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雪組 野々花 ひまり

ガストン・ルルーの小説「オペラ座の怪人」を題材に、美しい楽曲、宝塚歌劇ならではのロマンティックな舞台で、宝塚大劇場を感動の渦で包み込んだ人気ミュージカル『ファントム』が、東京宝塚劇場で2019年1月2日から2月10日まで上演される。 七色に変化できる娘役を目指して力をつけたいと語る、野々花ひまり。歌唱レッスンを重ねて2度目の新人公演ヒロインに挑戦!

心を揺さぶるミュージカル『ファントム』。 新人公演では、ヒロイン・クリスティーヌを自分色に染めて。

 2019年、宝塚歌劇は105周年を迎える。1月2日には東京宝塚劇場雪組公演、三井住友VISAカード ミュージカル『ファントム』が開幕し、1月24日の新人公演で野々花ひまりさんがヒロインのクリスティーヌ役に挑む。「新人公演のヒロインを2度もさせていただけることになり、大変光栄です。ご期待に応えなければというプレッシャーもありますが、今まで演じてきた役で学んだことを生かして全力で取り組みたいと思います」
 2013年に雪組公演『ベルサイユのばら―フェルゼン編―』で初舞台を踏んだ野々花ひまりさんは、組回りの雪組公演『Shall we ダンス?』に出演後、雪組に配属され、オリジナル作品や人気劇画が原作の作品に立て続けに出演、多彩な役柄を演じてきた。野々花ひまりさんが初めて新人公演のヒロインに抜擢されたのが研5になったばかりの2017年4月、『幕末太陽傳』のおそめ役である。「舞台の真ん中に立つ経験をさせていただいたことで、様々なことを学ばせていただきました。また、周りがどうすれば舞台全体が輝くかということに考えが及ぶようになり、常に集中して役の人物を演じることの大切さも改めて感じました。どんな時も心をこめて役を演じてきたことが今につながっていると思いますので、その成果を出せるようにがんばっていきたいです」
 初めて演じたヒロイン役では緊張しっぱなしだったそうだが、「舞台に立っていることがものすごく楽しくて、お芝居が大好きになりました。役の人物について一生懸命に考えていると新鮮な発想がわき出てきて、様々な発見があり、お芝居に対する理解が深まります。ヒロイン役を経験して得たことはたくさんあって、引き出しがすごく増えたと思います」
 上級生から教えてもらったことが今、野々花ひまりさんの胸に甦ってくるという。「お芝居には常に新鮮な気持ちで取り組むこと、そして新鮮な気持ちで居続けるためにはどうしたらいいのか、などについても言葉を尽くして教えていただきました。今回は、初めて新人公演のヒロインを演じたときと比べて少しでも成長できるよう最善を尽くしていきたいです。そして、そんな野々花ひまりの姿をお客様に楽しんでご覧いただければ、こんなにうれしいことはありません」
 新人公演でファントムを演じる綾凰華は1学年上。「音楽学校時代からお世話になっていますが、初めて相手役をさせていただきます。ご相談しながらついていきたいと思っています」
 舞台はパリのオペラ座。モーリー・イェストン氏の珠玉のメロディを歌うファントムとクリスティーヌの歌声が、聞く人の思いを揺さぶり続ける、愛に溢れたミュージカル『ファントム』。野々花ひまりさんは新人公演のクリスティーヌ役に抜擢される以前から、どんな作品のどの役を与えられても、しっかりと歌うことができるようにと歌唱レッスンを重ねてきた。さらに公演前にはフランスへ行ってきたという。「雪組ではフランスを舞台にした作品が続いていましたので、パリに行ってきたんです。新人公演でクリスティーヌを演じることになるとは全く思いもしなかった頃ですが、建物の細部までこだわった美しい芸術の街・パリに感動しました。特にオペラ座は外観を見ただけで体が震えるほどすばらしかったです。パリに憧れてオペラ座で歌うことを夢見るクリスティーヌの思いには、宝塚に憧れて音楽学校を受験した頃の私の思いが重なります。その当時の熱い憧れを思い出しながら演じていきたいです」
 研6になった野々花ひまりさんは、自身の責任を果たしながら下級生をみていく大きな役割を担っている。「私自身がそうして育ててもらいましたし、そうすることで精神的な深みのあるお芝居ができるようになると思います。これからも白を基盤に、七色に変化できる娘役を目指して力をつけていきたいです」
 野々花ひまりさんがまとっている白は、真珠の玉を抱く真珠貝のように、深い滋味ある温かな白。だから、ファントムの深い悲しみを抱きしめることが出来る。

野々花 ひまりさん

2013年『ベルサイユのばら』で初舞台。その後、雪組に配属。17年『幕末太陽傳』新人公演で初ヒロイン。
出身/福岡県  愛称・ひまり、ひま

インタビュアー 名取千里(なとりちさと)
(株)ティーオーエー代表取締役、現代文化研究会事務局/主な編著書「タカラヅカ・フェニックス」(あさひ高速印刷)「タカラヅカという夢1914~2014」(青弓社)「タカラヅカ・ベルエポックI・II」(神戸新聞総合出版センター)/「仕事も結婚も」 (恒友出版)
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