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宙組 天彩 峰里

春の宙組宝塚大劇場公演は、「少女コミック」に連載され絶大な人気を誇った篠原千絵氏原作の、ミュージカル・オリエント『天は赤い河のほとり』と、岡田敬二氏のロマンチック・レビュー・シリーズ第20弾となる『シトラスの風-Sunrise-』の2作品を4月23日まで上演中。 新生宙組へ組替えとなった天彩峰里、初めての新人公演ヒロインを、透明感のある歌声で、心を込めて演じる。

『天は赤い河のほとり』新人公演で 初ヒロインを果たし歌唱力を示す

 新トップ真風涼帆率いる新生宙組披露公演『天は赤い河のほとり』『シトラスの風―Sunrise―』~Special Version for 20th Anniversary~が、観客の熱い視線を集めている。

 篠原千絵の名作漫画「天は赤い河のほとり」をミュージカル化した『天は赤い河のほとり』の新人公演で、ヒロインのユーリ役に抜擢されたのが第100期生の天彩峰里さん。昨年12月25日付で宙組生になったばかりだ。「初めての組替えを経験して宙組のお役に立てるかなという不安でいっぱいのときに、新人公演ヒロインのお話をいただき緊張しましたが、お稽古を積み上げることが何よりも大事だと思い、責任感を強くもって取り組んでいます」

 その新人公演で主役のカイルを演じる第101期生の鷹翔千空とは、「舞台人として作品を作り上げる仲間同士、何でも言い合おうねと話し合いました」

 本公演でユーリ役を演じるのは、同期の星風まどかである。「新トップ娘役として新生宙組披露公演に臨む星風にとって、今は大変な時。同期だからこそ支えられることがあるのではないかと思っています。一緒にお稽古したり相談し合ったりしていますが、尊敬するところがたくさんある星風から大いに刺激を受けています」
 星組生として最後の舞台となった『ベルリン、わが愛』『Bouquet de TAKARAZUKA』で初めてエトワールをつとめ、舞台映えする華やかさと歌唱力を証明した天彩峰里さん。「毎日、緊張しました。お客様に何かを感じていただけるような、心に残る歌唱やお芝居をお届けしたいと思っています」

 注目度が急上昇中の天彩峰里さんは、ロマンチック・レビュー・シリーズ第20弾『シトラスの風―Sunrise―』~Special Version for 20th Anniversary~の「ザ・ロケット」の場面でラインダンスの長をつとめ、舞台の中央で瑞々しく舞い踊る。
「『シトラスの風―Sunrise―』は伝統あるレビューの美しさと新しいテイストに満ちたとても素晴らしいレビューで、大好きです」
そんな天彩峰里さんは宝塚市内で育った。母がひくピアノの音色、料理をしながら歌う母の声、テレビの歌番組など、物心つく前からたくさんの音楽に囲まれた日々をすごした。「音楽が好きな父母の影響で昭和の歌をよく知っていますし、お琴もひけます。その一方で、二人の兄と一緒に野球をやり、バッティングセンターにもよく行きました。川遊びをしたりキャンプに行ったり、近くの森で小さなログハウスを作って遊んだり。だから常に日焼けしている子どもでしたね(笑)」

 小学生の時に初めて宝塚大劇場で観た湖月わたる主演の『ベルサイユのばら―フェルゼンとマリー・アントワネット編―』が、天彩峰里さんの胸を鷲掴みにした。「白羽ゆりさんのマリー・アントワネットに、なんて素敵なんだろうと憧れて、私もこの舞台に立ちたいと。母がうなづいてくれたので、今の私があります。新人公演初ヒロインをさせていただくことを母に話すと、勉強させていただけることに感謝して、地に足をつけてしっかりやりなさいと言ってくれました」

 天彩峰里さんが心を込めて演じるユーリは、現代から突然、タイムスリップして古代の国に迷い込んだ女子高生だ。命を助けてくれた皇子カイルと共に陰謀や大国の敵と戦ううち、生涯を共にしたいと思い始める。「自分が生まれ育った現代に戻るよりも、カイルの住む未知の国で生きることを選びます。そんなユーリのセリフに私自身の思いが重なることがあります。組替えで宙組にきたばかりの頃、少しさみしさを感じていました。でも一人でお稽古していると必ず誰かが声をかけてくださって、今では宙組のあたたかさをしみじみと感じています」
新鮮な思いが詰まった天彩峰里さんの心の引き出しは、旬の彩りに満ちている。

天彩 峰里さん

2014年『宝塚をどり』で初舞台。組回りを経て星組に配属。17年ショー『Bouquet de TAKARAZUKA』で、初のエトワールに抜擢。同年12月、宙組へ組替え。18年「天は赤い河のほとり」で、新人公演初ヒロイン。
出身/兵庫県  愛称・じゅり、じゅーりー、みねり、じゅっちゃん

インタビュアー 名取千里(なとりちさと)
(株)ティーオーエー代表取締役、現代文化研究会事務局/主な編著書「タカラヅカ・フェニックス」(あさひ高速印刷)「タカラヅカという夢1914~2014」(青弓社)「タカラヅカ・ベルエポックI・II」(神戸新聞総合出版センター)/「仕事も結婚も」 (恒友出版)
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