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花組 飛龍 つかさ

7月10日まで上演中の花組宝塚大劇場公演は、明日海りお、仙名彩世の新トップコンビを中心にくりひろげられる壮大な歴史ファンタジー『邪馬台国の風』と、芳醇な香りと大人の雰囲気を放つレビュー『Santé‼』の2作品。 包容力を感じさせる男役を目標に、堂々とした演技をみせる飛龍つかさ、初めての新人公演主演に挑戦!

男くさい男役を目指し 『邪馬台国の風』新人公演で戦士タケヒコを演じる

 6月2日、花組宝塚大劇場公演が初日を迎えた。宝塚歌劇オリジナルの古代ロマン『邪馬台国の風』とレビュー・ファンタスティーク『Santé!!~最高級ワインをあなたに~』の2本立て。6月20日には新人公演『邪馬台国の風』が行われ、2012年に初舞台を踏んだ第98期生の飛龍つかささんが初めて主役に挑む。

 「主演させていただけるとは想像もしていませんでしたので、お聞きした瞬間は驚きました。その後、主役を演じる責任を感じると共に、これまで精一杯やってきた自分に期待する気持ちも出て来て、自分は舞台が大好きなんだとあらためて思うようになりました」

 前公演『金色の砂漠』の新人公演で飛龍つかささんが演じたのが王のジャハンギール。この役がターニングポイントになったという。「私にとってジャハンギールは初めての大きな通し役でした。空間を掌握することの大切さや、力みすぎては却って人物が小さく見えてしまうことなど、ジャハンギールを演じた経験から多くを学ぶことができました」


 『邪馬台国の風』は古代日本が舞台。資料が少なく、謎に包まれた時代の壮大な歴史ファンタジーだ。幼い頃、敵国の兵に両親を殺されたタケヒコは、ある時、神の声を聞くという娘マナを助ける。やがてマナは邪馬台国の女王ヒミコとなり、タケヒコの手の届かない存在になる。マナに思いを馳せるタケヒコ。しかし運命は、ある事件をきっかけに二人を再会させる―。

 「タケヒコを演じる花組トップスター明日海りおさんがオリジナルの役を一から創っていかれる過程を近くで勉強できるのは、ものすごく幸せなことです。壮大なテーマのスペクタクルな舞台なので、小さく収まってしまわないように、客席を我が国と思えるくらいの大きさを出して演じたいと思います」

 宝塚歌劇が大好きな祖母と母のもとで、生まれる前から宝塚の音楽があふれる環境で育ったという飛龍つかささん。元花組トップスター・愛華みれの退団公演、ショ―『VIVA!』をビデオで見て、「ここに入りたい」と宝塚音楽学校を受験。「小さい頃からお芝居のセリフを真似して楽しんでいましたから、演劇の授業でいい成績をいただくと、一層お芝居が好きになり、頑張ろうという気持ちが強くなりました。男役のダンスのカッコよさは特別ですから、芝居心のあるダンスが踊れるようになりたいです。そして、お客様に夢をお届け出来る存在になれたらと思っています」

 一人っ子の飛龍つかささんだが、同期生の中では頼られることの多い兄貴分タイプなのだそうだ。「なぜか同期生から先輩と呼ばれることもあります(笑)。早くから新人公演で主役を演じている同期の活躍は、私も頑張ろうという気持ちにさせてもらえて頼もしく、誇らしいです。今回、私の新人公演主演が発表されて、おめでとう、頑張ってねと言ってもらった時は本当にうれしくて、あらためて新人公演の主演をさせていただけるんだという、実感が込み上げてきました」

 飛龍つかささんの目指す男役像は、「男くさく、包容力を感じさせる男役です。私服も自然とモノトーンかブルー系、オフの持ち物も男っぽいもので揃えています」

 骨太な男役の優しさほど、心憎いものはない。

飛龍 つかささん

2012年『華やかなりし日々』で初舞台、花組に配属。17年『邪馬台国の風』新人公演で初主演。
出身/東京都  愛称・つかさ、ヤッシャ

インタビュアー 名取千里(なとりちさと)
ティーオーエー、現代文化研究会事務局/宝NPOセンター理事主な編著書「タカラヅカ・フェニックス」(あさひ高速印刷)「タカラヅカ・ベルエポックI・II」(神戸新聞総合出版センター)/「仕事も結婚も」 (恒友出版)
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