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月組 蓮 つかさ

真夏の月組宝塚大劇場公演は、世界の古典・デュマの「三銃士」をもとに、新たな発想で描くロマンチック・アクション・ミュージカル『All for One』~ダルタニアンと太陽王~を、8月14日まで上演中。 さまざまな色を出せる男役を目標に研鑽をつむ蓮つかさが、初めての新人公演主演に挑む!

月組新人公演で主役ダルタニアンに扮し スポットライトを浴びる

 7月14日、月組宝塚大劇場公演『All for One』~ダルタニアンと太陽王~が初日を迎え、8月1日の新人公演に研7の蓮つかささんが満を持して初主演する。「お話をいただいた直後はびっくりしましたが、今はうれしい気持ちでいっぱいです。新人公演に出演できる最後の学年で主演させていただく責任をきちんと果たせるよう、お稽古に励みたいと思います」

 先輩スターが演じる主要な役どころを、これまでの新人公演で数多く演じてきた蓮つかささん。かつてトップスターが浴びるキラキラのスポットライトに包まれたことがあるのだ。2014年のグランド・レビュー『TAKARAZUKA 花詩集100!!』新人公演でのこと。第7場と8場でトップスター龍真咲が演じた「若い僧」に扮して踊ったのである。

 「生まれて初めてトップさんと同じライトを浴びた時、視界が真っ白になって、光の強さに圧倒されました。その前年の2013年に『ルパン―ARSÉNE LUPIN―』の新人公演で演じたのがドナルド・ドースン。私にとって初めての大きな役でした。2015年、『1789―バスティーユの恋人たち―』の新人公演では、珠城りょうさんが本公演で演じられたロベスピエール役。たくさんのセリフがあり、この役を通じ多くの事を勉強させていただきました。今年1月には、『グランドホテル』の新人公演で女役のラファエラを演じ、新たな感覚で演技をすることができました。新人公演で主要な役どころをいただけるというのは、とても恵まれたことなので、これまでの経験をしっかり生かしてダルタニアン役のお稽古に取り組みたいと思います」

 子どもの頃から、将来は舞台に立つ仕事がしたいと思っていたという蓮つかささん。クラシックバレエを習っていた小学3年生の時、仙台に本拠地があるミュージカル劇団に入って活動を始めた。そこでたまたま男役をする機会があり、宝塚歌劇を観て、憧れが募った。「大学か宝塚か、進路は一つに決めなさい、と両親に言われて、宝塚音楽学校受験に賭けました。音楽学校では演劇の授業が1番楽しかったですね」

 『All for One』~ダルタニアンと太陽王~は、アレクサンドル・デュマの小説「三銃士」をベースに、小池修一郎氏が時代設定ほか自由な発想で描き上げた冒険活劇(アクション・ロマネスク)だ。トップスター珠城りょうが率いる月組にとって、2作目の宝塚大劇場公演であり、月城かなとが加わった新体制がスタートする初の大劇場公演である。「珠城りょうさんは包容力があり、芸に対して純粋で人に対する思いやりのある方。そんな珠城さんのそばで、演技を学べる機会を得て、幸せに思います」

 蓮つかささん自身、与えられたことに対して、ひたむきに真面目に、一生懸命取り組むのが長所だ。作品と役によってさまざまな色を出せる男役になることが目標という。

 宮城県出身の蓮つかささんが初舞台を踏んだのは2011年、東日本大震災の年である。「震災が起こったのは初舞台のお稽古中でした」。その日から6年が経つ。「当時、私の初舞台を楽しみにしていてくださった方たちが被災され、舞台を観に来ていただけませんでした。少しずつ復興が進み、地元から劇場に来られる方も増えてきましたが、私が頑張っている姿を見ていただくことで少しでも励みにしていただければと…、ずっと思い続けています」

 本公演では凛々しい銃士隊員を演じている蓮つかささん。男役・蓮つかささんのパレットには無限の色が生まれ続けている。

蓮 つかささん

2011年『めぐり会いは再び』で初舞台、月組に配属。17年『All for One』新人公演で初主演。
出身/宮城県  愛称・このちゃん、れんこん

インタビュアー 名取千里(なとりちさと)
ティーオーエー、現代文化研究会事務局/宝NPOセンター理事主な編著書「タカラヅカ・フェニックス」(あさひ高速印刷)「タカラヅカ・ベルエポックI・II」(神戸新聞総合出版センター)/「仕事も結婚も」 (恒友出版)
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