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宙組 鷹翔 千空

第105期初舞台生のお披露目となる宝塚大劇場宙組公演は、11人の男達がラスベガスを舞台にカジノの金庫破りに挑むハリウッド映画をミュージカル化、2011年星組、13年花組で再演され共に好評を博した『オーシャンズ11』を4月19日から5月27日まで上演。 恵まれたスタイルが舞台映えする鷹翔千空、新人公演では2度目の主演、10人のスペシャリスト集団を率いるダニー・オーシャンを演じる。

エンターテインメント大作『オーシャンズ11』新人公演で スーツをダンディに着こなすダニー役を。

 11人のクールダンディな男たちによる痛快なミュージカル『オーシャンズ11』が4月19日、宙組により宝塚大劇場で初日の幕を上げる。ハリウッド映画「オーシャンズ11」を宝塚歌劇が世界で初めてミュージカル化した2011年の星組初演、2013年の花組による再演ともに大好評を博して以来、上演が待ち望まれていたエンターテインメント大作だ。年に一度、宝塚大劇場で行われる初舞台生のお披露目もあり、2019年の今年は第105期生の晴れやかなラインダンスが堪能できる。
 5月7日の新人公演『オーシャンズ11』で主役ダニー・オーシャンを演じるのが、第101期生の鷹翔千空さん。2018年、真風涼帆のトップ披露公演『天は赤い河のほとり』の新人公演で初主演後、2度目の新人公演主演に挑む。
 「ダニー・オーシャンを演じさせていただくとお聞きした瞬間、緊張と共に気持ちが引き締まりました。『オーシャンズ11』は大好きな作品です。ナンバーも素晴らしくて、いろんなタイミングで勇気づけられ励まされてきました。いつも元気をくれる大好きな曲を歌える幸せ、そして何度も観てきた憧れのダニー・オーシャン役を演じられる幸せを感じています」
 初日が開くまでは本公演の稽古に集中する。鷹翔千空さんの本役は、映像加工の達人、モロイ兄弟の弟のターク・モロイ。「本公演でダニー・オーシャンを演じる宙組トップスター真風涼帆さんはスーツを着て立っていらっしゃるだけで格好良く、存在の重みを感じます。私は『神々の土地~ロマノフたちの黄昏~』の新人公演で貴族フェリックス・ユスポフを演じた時にスーツの着こなしのむずかしさに直面し、スーツを着て立っているだけでは男役になれないことを痛感しました。本役の真風涼帆さんはシンプルなスーツ姿で男役の余裕や色気を放っていらっしゃって。はるか遠い存在に思え、これからの私自身がどうなっていきたいかということを真剣に考えるようになりました」
 その直後、新人公演初主演の夢が叶い、このたび二度目の主演に挑戦する機会を手にした鷹翔千空さん。「次のステップに向かい何をすればいいか、今はまだ明確に見えていないところがありますが、今回の新人公演でつかむことが出来ればと思います」と、きっぱり。
 真風涼帆に教えてもらった言葉がある。ふだんから神経を張り巡らし緊張感をもち続けることで、自分が考える理想に近づいていける―。
 「ダニー・オーシャンは10人のスペシャリスト集団を率いるリーダー役なので、相当なエネルギーが必要です。役と共に成長したいと思います」
 ダニー・オーシャンと仲間たちはラスベガスのカジノの巨大金庫をガードするセキュリティシステムを破り現金を強奪する。「私は舞台人なので様々な表情を盗みたいです。今まで鏡と向き合うのが恥ずかしく、台詞に合わせて表情を変える練習をおろそかにしてきました。ダニー・オーシャンは言葉とは裏腹に胸の中に一物あるところが、声色には出ないのですが顔の表情に出てしまうのです。真風涼帆さんの細やかな演技を拝見していて、私もいろんな表情ができるようになりたいなと」
 目指す理想の男役像をあらためて聞いてみると、「いろんな役を幅広くやっていきたいという思いがあり、特定の形にこだわっていないのですが、どんな役を演じてもお客様に愛される男役を目指したいです。たとえば悪役を演じても、この役好き、と思っていただけるような、お客様に愛していただける男役像が理想です」
 5年前、首席入団した男役のホープは、気品ある穏やかなムードを全身に纏い、密度の濃い言葉を編み出し続ける。スックと立ち上がった鷹翔千空さんの長い脚が、新たなステージへと向かう確かな一歩を刻みつける。

鷹翔 千空さん

2015年『1789』で初舞台、その後宙組に配属。18年『天は赤い河のほとり』で新人公演初主演
出身/滋賀県
愛称・こってぃ

インタビュアー 名取千里(なとりちさと)
(株)ティーオーエー代表取締役、現代文化研究会事務局/主な編著書「タカラヅカ・フェニックス」(あさひ高速印刷)「タカラヅカという夢1914~2014」(青弓社)「タカラヅカ・ベルエポックI・II」(神戸新聞総合出版センター)/「仕事も結婚も」 (恒友出版)
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