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宙組 澄輝 さやと

5月14日まで上演中の宙組宝塚大劇場公演は、1920年代のニューヨークを舞台に、ヨーロッパから渡ってきた移民の青年の愛と野望の軌跡をドラマティックに描いたミュージカル『華やかなりし日々』と、バラエティ豊かに展開するショー『クライマックス』の2本立て。 すらりとした立ち姿が舞台に映える若手実力派の澄輝さやと、第98期初舞台生がデビューし、宙組トップコンビがラストを飾る、春爛漫の舞台を盛り上げる。

色気のある男役を目指しチャレンジ!

 宙組の澄輝さやとさんは芝居・歌・ダンスの3拍子揃った、若手の実力派男役だ。その澄輝さやとさんが満を持して新人公演に主演した作品が、2011年10月から12月にかけて上演された『クラシコ・イタリアーノ—最高の男の仕立て方―』である。2005年に入団した第91期生の澄輝さやとさんにとって、これが最後の新人公演だった。

 「サルヴァトーレは少し陰のある素敵な役だなと思っていたので、演じさせていただけるとわかったときはうれしかったです。大劇場での新人公演終演後に、トップの大空祐飛さんから、受身の役だからむずかしいけれども、サルヴァトーレが何も話さずに人の話を聞いているときに、彼がどう思っているかを表現することで、一層、お客様にはサルヴァトーレという人物が見えてくると教えていただきました。真ん中に立つ経験をさせていただき、それまで以上に作品全体について考えられるようになったと思います。視野が広がったおかげで、お芝居自体も、さらに、すごく好きになりました」

 澄輝さやとさんが新人公演卒業後、初めての宝塚大劇場公演『華やかなりし日々』『クライマックス-Cry-Max-』が、2012年4月13日に初日を迎えた。
 「これから本公演だけになります。お手本があった新人公演とはちがって、本公演では、いただいた役を舞台人としてどう演じるか、これまで以上に自分の個性を出していけるようにならなければ。これからが更に男役として成長できる大切な時期だと思います。特に今回は大空さんのサヨナラ公演ですから、きちんとお送りできる戦力になれるよう、がんばります」

 澄輝さやとさんは、神戸市出身。幼い頃からクラシックバレエのレッスンに通う一方で、宝塚ファンの母の影響もあり、ビデオやナマの舞台を観ていた。1999年、久しぶりに大劇場公演を観劇した時、その舞台のすばらしさに圧倒された。雪組公演『ノバ・ボサ・ノバ』である。その日を境に、私も可能性があるならやってみたいという思いが強くなり、宝塚音楽学校を受験。難関を見事、合格した澄輝さやとさんは2年後、花組公演『エンター・ザ・レビュー』で念願の初舞台を踏んだ。その後、宙組に配属され現在に至る。

 「先日、たまたま、私の初舞台の映像を見ました。憧れの夢の舞台に立っている毎日が、すごく楽しくて、青春だったなと思います。初心をわすれないようにしたいです」

 5月14日まで宝塚大劇場で上演中の『華やかなりし日々』で澄輝さやとさんが演じているのは、ヒロインの野々すみ花が扮するジュディ・レインが所属することになるジーグフェルド・フォーリーズの振付師、ジェームス・エリオットだ。
 「大空さんと一緒に退団する野々とは同期です。今年2月の中日劇場公演『仮面のロマネスク』で、一瞬ですが一緒に踊りました。これまで絡んだことがなかったので、いい思い出です」
 同時上演のグランド・ショー『クライマックス』では、元花組トップスター安寿ミラ氏の振付で、男役数人とビリヤードのキューを使ったダンスを踊る澄輝さやとさん。
 「大好きな場面です。ソフト帽を被り、キューをバトンのように回すのが結構、むずかしいのですが、お楽しみいただければうれしいです」

 2014年に迎える宝塚歌劇100周年に向けての抱負をうかがうと、
「男役は奥深いです。新人公演に主演させていただいて、男役がさらに好きになりましたし、新人公演を卒業した今は以前よりも冷静にいろんな見方ができるようになったと思います。私自身が客席から観て包容力や色気のある男役に惹かれるので、自分もそう感じていただけるような男役を目指してチャレンジしていきたいです」

 色気という魅力は、すぐに習得できるものではないだろう。澄輝さやとさんの「チャレンジ」という言葉には、男役への敬虔な思いが込められている。

澄輝 さやとさん

2005年『エンター・ザ・レビュー』で初舞台、宙
組に配属。
11年『クラシコ・イタリアーノ‐最高の男の仕
立て方‐』新人公演初主演。
兵庫県出身/愛称・あっきー

インタビュアー 名取千里(なとりちさと)
ティーオーエー、現代文化研究会事務局/宝NPOセンター理事主な編著書「タカラヅカ・フェニックス」(あさひ高速印刷)「タカラヅカ・ベルエポックI・II」(神戸新聞総合出版センター)/「仕事も結婚も」 (恒友出版)
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