11月5日まで上演中の宙組宝塚大劇場公演は、陰陽師と妖狐の宿縁を描いた日本物レヴュー『白鷺の城』と、15世紀のイタリア・フィレンツェを舞台に、レオナルド・ダ・ヴィンチと彼を取り巻く人々との愛憎を描いた『異人たちのルネサンス』の2作品。 キラキラの笑顔をみせる第103期生の夢白あや、抜擢を受け新人公演ヒロイン、カテリーナに挑戦!
宙組トップスター真風涼帆が率いる宝塚大劇場公演は、平成30年度(第73回)文化庁芸術祭参加公演の2作品、日本物レビューの―本朝妖綺譚―『白鷺の城』とミュージカル・プレイ『異人たちのルネサンス』―ダ・ヴィンチが描いた記憶―の豪華2本立てだ。10月23日に行われる新人公演『異人たちのルネサンス』―ダ・ヴィンチが描いた記憶―のヒロイン、カテリーナ役に大抜擢されたのが、2017年3月に初舞台を踏んだばかりの第103期生、夢白あやさんである。
夢白あやさんといえば、研1で新人公演『神々の土地』で、主要キャストである大公妃イリナ役を気品ある美しさで演じ切った姿が記憶に新しい。
「本番の舞台袖で緊張している私に、主役の瑠風輝さんが『しっかり稽古をしたのだから、あとはやりたいようにやればいいんだよ』とおっしゃってくださって、魔法のように気持ちが楽になりました。今回の新人公演でヒロインを演じさせていただくこととなり、発表後に他組の同期からも、よかったねというメールをもらい、改めて同期の愛情を感じると共に心の支えとなっています」
そのヒロイン、カテリーナは、イタリア・フィレンチェのルネサンス期に芸術家のパトロンであり軍事・外交でも活躍したロレンツォ・デ・メディチの愛人。「星風まどかさん扮するカテリーナの少女時代を本公演で演じていますので、その少女が成長したところをご覧いただけるよう、本公演も新人公演も星風まどかさんのそばで学べる機会に感謝しつつ励んでまいります」
常に何かを恐れている感じがカテリーナにはあり、彼女が心を開くのは真風涼帆演じる幼馴染みのレオナルド・ダ・ヴィンチだけである。「カテリーナの人への接し方は相手との関係性によって繊細に変化します。演技が平坦にならないように、しかも自然に振る舞えるように、課題は山ほどありますが、ダ・ヴィンチ役の瑠風輝さんに全力でついていきたいと思います」
夢白あやさんは6歳からクラシックバレエのレッスンを始め、ブロードウェイ来日公演「雨に唄えば」をみて自身のミュージカル好きを再確認した。バレエに加えて声楽を習うに当たり、目標をもったほうが上達するのではないかとの母親の意見で宝塚音楽学校受験を目指す。
「それまで母も私も宝塚歌劇を観たことがなかったのですが、都内に貼ってあった『ルパン三世―王妃の首飾りを追え!―』のポスターを見て、宝塚歌劇ってカッコいい!と。音楽学校に入学後、同期から宝塚歌劇について沢山のことを教えてもらい、“宝塚おとめ”を常に持ち歩き、お休みの日は舞台のDVDを観てすごしました」
その甲斐あって、まだ入団2年目なのに、どこから見ても宝塚の娘役そのものだ。「モダンダンス、日舞、お芝居などは初めての経験でしたから、ひたすら精進するのみ、という母からの激励の言葉を胸に、食いついていかなきゃと必死でした。芸事を教わる中で、人に敬意をもって接するなど、一人の人間として大事なことをたくさん学びました。音楽学校の2年間があったからこそ、今の私のベースができたと思います」
得意とする整理整頓も音楽学校時代の掃除分担がキッカケだ。入団後は「新人公演の経験から、いろいろなことに集中する力を得ました。真風涼帆さんには、体調管理をしっかりしなければと教えていただきましたので、日々の食事もバランスを考えて料理しています。経験は浅いのですが、今までやってきた役で学んだことを生かして、さらに夢白あやの新たな面を増やしていければうれしいです」
人は夢を追い続けるときがキラキラしている、という。「白は何色にも染まります。与えていただく役を白から鮮やかに色づけていける、そんな娘役になりたいです」
夢白あやさんの心に宿る魂まで、薫り立ってくる。
2017年『Dramatic“S”!』で初舞台。その後、宙組に配属。同年『神々の土地』新人公演で、イリナ役に抜擢される。
出身/東京都 愛称・もってぃー、あや