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月組 沙央くらま

春爛漫の宝塚大劇場月組公演は、日本物レビューの日本絵草子『宝塚をどり』、1900年代初頭の貨客船を舞台に繰り広げられる祝祭劇『明日への指針―センチュリー号の航海日誌―』と、グランド・レビュー『TAKARAZUKA花詩集100‼』の豪華3本立てを4月28日まで上演中。 昨年雪組より組替えし、持ち前の歌唱力や演技力に磨きをかけた沙央くらまが、100周年に湧く宝塚大劇場の舞台をおおいに盛り上げる。

一〇〇周年を飾る日本物ショー「宝塚をどり」で   男役が魅せる美しい若衆姿

 宝塚歌劇100周年に湧く宝塚大劇場では、月組による豪華な三本立てを上演中。華やかな祝典舞踊、初々しさ溢れる第100期初舞台生ラインダンス、華麗でゴージャスな100人の大ロケットなど、宝塚歌劇のエッセンスに満ちたすばらしい舞台だ。中でも伝統の継承と挑戦というコンセプトのもと、二つのテーマを果敢に融合させた革新的な『宝塚をどリ』は、日本物レビューの栄えある未来を約束させる力作である。

 「雪組時代に学んだ日本物のよさをお客様にお伝えするいい機会を、100周年という記念すべき時期に与えていただいたことを光栄に思います」

 桜やすみれの若衆姿も美しく、三番叟では荘重かつ飄逸に舞い踊る沙央くらまさんは、2001年に入団した第87期生。昨春、初めての組替えで月組にきたばかりだ。雪組時代は『ベルサイユのばら』―オスカル編―、『エリザベート』などの新人公演に主演し、宝塚バウホール公演『雪景色』でダブル主演を果たした。6役を役替りで演じた『雪景色』では日本物ショーも経験ずみ。感動的だった『ロミオとジュリエット』の乳母の歌唱と名演技は、演出家をはじめ高い評価を得た。個性溢れる月組生の中でも、ひときわ麗しい男役である。

 その沙央くらまさんにとって月組での初めての舞台が、梅田芸術劇場公演『ME AND MY GIRL』。弁護士パーチェスターと執事ヘザーセットを役替りで演じ、「ヘザーセットは言葉を殆ど発しない役なので、動かない時間にどんな表情をするか、歩くときの一歩に何を背負っているか、役のもつオーラをどんな色にするか、などを意識して役づくりをしました。例えば後ろから人が歩いてくるコツコツという足音ひとつで、場面全体の空気感も芝居も変わりますから」

 忘れもしない。舞台の後方を横切るヘザーセットの歩き方はこの上もなく静かで美しく、へザーセットという執事の仕事ぶりや生き様までが見えるような気がしたものだ。

 今年1月、梅田芸術劇場で上演された月組選抜メンバーによる『風と共に去りぬ』では、満を持してのアシュレ役。「日生劇場公演に最下級生として出演させていただいた際に、バトラーを演じられた轟悠さんと、今回はアシュレとして再会させていただくことができて、幸せでした。お稽古が始まった頃は、アシュレのもつ男性的な感覚や様々な壁にぶつかりましたが、お稽古を重ねる中で色々と見えてくるものや感じたものがたくさんありました。アシュレ役との出会いに感謝しております」

 さて、沙央くらまさんが俳優サイモン役で出演中のプチ・ミュージカル・プレイ『明日への指針』は、35分間という短さながら、登場人物の半生を浮き彫りにして第二幕が見たいと思わせる洒落た作品だ。「サイモンが大抜擢された映画の撮影現場が客船センチュリー号という設定で、ロンドンからニューヨークに着くまでの4日間の物語が船上で展開されます。映画会社社長、映画監督、俳優サイモンたちの映画チームの役目は、ベースの物語にお客様が入り込めるように、息抜きをしていただくこと。ときに笑いながら楽しくご覧いただくために、息抜きできる場面はとても大切です。心から楽しんでいただけるように務めたいと思います」

 そして、グランド・レビュー『TAKARAZUKA花詩集100‼』では、あの魅惑的なラ・ヴィオレテラを歌う沙央くらまさん。「シャンソン調のアレンジ自体、宝塚の薫りがいっぱい。私らしく歌唱を深めていきたいと思います。100人ロケットには出ていませんが、10年前の90周年記念公演で90人ロケットに出ました。すごい迫力で、見ているだけでウキウキします。私はそのあとのブラックローズの場面でジェフ・カルフーンさんが振付けたアダルトなダンスを踊ります」

 ロック調の激しい曲を浴びセクシーに踊る沙央くらまさんの麗しさが、最高潮に達する。

沙央くらまさん

2001年『ベルサイユのばら2001』で初舞台、同年雪組に配属。06年、『ベルサイユのばら』新人公演ではオスカル役で新公初主演、翌07年『エリザベート』新人公演でトートを演じ再び主演を務める。09年バウホール公演『雪景色』で早霧せいなと共にバウ初主演。13年月組へ組替え。
出身/東京都 愛称・コマ、くらま

インタビュアー 名取千里(なとりちさと)
ティーオーエー、現代文化研究会事務局/宝NPOセンター理事主な編著書「タカラヅカ・フェニックス」(あさひ高速印刷)「タカラヅカ・ベルエポックI・II」(神戸新聞総合出版センター)/「仕事も結婚も」 (恒友出版)
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