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月組 白河 りり

日本オーストリア友好150周年記念ミュージカル月組公演『I AM FROM AUSTRIA―故郷は甘き調べ―』は、珠玉のナンバーと心温まる感動で宝塚大劇場を包みこみ、11月29日から12月28日まで東京宝塚劇場で上演される。 新人公演ヒロインに抜擢された103期生の白河りり、透明感のある美声でオーストリアの名曲を歌い、ハリウッドの人気女優を演じる。

『I AM FROM AUSTRIA』新人公演でヒロインを演じ、艶やかな声を聴かせる

 宝塚大劇場を心温まる笑いと感動で満たした月組公演、日本オーストリア友好150周年記念 UCCミュージカル『I AM FROM AUSTRIA―故郷は甘き調べ―』が11月29日、いよいよ東京宝塚劇場で開幕する。この、『エリザベート』などに続く大人気のウィーンミュージカルが誕生したのは2017年9月。オーストリア中に旋風を巻き起こし、2019年6月まで異例のロングランを果たした。その話題作が日本初上陸し、宝塚歌劇団月組により華やかに幕が上がった。オーストリアそのものを題材とし、舞台は現代。故郷と家族という普遍的なテーマの、世代を超えて楽しめるミュージカルだ。
 老舗ホテルの跡継ぎジョージ・エードラーとハリウッドの人気女優エマ・カーターらによる「自らの居場所さがし」が物語の芯になる。コメディ要素たっぷりの、疲れた魂も生き返るような楽しい場面の数々が珠玉のナンバーにのせて繰り広げられる。
 東京宝塚劇場で12月12日に行われる新人公演のヒロインに抜擢されたのが、2017年に初舞台を踏んだ第103期生の白河りりさん。「新人公演のヒロインに抜擢していただき、まさかという驚きと、私にできるのかしらという不安でいっぱいでしたが、大好きなオーストリア生まれのミュージカルであり、ヒロインをさせていただくからには全力でしっかりやりたい、やらなければと思っています。小さい時から歌うことが本当に大好きで、いつか舞台に立って歌いたいなといつも夢見てきました。ずっと歌のレッスンを続けていますが、宝塚歌劇の舞台で一人で歌える機会は滅多にないので、新人公演初ヒロインのエマ役を演じることがどんなに貴重な経験になるかと楽しみでなりません。ふだんは自分自身をあまり表に出せない性格なので、もどかしく感じることもありますが、一旦舞台に立てば別人になったみたいに自由に表現できる自分がいます。音楽の国、オーストリアの名曲を歌わせていただくのは大きな挑戦で緊張しますが、本当にうれしいです」
 白河りりさんが宝塚歌劇の存在を知ったのは、阪急電車で通学していた中学生の頃。「月組公演『ベルサイユのばら―オスカルとアンドレ編―』のポスターが駅に貼ってありました。その美しさに引きつけられて、どうしても観たくなり、大劇場公演を立ち見で観劇しました。今まで観たことのない華やかな舞台に釘付けになり、足の疲れは全く感じませんでした」
 宝塚音楽学校に入学すると、「初めて両親のもとを離れて寮に入りました。宝塚歌劇のことをよく知っている同期や寮生活の経験のある上級生の皆さんが、親身になっていろいろ教えてくださったおかげで授業に専念することができました」
 清楚で可憐な正統派ヒロインタイプの白河りりさん。まだ研3だが、これまで演じてきた役は、『雨に唄えば』の主役ドン・ロックウッドの少年時代のドン、『エリザベート』の侍女、『ANNA KARENINA(アンナ・カレーニナ)』の裸足のアンナ、『夢現無双―吉川英治原作「宮本武蔵」より―』の宮本村の少年など。『オン・ザ・タウン』では大人っぽいダイヤモンド・エディーズ・ガールも演じたが、新人公演初ヒロインのエマ役は、故郷のオーストリアを飛び出して人気ハリウッド女優になった人物だ。主人公のホテル御曹司ジョージと対等に接する美しくて強い女性像をどう演じるか、白河りりさんに大きな期待がかかる。
 「宝塚歌劇の舞台は華やかな世界ですが、何より品があり、私はそこに惹かれ続けています」
 艶やかな高音を響かせる白河りりさんの歌声がたっぷり聞ける、新人公演の舞台を楽しみに待つファンの胸の鼓動が高まっている。

白河 りりさん

2017年『Dramatic “S”!』で初舞台、その後月組に配属。19年『I AM FROM AUSTRIA』で新人公演初ヒロイン。
出身/大阪府  愛称・りんりん、りり

インタビュアー 名取千里(なとりちさと)
(株)ティーオーエー代表取締役、現代文化研究会事務局/主な編著書「タカラヅカ・フェニックス」(あさひ高速印刷)「タカラヅカという夢1914~2014」(青弓社)「タカラヅカ・ベルエポックI・II」(神戸新聞総合出版センター)/「仕事も結婚も」 (恒友出版)
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