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花組 舞空 瞳

7月13日から8月20日まで公演中の花組宝塚大劇場公演は、江戸時代初期、島原の乱の指導者として語られる天草四郎時貞の姿をドラマティックに描くミュージカル『MESSIAH-異聞・天草四郎-』と、花にまつわる恋人たちの愛と夢とロマンを描くショー『BEAUTIFUL GARDEN-百花繚乱-』の2作品。 102期生として主席入団し抜擢が続く舞空瞳。多彩な役を演じられる、内面も豊かな娘役を目指して、新人公演初ヒロインに挑戦。

新人公演初ヒロイン役は 天草で隠れキリシタンとして生きぬいた女性

 美しさを誇る花組によるミュージカル『MESSIAH―異聞・天草四郎―』とショー・スペクタキュラー『BEAUTIFUL GARDEN』が7月13日、宝塚大劇場で初日を迎えた。島原・天草一揆を率いた謎多き美青年・天草四郎時貞の人間像を独自の視点で描き出した『MESSIAH―異聞・天草四郎―』は、現代性溢れる衣裳・美術を多用し、これまでにない新しい日本物オリジナル・ミュージカルに仕上がっている。天草四郎時貞を演じるのは和洋の麗しい美を合わせ持つ花組トップスター明日海りお。実力派の娘役トップ仙名彩世がヒロイン流雨に扮し、魂を揺さぶる人間ドラマを見せている。
 7月31日に行われる新人公演『MESSIAH―異聞・天草四郎―』のヒロインに抜擢されたのが第102期生の舞空瞳さん。「新人公演でヒロインを演じさせていただくお話を伺ったときは、驚きと同時に責任の重さを感じました。身を引き締めて頑張らないといけないという気持ちでいっぱいです」とまっすぐな視線で語る。2016年3月に首席で入団後、花組に配属されて3年目だ。舞空瞳さんが初めて通し役を演じたのが2017年10月、TBS赤坂ACTシアター公演『ハンナのお花屋さん』。通し役を経験することで役づくりの楽しさとむずかしさを実感でき、あらためて芝居をしっかり勉強したいと思うようになったそうだ。さらに2018年1月、『ポーの一族』の新人公演でメリーベル役を演じ、「漫画のバンパネラの世界観にとけ込むむずかしさや、大きなお衣裳の着こなし、繊細な髪型の整え方など、たくさんのことを勉強させていただきました」
 そして5月、宝塚バウホール公演『Senhor CRUZEIRO(セニョール クルゼイロ)!』―南十字に愛された男―ではバルバラという大人っぽい役に初挑戦した。「男役さんと組んで踊らせていただき、大人の魅力をダンスで表現することを学びました」
 新人公演『MESSIAH―異聞・天草四郎―』のヒロイン流雨は、かくれキリシタンである。「想像を絶する貧しさの中でも生きるエネルギーを失わない、芯の強い女性です。生と死の狭間で、きっとマリア様が助けてくれると信じ切る心の強さが流雨にはあります。その強さに近づけるように、真っ白な自分で役に入り、役にぶつかっていきたいと思います」
 実は、舞空瞳さんは日本史が大好きだという「歴史好きの父の影響で、家にある歴史本を小学生の頃からよく読んでいました。歴史物にヒロインとして取り組める喜びを感じつつ、本はもちろん映画なども参考にしながらお稽古しています」
 ダンスの先生に勧められて小学3年生の頃から劇場で宝塚歌劇を観劇するようになった舞空瞳さん。「いつか、あのキラキラした舞台に私も立ちたいと思うようになり、受験しました。入ってからわかったのは、ものすごいお稽古の積み重ねで舞台の輝きが生まれるということ。タカラジェンヌになって、舞台人としても人間としても様々なことを学ばせていただける時間のすばらしさを感じています」
 舞空瞳さんが目指す娘役像は、「いろいろな役柄に合わせて変化していける、内面が豊かな娘役になりたいなと思います。流雨役は特に仲間たちとのやりとりが多く、チームワークの大切さを学んでいます。ダンスはもちろん歌うことも大好きなので、声が重なり合った瞬間、音楽の中に自分が入っていくのを感じました。応援してくださるファンの方々に支えられて今の私がありますので、感謝の気持ちを舞台の上からお返しできる娘役になりたいと思います」
 瑞々しくて艶やかな、翳りのないヒマワリのような舞空瞳さんの笑顔の奥に、尽きることのない知の泉の存在が見える。

舞空 瞳さん

2016年『THE ENTERTAINER!』で初舞台。その後、花組に配属。18年『ポーの一族』新人公演でメリーベル役。『MESSIAH-異聞・天草四郎-』で新人公演初ヒロイン。
出身/神奈川県  愛称・ひっとん

インタビュアー 名取千里(なとりちさと)
(株)ティーオーエー代表取締役、現代文化研究会事務局/主な編著書「タカラヅカ・フェニックス」(あさひ高速印刷)「タカラヅカという夢1914~2014」(青弓社)「タカラヅカ・ベルエポックI・II」(神戸新聞総合出版センター)/「仕事も結婚も」 (恒友出版)
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