慶長遣欧使節団として派遣された仙台藩士を主人公に描くミュージカル『El Japón-イスパニアのサムライ-』と、香り高く味わい深いウイスキーがテーマのショー『アクアヴィーテ!!~生命の水~』の2作品が、真風涼帆率いる宙組メンバーにより、1月3日から2月16日まで東京宝塚劇場で上演される。(宝塚大劇場公演は12月15日迄) 長身の舞台姿が映える102期生の風色日向が、初めての新人公演主演に挑戦、舞台への熱い思いを語る。
宝塚大劇場の掉尾を飾る宙組公演、宝塚ミュージカル・ロマン『El Japón―イスパニアのサムライ―』とショー・トゥ・クール『アクアヴィーテ!!~生命の水~』は12月15日に千秋楽を迎え、新年1月3日に東京宝塚劇場で初日の幕を上げる。
新人公演『El Japón―イスパニアのサムライ―』の主役に抜擢されたのが、2016年に初舞台を踏んだ第102期生の風色日向さんだ。剣術・夢想願流の名手、蒲田治道役で、新人公演初主演に挑む。物語は座付作家・大野拓史氏のオリジナル。蒲田治道役は、1613年に仙台藩の初代藩主・伊達政宗が家臣の支倉常長を筆頭にスペインなどに派遣した慶長遣欧使節団の仙台藩士として描かれている。
「日本人として初めて太平洋と大西洋の横断に成功し、ヨーロッパの国々と外交交渉をした慶長遣欧使節団の歴史を知らないと役の心がつかみにくく、まず本を読みました。私は本公演でも慶長遣欧使節団の一人、吉内役をさせていただいていますので、本公演で蒲田治道役を演じていらっしゃるトップスター真風涼帆さんの演技をお稽古中から近くで拝見できて、たくさん学ばせていただいています」
その真風涼帆から貴重なアドバイスをもらった。「役の人物の個性を出すためには、役自身のプラス面だけではなくマイナス面を考えることが大事。マイナス面にこそ人間性が出て、そこに共感が生まれる、と」
『El Japón―イスパニアのサムライ―』の主役・蒲田治道は悩みや苦しみを胸の奥深くに隠して生きている人間味のある人物だ。「深い悩みを表現する役は初めてです。役の人物の思いをお客様に感じ取っていただけるようなお芝居をしたいと思っていますが、どうしても下を向きがちになり、表情も出しにくく、あらためて立ち居振る舞いの重要性を身に染みて感じています。真風涼帆さんはすべてが素敵。真風涼帆さんから私自身がどれだけ学ぶことができるか、ひたすらお稽古を重ねるのみです」
小さい頃からダンス、歌、ピアノ、ヴァイオリンなどを習ってきた風色日向さんに、宝塚歌劇観劇を勧めたのは、「母です。『エリザベート』を観て私より先に宝塚ファンになった母と一緒に初観劇した時のショー『CONGA!!』に新鮮な驚きを覚えて、私もこんなショーに出たい!と思いました」
宝塚音楽学校の卒業文化祭で主演し、役の人物を演じることが一層好きになったという風色日向さん。「初舞台後すぐの新人公演『エリザベート』には出演できなかったのですが、その時に舞台に出たい!という思いがさらに強くなったと思います。新人公演のたびに壁は現れます。でも私は壁があるからこそ頑張ってこられたと思います。前回の新人公演『オーシャンズ11』でライナス役をさせていただいた時は、出番も多く、歌も初めてセンターで歌わせていただき、とても緊張しました。仲間とのチームワークや台詞のキャッチボールの大事さも実感して、たくさんの壁にぶつかりましたが、それらの経験を蒲田治道役に生かしたいと思います」
そうはっきりと言い切る風色日向さんの、宝塚歌劇の舞台に対する思いは、「誰にも負けないくらい大好きです。舞台への思いの強さと同じくらい、強い存在感のあるお芝居ができるように頑張ります」
目標とする男役像については、まだずっと考え続けているそうだが、ファンの人たちの瞳の中にいる男役・風色日向さんの輪郭は、唯一無二の鮮やかさに輝いている。
「本物の男役を極めたいです」
構えることなく語る風色日向さんの、男役への探求心はとどまることを知らない。
2016年『THE ENTERTAINER!』で初舞台、その後宙組に配属。19年『El Japón-イスパニアのサムライ』で新人公演初主演。
出身/東京都 愛称・ひゅーが、ひなこ、風の色は何色