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星組 天飛 華音

真夏の星組宝塚大劇場公演は、ゴージャスでスタイリッシュな現代のアジアを舞台に華やかに描きあげるアジアン・クッキング・コメディ『GOD OF STARS−食聖−』と、煌めく閃光のような輝きに満ちたレビュー『Éclair Brillant』を8月19日まで上演中。 「芯からカッコいい男役になりたい」と語る102期生の天飛華音、尊敬するトップスター紅ゆずるのサヨナラ公演で、初めての新人公演主演に挑む!

紅ゆずるサヨナラ公演の新人公演で主演を務め男役の幅を広げる

 星組トップスター紅ゆずるとトップ娘役綺咲愛里の退団公演、ミュージカル・フルコース『GOD OF STARS-食聖-』とスペース・レビュー・ファンタジア『Éclair Brillant』が、8月19日まで宝塚大劇場で上演中。7月30日には新人公演『GOD OF STARS-食聖-』が行われ、2016年に初舞台を踏んだ第102期生の天飛華音さんが天才料理人ホン・シンシン役で新人公演初主演に挑む。
 天飛華音さんと言えば、今年1月の新人公演『霧深きエルベのほとり』で主役カールの仲間の中心的存在である水夫トビアスに扮し、勢いのある存在感を見せつけたばかり。それだけではなく昨年、研3になったばかりの新人公演『ANOTHER WORLD』で礼真琴の役に抜擢され、続いて台湾公演メンバーに加わるなど、目覚ましい活躍ぶりだ。
 『GOD OF STARS-食聖-』は演出家・小柳奈穂子氏が紅ゆずるのために新しく描き上げたオリジナル作品、アジアン・クッキング・コメディーである。「紅ゆずるさんが退団される公演で新人公演初主演をさせていただくとお聞きした瞬間は、驚きと同時に責任の重さを感じ少し不安な気持ちになりましたが、今はチャンスをいただいた喜びで胸の中がいっぱいです。お稽古場で紅ゆずるさんの演技を見続けていると、発想の豊かさに圧倒されます。誰よりも長くお稽古されているのに疲れた素振りは全くお見せにならない。人間として器の大きい、かっこよさ。尊敬しています。役を心から楽しんで堂々と構えていらっしゃる紅ゆずるさんの懐の深さを、少しでも学ばせていただきたいと思いながら、夢中でお稽古しています」
 そう言って、意思の強い大きな瞳を輝かせる天飛華音さん。
 宝塚歌劇との出合いは、宝塚ファンの両親に連れられて観た月組宝塚大劇場公演『バラの国の王子』だ。「ここに入りたい」と思い詰めた。「小さい頃からダンスを習っていて、いつか舞台に立つ仕事をしたいと思っていましたが、初観劇後は宝塚音楽学校受験一つに絞ってレッスンを始めました。その間も、長期休暇のたびに必ず宝塚大劇場へきて観劇していました」
 新人公演ヒロインのアイリーン・チョウを演じる舞空瞳は、切磋琢磨し合った同期生だ。「舞空瞳が花組から星組に移籍してきた時はびっくりしました。星組の次期トップ娘役となる舞空と一緒に組める貴重な機会なので、うれしいです」
 天飛華音さんにとって忘れ難い役は、『阿弖流為-ATERUI-』の阿奴志己だとか。「通し役で台詞も歌も踊りもあり、メインキャストのかたと初めて絡ませていただいた思い出深い大事な役ですが、満足な結果が出せず、私の中で一番悔しさが残っている役です。稽古したことすべてを舞台に出せるようになるためには、鍛錬を続けて技術を高め続けることと、メンタル的な強さが必要だと思います。私は緊張しないように見られがちですが、そんなことはなく、舞台に出る直前に何を考えるか、集中力の大切さを痛感しています。頭で考えたことは体を通して必ず現れます。お芝居も歌も踊りももっともっと上達できるように鍛錬し続けたいと思います」
 まっすぐな眼差しでそう話す天飛華音さんが目指すのは…「舞台の上からお客様の心の中にパワーをお届けしたいので、技術的なものだけでなく、磨かれた人間性が滲み出てきて、内面の魅力を感じていただけるような、芯からカッコいい男役になりたいです」
 それこそ、105年の輝かしい伝統ある宝塚歌劇が誇る“男役”ではないか。

天飛 華音さん

2016年『THE ENTERTAINER! 』で初舞台、その後星組に配属。18年『ANOTHER WORLD』新人公演で徳三郎役。19年『GOD OF STARS-食聖-』で新人公演初主演。
出身/鹿児島県  愛称・カノン

インタビュアー 名取千里(なとりちさと)
(株)ティーオーエー代表取締役、現代文化研究会事務局/主な編著書「タカラヅカ・フェニックス」(あさひ高速印刷)「タカラヅカという夢1914~2014」(青弓社)「タカラヅカ・ベルエポックI・II」(神戸新聞総合出版センター)/「仕事も結婚も」 (恒友出版)
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