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雪組 彩海 せら

雪組宝塚大劇場公演は、新選組を題材にした浅田次郎氏のベストセラー小説を舞台化、幕末ロマン『壬生義士伝』と、様々なジャンルの「音楽」の起源から今日にいたるまでの発展をテーマに繰り広げるショー『Music Revolution!』を7月8日まで上演中。102期生としていち早く新人公演主演をつとめる彩海せら、大好きな日本物の舞台で、男役の演技に磨きをかける。

浅田次郎原作「壬生義士伝」を舞台化 新人公演の主演は１０２期生

　宝塚大劇場では7月8日まで、幕末ロマン『壬生義士伝』～原作　浅田次郎「壬生義士伝」（文春文庫版）～と、ダイナミック・ショー『Music Revolution!』の２作品を上演中。7月26日には東京宝塚劇場公演が初日の幕を上げる。
　6月18日に新人公演『壬生義士伝』～原作　浅田次郎「壬生義士伝」（文春文庫版）～が宝塚大劇場で行われ、2016年に初舞台を踏んだ第102期生の彩海せらさんが同期の先頭をきって新人公演初主演に挑む。「お話をいただいた瞬間は驚きましたが、新人公演に主演させていただけるということは、トップスターの望海風斗さんから教えていただける機会を与えていただけるということなので、幸せな思いが胸いっぱいに湧き上がってきました」と、彩海せらさんは瑞々しい笑顔を輝かせる。
　2002年のドラマ化、2003年の映画化ともに大ヒットした浅田次郎氏のベストセラー小説を、宝塚歌劇で舞台化した幕末ロマン『壬生義士伝』の主役は、北辰一刀流免許皆伝の腕前を持つ南部藩士、吉村貫一郎。貧困にあえぐ妻子を救うために脱藩して新選組隊士となった貫一郎は、近藤勇、土方歳三、沖田総司、斎藤一ら、名だたる隊士に一目おかれる活躍をするが、時代の大きなうねりの中、深手を負い、帰藩を請うべく大坂の南部藩蔵屋敷へと向かう。そこにいたのは―。新撰組がテーマの宝塚歌劇の中でも全く新しい視点を持つ『壬生義士伝』は、貫一郎の朴訥な人柄に光を当て武士の義、家族愛、友情などを描く、温かい珠玉の人間ドラマに仕上がっている。
　「宝塚音楽学校受験の前に宝塚歌劇のＤＶＤをたくさん見ました。日本物が大好きで、いつか私も袴を着けて舞台に立ってみたい、温かい日本物の作品世界に入ってみたい、と憧れを募らせていました。願いが叶って本当にうれしいです。本公演では吉岡貫一郎の息子・嘉一郎役をさせていただいていますので、望海風斗さんの台詞の一つ一つから伝わってくる貫一郎の思いの温かさ、輝く目から溢れ出る意志の強さなどを毎回、間近で感じています。この貴重な機会に沢山のことを学ばせていただき、新人公演で貫一郎を演じられるようにしたいです」
　令和元年となる今年、研４になった彩海せらさん。「あっという間に入団４年目になりました。1年目は男役を演じることに必死で食らいついてきた感じです。今はその必死さの中に男役を演じることに対する、何にもかえがたい楽しさが芽生えてきています」
　宝塚バウホールや、シアター・ドラマシティ、全国ツアーなどにも出演し、生の舞台経験を積み重ねて確実に男役の演技に磨きをかけてきた。「各地の様々な劇場で、お客様の反応を直に受けて勉強できる機会を大切にしています」と、彩海せらさんは将来を見据えた眼差しで続ける。
　これまでの役づくりで最も苦しかったのは研３で演じた『ファントム』新人公演のフィリップ・ドゥ・シャンドン伯爵役だという。「シャンドン伯爵は宝塚の二枚目、男役の鑑のような役ですから、立っているだけで品性や包容力が見えなくてはいけないのに、できなくて悔しかったことがたくさんあります。でも今の自分に足りないもの、強化しないといけないものなどに気づくことができ、いい経験ができました」
　目指している男役像については、「まだイメージを固めていなくて…。作品ごとに、こんな男役もあるんだと、いろんな色を発見している段階です」
　きっと男役・彩海せらにしか出せない、極上のオリジナルカラーを見つけるはず。鍛えた脚力で軽やかにハードルを越え、新たなステージへと走り出す彩海せらさんの、高純度のハートと美しいフォルムが眩しくてならない。

«宙組　夢白 あやさん
»星組　天飛 華音さん
関連語句:
彩海 せらさん

2016年『THE　ENTERTAINER! 』で初舞台、その後雪組に配属。18年『ファントム』新人公演でフィリップ・ドゥ・シャンドン伯爵。19年『壬生義士伝』で新人公演初主演
出身／鹿児島県　　愛称・あみ

インタビュアー 名取千里（なとりちさと）
(株)ティーオーエー代表取締役、現代文化研究会事務局／主な編著書「タカラヅカ・フェニックス」（あさひ高速印刷）「タカラヅカという夢1914～2014」（青弓社）「タカラヅカ・ベルエポックI・II」（神戸新聞総合出版センター）／「仕事も結婚も」 （恒友出版）
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