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花組 聖乃 あすか

宝塚大劇場花組公演は、19世紀半ばのロンドンを舞台に描く耽美的で幻想的なオリジナルミュージカル『A Fairy Tale︱青い薔薇の精︱』と、花と光の都パリの地下都市で繰り広げられるレヴュー『シャルム!』の2作品を、8月23日から9月30日まで上演。 洗練された気品ある美しい男役として、ますます存在感を増す聖乃あすか。トップスター明日海りおのサヨナラ公演で3度目の新人公演主演を射止め、全力でがんばりたいと語る。

美しさを誇る花組。美を受け継ぎ、 新人公演で青い薔薇の精を演じる。

 至高の美を誇る花組トップスター明日海りおの退団公演、三井住友VISAカードシアター Musical『A Fairy Tale ―青い薔薇の精―』とレヴューロマン『シャルム!』が8月23日、宝塚大劇場で初日を迎える。  
 演出家・植田景子氏が明日海りおのために書き下ろしたオリジナル作品、ミュージカル『A Fairy Tale ―青い薔薇の精―』は、この世に存在しない禁断の花である青い薔薇の精に扮した明日海りおが、耽美的かつ幻想的な異次元の世界で繰り広げる、大人のためのほろ苦く温かなラブストーリーだ。
 9月10日に行われる新人公演『A Fairy Tale ―青い薔薇の精―』で主役、薔薇の精エリュに挑むのが、2014年3月に初舞台を踏んだ第100期生の聖乃あすかさんである。
 「『ポーの一族』と『MESSIAH―異聞・天草四郎―』の新人公演で主演させていただき、今回が3度目になります。明日海りおさんがご卒業されることとなり、明日海りおさんから多くを学びたいという気持ちが高まった時に、本公演では青い薔薇の精の明日海りおさんにつながる白い薔薇の精を演じることになり、新人公演でも青い薔薇の精エリュ役に挑めることになって、念願が叶った嬉しさと同時に責任の重さに身が引き締まる思いです。本役の明日海りおさんから少しでも沢山のことを学ばせていただけるよう、全力でがんばりたいと思います」
 初舞台後の組廻りからずっと花組の聖乃あすかさんは、作品ごとに全く異なる役柄を個性的に演じ公演を重ねるごとにパワーアップしていく花組トップスター明日海りおの姿を近くで見続けてきた。「小さなことも丁寧に教えてくださるだけでなく、小さな成長にも気づいて声をかけてくださいます。明日海りおさんには舞台人として尊敬の思いしかありません」と打ち明ける。
 2019年2月、『CASANOVA』新人公演でアントーニオ・コンデュルメルを演じたあとの6月、聖乃あすかさんはTBS赤坂ACTシアター公演『花より男子』~原作 神尾葉子「花より男子」(集英社マーガレットコミックス刊)~に出演し、名門学園でF4と呼ばれる眉目秀麗な御曹司グループの一人、クールでミステリアスな花沢類を演じた。
 「お稽古場では役づくりの壁に何度もぶち当たりましたが、お稽古場にいる時間がいとおしくてなりませんでした。公演が終わった瞬間に、いつか再び演じたいと思うほど、すごく充実した日々でした」
 この舞台経験が、聖乃あすかさんの演技に生きる。熱い役を演じても力まずに受けて返すやり方を習得し、役の感情が溢れ出てくるまで辛抱強く待つことを覚えた。さまざまな新発見を得て、「できることなら新人公演で初めて主演させていただいた『ポーの一族』のエドガー・ポーツネル役をもう一度やり直してみたいです。今なら台詞をもっと深く理解できると思います」とポジティブな意欲を語る。
 2019年6月、明日海りおは他の選抜メンバーを率いて宝塚歌劇団初の横浜アリーナ公演『恋スルARENA』に主演した。聖乃あすかさんもその公演に特別出演という形で出演。「退団公演へのカウントダウンが始まる中、明日海りおさんの気迫を感じました。男役をとても愛されていて、繊細な気持ちがいっぱい詰まったお芝居をされる明日海りおさんの舞台姿を、花組生の一人として受け継げるように成長しなければと改めて強く思います。それにプラス、私自身の持ち味を出していければ」
 洗練された気品ある美しい男役・聖乃あすかさんがカメラの前に立つと、一瞬にして、現実から切り取られた密度の濃い別世界が拡がる。熱を帯び静まり返る瞳の奥に、まだ誰も見たことのない薔薇の精が生き生きと息づいている―。

聖乃 あすかさん

2014年『宝塚をどり 』で初舞台、その後花組に配属。18年『ポーの一族』で新人公演初主演。同年『MESSIAH』で新人公演2度目の主演。
出身/神奈川県  愛称・ほのか、あすか

インタビュアー 名取千里(なとりちさと)
(株)ティーオーエー代表取締役、現代文化研究会事務局/主な編著書「タカラヅカ・フェニックス」(あさひ高速印刷)「タカラヅカという夢1914~2014」(青弓社)「タカラヅカ・ベルエポックI・II」(神戸新聞総合出版センター)/「仕事も結婚も」 (恒友出版)
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