2018年の幕開け、2月5日まで上演中の花組宝塚大劇場公演は、萩尾望都原作、永遠に年を取らずに生き永らえていくバンパネラ「ポーの一族」を演出家・小池修一郎の念願かない舞台化したミュージカル・ゴシック『ポーの一族』。 美形男役として早くから注目を集める聖乃あすか、時空を超えて旅を続けるエドガー・ポーツネルに扮し、新人公演初主演に挑む!
世代を超えて読まれ続けている漫画史上の傑作、萩尾望都氏の「ポーの一族」が初めて舞台化され、2018年1月1日、花組宝塚大劇場公演『ポーの一族』として新春の華やかな熱気に包まれながら初日の幕を開けた。脚本・演出は日本を代表する演出家の一人である、宝塚歌劇団の小池修一郎氏。小池氏は「ポーの一族」のミュージカル化を夢見て宝塚歌劇団に入団し、1985年にミュージカル化を申し出たという。それから実に30余年、その間、原作者・萩尾望都氏があらゆる上演依頼を断り続けてきたという幻の舞台の宝塚歌劇での上演が実現した。1月23日には新人公演が行われて、第100期生の聖乃あすかさんがエドガー・ポーツネルに扮して初主演に挑戦する。
「まだ研4という学年でもあり、主演をさせていただけるとは思っていなかったので、すぐには信じられませんでしたが、星組の同期が新人公演に主演したことに刺激を受けて、私も頑張ろうという気持ちになっていましたので、うれしさ以上に責任を感じ、身が引き締まりました」
本公演で聖乃あすかさんが演じるのはジョージィという子役と、エドガーの影だ。影の役では、エドガーと同じカツラと衣裳で踊る場面もあり、「影は『エリザベート』の黒天使のような役所なので、エドガーとリンクできればいいなと思っています」
その『エリザベート』には聖乃あすかさんが初舞台を踏んだあと、組回りで花組公演に出演している。「それ以来ずっと花組です。『ポーの一族』という広い世代に愛されている作品に出演できるのは幸せですし、小池先生の新作に出られることもすごく幸せです。本公演でエドガーを演じられるトップスターの明日海りおさんの美しいポスターを見て、世界観に圧倒されました。原作ファンの方もご覧になるでしょうし、お客様の思いを裏切らないようにしなければと無我夢中でお稽古しています」
聖乃あすかさんは小さい頃から踊ることが大好きだったという。ダンススタジオに通い始めたのは小学2年生の時。その先生に勧められて初めて宝塚歌劇を観た。「花組公演『EXCITER!!』に衝撃を受けて、一直線に宝塚音楽学校受験と向き合いました」
目標を達成するためには、自分にできることをすべてやりたいと思うタイプ。「お稽古するのが好きなのだと思います。負けず嫌いですが、そう見えないとよく言われます(笑)」
おっとりした喋り方とは真逆のようだが、夢の最終地点は宝塚、と決意してからの頑張りは半端ではなかった。今も稽古が大好き。劇団レッスンはスケジュールが合えば必ず受けるし、休みの日もレッスンがあれば絶対に出たい。「何もせずに過ごすと不安になります。しなければいけないことがあるはずですから」
音楽学校に入ってから始めた歌には苦手意識があったという。歌うことが楽しいと思えるようになったのは、2016年、東京宝塚劇場公演『ME AND MY GIRL』新人公演でジャッキーを演じてからだ。「歌う機会をいただいたことで、経験を重ねることができて、歌ってすごく楽しいなと思えるようになりました。お芝居の流れで歌うのは本当に楽しいです。今回の『ポーの一族』では歌と台詞が半々。ナンバーが多いので、歌をすごく勉強しなければいけないなと思っています」
2015年の台湾公演をはじめ、大劇場以外の公演にも多数、出演している。直近では2017年10月、シアター・ドラマシティと日本青年館公演『はいからさんが通る』で藤枝蘭丸を演じたばかり。「2018年は舞台人としてさらに成長できる1年にしたいです。そのためには私自身の内面も成長しないと」
どこまでも謙虚でポジティブな聖乃あすかさん。芯に熱いものを持ったノーブルで美しい男役である。
2014年『宝塚をどり』で初舞台、組回りを経て花組に配属。17年『邪馬台国の風』新人公演でクコチヒコ役。18年『ポーの一族』新人公演で初主演。
出身/神奈川県 愛称・ほのか、あすか