないのでは、と思っていたという。「またさせていただけるとうかがったときは、これまでの経験をすべて生かし、最後の新人公演ヒロインだと思って、最終地点のつもりでやり切ろうと心に決めました」

 2015年、伶美うららさんは新人公演最終学年の研7になる。「長の学年で、下級生を引っ張っていく立場なので責任を感じます。大きな節目の時は私自身も勉強できることが多いと思いますので、いっぱい吸収して、たくさん教えられるようになりたいです」

 同時上演のグランド・ショー『PHOENIX 宝塚‼―蘇る愛―』のプロローグでは、初めてハットを被って踊る。「娘役がハットを被るダンス場面は少ないので、憧れていました」

 芸名には思い入れがある。「覚えていただきやすい名前が1番いいと思って決めました。『伶』という字には芸風の意味が込められているそうです。『うらら』はある瞬間、私の頭の中に生まれてからずっと大事に温めていた名前です。どんな娘役になりたいかと考えて、春の陽だまりのようなイメージに大人っぽさが少し加わった雰囲気が私には合うのかなと」

 特技は水泳だ。幼稚園の頃から10年間続けていたので、体力には自信がある。休日の過ごし方はアウトドア派。今、嵌っているのはバスソルトを入れた湯にゆっくり浸かること。

 1月2日、宝塚歌劇101周年の最初の東京宝塚劇場公演が初日を迎える。

伶美うららさん

2009年『Amour それは…』で初舞台、宙組に配属。
11年『クラシコ・イタリアーノ』で新人公演初ヒロイン。12年バウホール公演『ロバート・キャパ 魂の記録』で初ヒロイン。
出身/大阪府  愛称・ゆうり

インタビュアー 名取千里(なとりちさと)
ティーオーエー、現代文化研究会事務局/宝NPOセンター理事主な編著書「タカラヅカ・フェニックス」(あさひ高速印刷)「タカラヅカ・ベルエポックI・II」(神戸新聞総合出版センター)/「仕事も結婚も」 (恒友出版)
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