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宙組 留依蒔世

3月6日まで上演中の宙組宝塚大劇場公演は、浅田次郎氏原作、ルイ14世が残した「シャトー・ドゥ・ラ・レーヌ」を舞台に個性豊かな登場人物たちが織り成す人間模様をコミカルに描いた『王妃の館―Château de la Reine―』と、世界各地のFESTAをテーマにしたレビュー『VIVA!FESTA!』の2作品。 歌にダンスに一段と輝きを増す宙組若手男役の留依蒔世、ミュージカル・コメディ『王妃の館』で新人公演主演に挑む!

浅田次郎原作『王妃の館』を舞台化。 大好きなコメディで新人公演主演を果たす。

 宙組公演ミュージカル・コメディ『王妃の館―Château de la Reine―』は、人気小説家・浅田次郎氏のベストセラーが原作だ。スーパー・レビュー『VIVA!FESTA!』と共に3月6日まで宝塚大劇場で上演中。2月21日には新人公演『王妃の館―Château de la Reine―』が行われ、第97期生の留依蒔世さんが主役の北白川右京役に挑む。

 「新人公演に初めて主演させていただけることとなり、お話を伺ったときは、うれしさがこみ上げてきて泣いてしまいました。今春、研7になりますので新人公演に出演できるのは後一年あまり。これまでいろんな経験をさせていただき、どれだけ成長できているかが試される機会だと思います。プレッシャーは感じますが、このようなチャンスをいただけたことが本当にありがたいです」

 首席で入団した留依蒔世さん。研4の新人公演『ベルサイユのばら―オスカル編―』ではアラン役、『白夜の誓い』では朝夏まなと演じるカール・ポンタス・リリホルン役、『エリザベート』ではフランツ・ヨーゼフ役など、これまでに様々な役を演じてきた。今回の北白川右京役は、ピンク色のスーツをファッショナブルに着こなした、いかにも一癖ある雰囲気の小説家だ。パリのヴォージュ広場の片隅に佇む高級ホテル、太陽王ルイ14世が残した「シャトー・ドゥ・ラ・レーヌ(王妃の館)」を舞台に、個性豊かな登場人物たちが丁々発止と繰り広げる騒動の数々が楽しいミュージカル・コメディである。留依蒔世さんの天性のコメディ・センスが大いに期待できる。「コメディは何もかも忘れて大笑いできるので気分転換になり、大好きです。でも見るのと演じるのとでは違いますから、多面性のある右京役を自然に演じられるようにしっかり取り組んでいきたいと思います。本公演のお稽古中は朝夏まなとさんが創っていかれる姿を見て学ばせていただいていますが、朝夏さんは常に臨機応変に役創りをされていて、新しい発見が尽きません」

 その新人公演の稽古は、初日が開けてからスタートする。出演者は研7までの新人だけで、本公演の約半分の人数だが、本公演と同じ作品に挑むのだ。

 3歳からクラシックバレエを始めた留依蒔世さんの夢はバレリーナになることだった。「ところが、同級生から薦められた宝塚歌劇のDVDを借りて見るうちに嵌ってしまいました。宝塚音楽学校受験を決めたのは2007年の雪組公演『エリザベート』がきっかけです。ここなら私のやりたいこと、バレエも歌もお芝居もすべてできる、と思いました」

 猪突猛進の努力家だ。「怪我をしてリハビリ中に多くの出会いがあり、あらためて自分を見つめ直すことができました。読書や料理などのふだんできなかったことや、組の皆さんの温かさや同期の家族的な絆、ファンの方々の優しさを身に染みて感じる時間が得られ、自分に足りないものは何かが見えてきたように思います」

 一段と輝きを増した留依蒔世さん。これからの抱負をお聞きすると「一つの色に固まらず、こんなこともあんなこともできるんだと思っていただけるように、真っ白な気持ちのまま、いろんな男役に出会いたい」ときっぱり迷いのない言葉が返ってきた。

留依蒔世さん

2011年『めぐり会いは再び』で初舞台、宙組に配属。17年『王妃の館』で新人公演初主演。
出身/兵庫県  愛称・あーちゃん、あずさ、るいくん

インタビュアー 名取千里(なとりちさと)
ティーオーエー、現代文化研究会事務局/宝NPOセンター理事主な編著書「タカラヅカ・フェニックス」(あさひ高速印刷)「タカラヅカ・ベルエポックI・II」(神戸新聞総合出版センター)/「仕事も結婚も」 (恒友出版)
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