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宙組 鷹翔 千空

春の宙組宝塚大劇場公演は、「少女コミック」に連載され絶大な人気を誇った篠原千絵氏原作の、ミュージカル・オリエント『天は赤い河のほとり』と、岡田敬二氏のロマンチック・レビュー・シリーズ第20弾となる『シトラスの風-Sunrise-』の2作品を3月16日から4月23日まで上演。 長身の舞台姿が映える鷹翔千空、宙組誕生20周年、新トップコンビの大劇場お披露目公演で、新人公演主演に挑む。

101期生としていち早く新人公演 主演を射止め、期待が高まる

 新トップ真風涼帆が率いる新生宙組披露公演が宝塚大劇場で3月16日、初日を迎える。演目は小学館発行の「少女コミック」で絶大な人気を誇った篠原千絵氏の「天は赤い河のほとり」を、宝塚歌劇団座付き演出家・小柳奈穂子氏がミュージカル化した『天は赤い河のほとり』と、日本を代表するレビュー作家・岡田敬二氏のロマンチック・レビュー・シリーズ第20弾『シトラスの風―Sunrise―~Special Version for 20th Anniversary~』の豪華2本立てだ。4月3日に新人公演『天は赤い河のほとり』が行われて、2015年に入団した第101期生の鷹翔千空さんが主役、カイル・ムルシリ役に挑む。時代は古代オリエント。カイルはヒッタイト帝国の皇位継承最有力候補と目されている第3皇子。宝塚歌劇の美しさが際立つコスチューム・プレイである。

 首席で宝塚歌劇団に入団し、同期の中でいち早く新人公演主役の座を射止めた鷹翔千空さん。175㎝の長身を生かしたスター性に注目が集まっている。

 「チャンスをいただいたことに感謝して、目の前の課題を全力でこなしていきたいと思います。音楽学校時代はできないことをやれるようになりたいという一心で頑張ってきました。入団後はそれだけではなく、自分でビジョンを描き、それに向かって挑んでいかなくてはなりません。組全体のことをいつも考えていらっしゃる真風さんの背中を見て、私も自分の役割について考えるようになりました」

 研2で新人公演『エリザベート―愛と死の輪舞―』のルドルフ役に抜擢されたときを「私は歌うことが大好きなので全力で臨みました」と振り返る。次の新人公演『王妃の館―Chateau de la Reine―』では、真風涼帆の役を演じた。ルイ14世だ。「ひたすら真風さんみたいになりたいという思いで、稽古していたことを思い出します」。そして、新人公演『神々の土地~ロマノフたちの黄昏~』で、再び真風涼帆の役を演じることに。名門貴族の嫡男フェリックス役である。「作品そのものを理解するむずかしさに直面して、シンプルなスーツで立っているだけで不安になりました。自然にやっていらっしゃるように見える真風さんの背中を見続けて、どうしたら近づけるのだろうと悩み苦しんだ結果、もっと貪欲に役と取り組まなければいけないことを痛感しました」

 その時から稽古場は新しい発見の宝庫になった。「次から次へと学ばなければならないことが見えてきました。2月19日には宙組誕生20周年記念イベントに出演させていただき、歴代のトップスターの方々にお会いして、代々、確実に受け継がれてきたものがあるから今の宙組があると感じることができました。下級生時代の責任をしっかり果たすことで、上級生になった時に大きな責任を背負えるようになるはずです。教わったことをきちんと受け継ぎ、そして引き継げるように励みたいと思います」

 真風涼帆の新トップお披露目公演で新人公演初主演する鷹翔千空さん。「ずっと背中を追い続けていたいと心から思える大先輩です」と語る口調も表情も、晴れた空のように澄み渡っている。

 鷹翔千空さんの宝塚歌劇初観劇は安蘭けいが主演した星組公演『THE SCARLET PIMPERNEL』。この作品が鷹翔千空さんに宝塚受験を決意させた。「ショーヴラン役に惹かれました。主役と敵対する悪役なのに、まっすぐに自分の正義を信じて頑張っているところが憎めなくて、思わず感情移入してしまいます」。目指す男役像は「永遠の課題です。まだ自分の個性がはっきりつかめていなくて。きっとこれから見えてくると信じていますので、今はひたすら上級生の背中を見て学び続けていくつもりです」無限の空を飛ぶ鷹の雄姿が眩しくてたまらない。

鷹翔 千空さん

2015年『1789』で初舞台。その後、宙組に配属。16年『エリザベート』新人公演で、ルドルフ役に抜擢。18年「天は赤い河のほとり」で、新人公演初主演。
出身/滋賀県 愛称・こってぃ

インタビュアー 名取千里(なとりちさと)
ティーオーエー、現代文化研究会事務局/宝NPOセンター理事主な編著書「タカラヅカ・フェニックス」(あさひ高速印刷)「タカラヅカ・ベルエポックI・II」(神戸新聞総合出版センター)/「仕事も結婚も」 (恒友出版)
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