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ガ ン 検 診

 昔は「ガン」といえば死に至る病として恐れられてきましたが、現在では完全に治る場合も多くあります。これは、抗ガン剤の開発など治療法の進歩の結果ですが、発見が遅れた場合は治療手段がないことが多いので「治せるうちに見つけること」つまり早期発見が重要になってきます。子宮系のガンの症状は,性器出血や腰痛と思っている人が少なくないようですが、実はこのような自覚症状はガンでないことのほうが圧倒的に多く、もしガンの症状であったとしたら残念ながら早期発見とはいえません。

 ガン検診の目的は「自覚症状のない人を対象に治せるうちに見つけること」です。したがって、死亡率を下げる効果がない検診ではガン検診とはいえません。幸い女性特有のガンは検診が有効であると認められています。

 子宮ガンには、子宮の内膜から発生する子宮体部ガンと腟に近い子宮の入り口から発生する子宮頸部ガンがあります。頸部ガンは、細胞診という簡単な検診により無症状の時期に早期発見できるので、確実に死亡率を下げることが可能になった代表的なガンです。以前は30歳以上の女性に勧められてきましたが、20歳代でも発生率は低くないことがわかり,最近では妊婦検診の初期にも受けることが勧められています。

 乳ガンのマンモグラフィ検査、超音波検査、子宮体部ガンも検診が有効なガンです。

 次の表はガン検診で発見された場合とそれ以外の場合の5年生存率を比較したものです。自覚症状がなくてもガン検診を定期的に受けることの重要性がわかっていただけると思います。


部位別、発見経緯別5年相対生存率
部位 検診で発見 その他
胃 87.8% 53.5%
大腸 91.9% 62.4%
肺 45.8% 16.3%
乳 92.8% 83.7%
子宮 94.1% 71.3%

大西泰彦(おおにしやすひこ)先生
奈良医大付属病院、県立西宮病院などを経て市立松原病院では副院長兼産婦人科部長として勤務。現在、宝塚市にて大西レディスクリニックを開業、同院長。
http://www6.ocn.ne.jp/~gyn/
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