新年の初詣で賑わう清荒神清澄寺。境内の史料館では今年の干支に因んだ「酉年を祝う」が1月4日~3月28日まで開催されています。鳥が描かれた茶道具や絵画など格調高く、美しい作品を観ることができます。
今年は60年に一度巡ってくる丁酉の年。酉は「取り込む」の意から商売には縁起の良い年と言われています。関東周辺の神社では「酉の市」という祭りがあり、中でも、東京浅草の鷲神社は全国的にも有名で、運気やお客を取り込むという熊手を買い求め、商売繁盛を願う参詣者で賑わいます。古来より鳥を描いた作品は多く、この展示では鶴、鶏、鷺、燕などを描いた絵画、茶道具など20点の作品が並びます。
珍しいものとしては千利休の妻・宗恩の紋所である鱗鶴(三角形の鱗の中に鶴の頭を配した)を蒔絵にした千家十職の一人で塗師・中村宗哲の棗、同じく竹細工師・黒田正玄の花入れが展示され、壁面には、空中を飛翔する鳥を印象的に描いた脇田和の洋画「風と共に来る鳥」と、古典的な図柄で雌雄の鶏を描いた今尾景年の「牽牛花鶏図」、歌舞伎俳優・15代目市川羽左衛門の静謐な「花鳥図」が飾られています。
荒川豊藏の作品8点は、鷺や鶉が絵付けされた鉢、花入れなどの他、鶴の白が浮き立つ「鼠志野鶴絵茶碗」や姫路城に因んで制作されたという志野茶碗 銘「翔鷺」は味わい深い作品です。
参拝の折に史料館に立ち寄り、新年に相応しい華やかな作品に出合って酉年をお祝いしましょう。