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月組 天紫 珠李

3月15日から4月15日まで上演の宝塚大劇場月組公演は、吉川英治のベストセラー小説をもとに、天下無双を誇る剣豪・宮本武蔵の生き様を、彼を慕い続けるお通との恋を交えて描いた『夢現無双―吉川英治原作「宮本武蔵」より―』と、神秘的でオリエンタルな雰囲気に包まれた国、タイの首都をテーマに描くエキゾチックなレヴュー『クルンテープ 天使の都』の2作品。 男役として培ってきた感性を生かしスケールの大きい娘役をめざす天紫珠李。新人公演で初ヒロイン、武蔵を慕い続けるお通を演じる。

娘役に転向し射止めたヒロインは 剣豪・武蔵を慕うお通

 月組トップスター珠城りょうと新トップ娘役の美園さくらとの新トップコンビによるお披露目公演、グランステージ『夢現無双︱吉川英治原作「宮本武蔵」より︱』とレビュー・エキゾチカ『クルンテープ 天使の都』が4月15日まで宝塚大劇場で上演中。4月2日に行われる新人公演『夢現無双︱吉川英治原作「宮本武蔵」より︱』のヒロイン役に抜擢されたのが、2015年に初舞台を踏んだ第101期生の天紫珠李さんだ。「本当に私の身に起こったことなのか、と俄かには信じられないくらい驚きましたが、今は純粋にうれしい気持ちでいっぱいです。新人公演で宮本武蔵を演じる風間柚乃さんに一生懸命ついていきたいと思います」
 2017年7月の新人公演『All for One~ダルタニアンと太陽王~』では、その風間柚乃が本公演で演じたジョルジュ役に挑んだ天紫珠李さん。「まさか相手役をさせていただくことになるとは」と表情が和らぐ。
 男役だった天紫珠李さんが娘役に転向するきっかけになったのは月組ミュージック・パフォーマンス『MOON SKIP』。ある場面で娘役に扮して踊った天紫珠李さんは、「ダンスの振付を受けている時に、これまで経験したことがない解放感に包まれて楽しんでいる自分に気がつきました。娘役に転向したいなという思いが自然に湧いてきて、劇団に申し入れたところ、すぐに認めていただき、次の宝塚大劇場公演『カンパニー―努力、情熱、そして仲間たち―』『BADDY―悪党は月からやって来る―』から娘役として出演させていただくことになりました」
 初舞台から3年間、男役としてやってきたことをすべてゼロにして、新たにスタートしなければと思っていた天紫珠李さんだったが、「劇団レッスンの先生が、これまで男役として培ってきた感性などを娘役に生かせればスケールの大きい娘役になれるはずと言ってくださって、そのおかげで、男役をやっていたからこそ理想の娘役のあり方などもわかるのではないかと考えを深められるようになりました」
 とはいっても具体的にどうやればいいのか、葛藤する日々が続いた。男役のダイナミックさは娘役のダンスに応用できる。男役の強さを勉強してきたから、芯の強い女性の役に共感がもてる。けれども、ふとした時に男役のような手の動きをしてしまったり―。さらに最も苦労したのは声の出し方だという。「動き方や台詞の喋り方など、わからないことだらけで悩んでいた私に、愛希れいかさんが“とにかくやってみること、ちがっていたらちがうと言ってあげるから”とおっしゃってくださいました。愛希れいかさんも男役から娘役に転向された方なので、たくさんのアドバイスをいただきました。それ以来、迷ったらとにかくやってみることを目標にして取り組んでいます」
 努力の甲斐あって、新人公演初ヒロインに挑む天紫珠李さん。演じるのは、武蔵を慕い続ける幼馴染のお通役だ。「誰かを一途に想う役に憧れていました。相手役のいる役をさせていただけることが本当にうれしいです」
 天紫珠李さんが宝塚を初観劇したのは轟悠主演の雪組公演『ノバ・ボサ・ノバ』。幼いながら夢中で観たことを覚えているという。小学6年生から本格的にクラシックバレエのレッスンを積み、高校生の時に柚希礼音の舞台姿に憧れて宝塚音楽学校受験を決意した。
 「入団後3年で男役から娘役に転向しましたが、変わらず応援しますと言ってくださる方がたくさんいらっしゃって、本当にうれしかったです。今では、娘役になってから天紫珠李の存在を知ったというファンの方もいらっしゃいますし、応援してくださる皆様にはいつも感謝の気持ちでいっぱいです」
 早春の、瑞々しい花の美しさに目を瞠る人は多いだろう。娘役・天紫珠李さんの多様な魅力が見事なハーモニーを奏でる舞台の幕が上がる。

天紫 珠李さん

2015年『1789』で初舞台、その後月組に配属。
17年12月付で男役から娘役へ転向。18年『エリザベート』でマデレーネ(黒天使)。19年『夢現無双』新人公演で初ヒロイン。
出身/東京都  愛称・じゅり、まりこ

インタビュアー 名取千里(なとりちさと)
(株)ティーオーエー代表取締役、現代文化研究会事務局/主な編著書「タカラヅカ・フェニックス」(あさひ高速印刷)「タカラヅカという夢1914~2014」(青弓社)「タカラヅカ・ベルエポックI・II」(神戸新聞総合出版センター)/「仕事も結婚も」 (恒友出版)
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