トップスター朝夏まなとのサヨナラ公演となる宙組宝塚大劇場公演は、1916年ロシア革命前夜を舞台に繰り広げられるミュージカル『神々の土地~ロマノフたちの黄昏~』と、レヴューロマン『クラシカル ビジュー』の2作品を9月25日まで上演中。 舞台映えする長身のスタイルと歌唱力で注目をあつめる瑠風輝が、3度目の新人公演主演、皇族で有能な軍人でもあるドミトリーを熱演。
宝塚大劇場では宙組公演、ミュージカル・プレイ『神々の土地~ロマノフたちの黄昏~』とレヴューロマン『クラシカル ビジュー』を9月25日まで上演中。上田久美子氏の作・演出による『神々の土地』はロシア革命前夜、過酷な運命に身を投じながらも自らの志を貫く帝国軍人ドミトリー・パブロヴィチ・ロマノフの生き様と秘めた恋を描く。見る者が現を忘れるほどの美しさに満ちた珠玉の宝塚歌劇作品だ。
「朝夏まなとさんが退団されるサヨナラ公演で、新人公演の主役をさせていただけることはとてもありがたく、大きな喜びを感じています」と2012年に初舞台を踏んだ第98期生の瑠風輝さん。『Shakespeare~空に満つるは、尽きせぬ言の葉~』『エリザベート―愛と死の輪舞(ロンド)―』に続く、3度目の新人公演主演だ。瑠風輝さんが新人公演に初主演したのは、本公演で初めて役がついた研4のとき。その折の震えるような驚きは今、頑張ろう、という強い意志の力に満ちている。
「新人公演初主演で演じたシェイクスピア役では、朝夏まなとさんに教えていただいたことが自分の力不足で表現し切れず、もっとできたのではないかという悔いが残りました。次のトート役では大好きな歌を歌えて楽しめた部分もあったのですが、もっと自分の感情をのせて歌えるようにならなければという課題ができました。今回は私の学年も上がっていますし、103期生の研1さんも出演していますので、新人公演のお稽古場で研1さんたちがたくさん学べるためにはどうしたらいいのだろうということも意識しながら、稽古していきたいと思います」
第98期生は、雪組トップ娘役の真彩希帆や花組の飛龍つかさ、月組の暁千星、星組の有沙瞳、天華えまをはじめ、各組で活躍中だ。「同期の活躍をみて、私も頑張ろうと、モチベーションが上がります。新人公演の舞台はできる限り見に行きます」
『神々の土地』本公演で瑠風輝さんは、ドミトリーの同僚の近衛騎兵将校役ロマン。174センチの長身、軍服姿も勇ましく、俊敏に立ち振る舞う瑠風輝さんは、瑠璃色の風のように輝いて観客の熱い視線を集め続けている。
小学生の時からほとんどの球技をやってきたという瑠風輝さん。運動神経がバツグンなのだ。ハンドボール、バレーボール、バスケットボール、ソフトボール、テニスのほか、バトントワリングも。クラシックバレエはもちろん、幼い頃から続けている。
「バレエをしっかりやりなさい、すべてがそこからつながっていくからと、ある上級生に教わりました。それに、新人公演でドミトリーを演じるためには、役の思いを深く掘り下げて共感できなければ。まだまだ朝夏まなとさんから勉強させていただきたいことがたくさんあります」
剣を使う場面を自主稽古していたときのこと。「カウントを数えながらお稽古するときとちがって、音をかけてやるときは、毎回本気でやらないと身につかないし、本番で成果が出ないよ」と朝夏まなとがアドバイスをくれたという。
「1番近くで学べる今の、この宝物のような時間を大切に、悔いのないようにすごしたいと思います」
宝塚スターの色とりどりの煌めきを宝石になぞらえたレヴューロマン『クラシカル ビジュー』では、瑠風輝さんのカモシカのような長い脚がしなやかに躍動する。
毎夜夢見た、念願のタカラジェンヌになった今、瑠風輝さんが目指すのは、ダンス、芝居、歌のすべてに輝く100%の男役だ。その理想像に向けて全力投球している瑠風輝さん。
理想像が射程距離に入るのは時間の問題だろう。
2012年『華やかなりし日々』で初舞台、宙組に配属。16年『Shakespeare』で、新人公演初主演。同年『エリザベート』で2度目の新人公演主演、大役トートを演じる。
出身/東京都 愛称・もえこ