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宙組 夢白 あや

第105期初舞台生のお披露目となる春の宝塚大劇場宙組公演は、11人の男達がラスベガスを舞台にカジノの金庫破りに挑むハリウッド映画をミュージカル化、2011年星組、13年花組で再演され共に好評を博した『オーシャンズ11』を5月27日まで絶賛上演中。 抜擢にこたえ、凛とした美しい佇まいをみせる第103期生の夢白あや、新人公演では大人の女性の複雑な恋愛感情を演じる。

『オーシャンズ11』の新人公演で2度目のヒロインを射止め、大人の女性テスに挑戦

 熱狂に包まれて幕が上がった宙組公演、ミュージカル『オーシャンズ11』が5月27日まで宝塚大劇場で上演中。ハリウッドを代表する豪華俳優たちが演じる犯罪スペシャリスト集団が、ラスベガスのカジノの巨大な地下金庫のセキュリティシステムを破って大金を強奪するサスペンス映画を、宝塚歌劇が世界で初めてミュージカル化したのが2011年。2013年の再演以来、待ちに待った待望のエンターテインメント大作が、脚本・演出の小池修一郎氏により、さらにパワーアップして登場。
 6月14日には東京宝塚劇場公演が初日を迎え、27日に新人公演が行われて、第103期生の夢白あやさんが宝塚大劇場に続いてヒロインのテス・オーシャン役に挑む。
 夢白あやさんといえば、2017年の宙組新人公演『神々の土地~ロマノフたちの黄昏~』で大公妃イリナ役を演じ、その約1年後の新人公演『異人たちのルネサンス』で初ヒロイン、カテリーナ役に大抜擢された、凛とした美しい佇まいが目をひく娘役だ。
 初ヒロインを演じてから半年後に再び巡ってきた2度目の新人公演ヒロイン役、テスを演じる夢白あやさんの胸のうちにある思いは、「新人公演でテス・オーシャンを演じる機会をいただき、とても感謝しています。前回に続いて本役の星風まどかさんから様々なことを学ばせていただける貴重なチャンスをいただいたので、課題となっていることを少しでも改善したいと思っています」
 夢白あやさんが新人公演『異人たちのルネサンス』で初めてヒロイン役を演じた時には「カテリーナ役として1時間半、舞台の上で生き続けなければいけない難しさを痛感しました。お客様にどう見ていただきたいかということを深く細かく研究して、集中して舞台にたたなければ、自分自身の外見的・内面的なクセが知らないうちに演技に出てしまいます。ふだんから自分を客観的に見つめる力をつけなければと思いました」
 夢白あやさんにとって『オーシャンズ11』は初めての現代ものだ。歴史ものと違って現代ものはナチュラルな喋り方が求められる。だが半面、「自分に近づきすぎてしまう怖れがあります。歴史ものより現代ものの方がやりやすいかというと、必ずしもそうではなく、新しく学ばなければいけないことがたくさんあると感じています」
 夢白あやさんが本公演で演じるのは、“5年前のテス”。「ダニーと出会ったばかりの、彼を愛し、幸せだった頃のテス。一方、新人公演で演じるのは詐欺で服役中のダニーと別れ、ラスベガスのホテル王ベネディクトの恋人になっているテスで、5年前とは正反対ともいえる心境です。でも、テスは本当にダニーを嫌いになったのかどうか――。ダニーとテスは現代の夫婦で、男女対等。正面からぶつかり合いますが、テスの本心はまだダニーに惹かれている――。そんな大人の女性の複雑な恋愛感情を演じるには、まだまだ舞台経験が浅くて苦戦すると思いますが、これまで学んできたことを活かして前進できるように頑張りたいです」
 実は、いつも舞台の上ですごく緊張している、という夢白あやさん。けれども、その緊張ぶりが見えないのが娘役・夢白あやさんのスゴイところだ。「うまく隠せているようです」と。清流に躍る若鮎のように生き生きした夢白あやさんの今後が大いに楽しみである。

夢白 あやさん

2017年『Dramatic“S”! 』で初舞台、その後宙組に配属。18年『異人たちのルネサンス』で新人公演初ヒロイン。
出身/東京都  愛称・もってぃー、あや

インタビュアー 名取千里(なとりちさと)
(株)ティーオーエー代表取締役、現代文化研究会事務局/主な編著書「タカラヅカ・フェニックス」(あさひ高速印刷)「タカラヅカという夢1914~2014」(青弓社)「タカラヅカ・ベルエポックI・II」(神戸新聞総合出版センター)/「仕事も結婚も」 (恒友出版)
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