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雪組 野々花ひまり

第103期初舞台生のお披露目となる雪組宝塚大劇場公演は、1957年に封切られ日本映画史に燦然と輝く名作を原作としたミュージカル・コメディ『幕末太陽傳』と、“S”をキーワードに繰り広げるショー『Dramatic “S”!』の2作品を、4月21日から5月29日まで上演。 雪組トップコンビのサヨナラ公演となる舞台で、日本女性の良さをしっかり学びたいと語る野々花ひまりが、新人公演初ヒロインに挑戦!

日本映画史に残る人情喜劇を舞台化。 新人公演で初ヒロイン、女郎「おそめ」に挑む

 雪組トップスター・早霧せいなとトップ娘役・咲妃みゆの退団公演『幕末太陽傳』『Dramatic“S”!』が、4月21日から5月29日まで宝塚大劇場で上演。ミュージカル・コメディ『幕末太陽傳』は、日本映画の鬼才・川島雄三監督の代表作「幕末太陽傳」が原作。古典落語をもとに人間模様を軽妙なタッチで描き、一抹の哀愁をも漂わせた極上の人情喜劇だ。その新人公演『幕末太陽傳』のヒロインに、2013年に初舞台を踏んだ第99期生の野々花ひまりさんが抜擢された。最近、グッと美しさを増してきた野々花ひまりさんの、初めてのヒロイン役だ。「新人公演ヒロインのお話をお聞きした瞬間は驚きでいっぱいでしたが、今公演で退団される咲妃みゆさんからたくさん学びたいと思っていましたので、咲妃みゆさんの役をさせていただける喜びが一気に込み上げてきました」

 野々花ひまりさんは研5ですでに6作品の日本物に出演しているが、「着物での立ち姿や裾のさばき方など、むずかしいなと感じてきました。咲妃みゆさんの舞台姿を目に焼き付けて、日本女性らしさをしっかり学びたいなと思っています」

 幼い頃からバレエのレッスンを続けてきた野々花ひまりさんは、どちらかというとダンスが踊れる洋物のほうに興味があったという。今は時間を惜しんで日本史を読み返すほど和物に夢中の毎日である。「女郎のおそめさんは、現代の私たちには想像もできないほどの壮絶な人生を生きなければならず、様々な苦労をしています。郭の中のことしか知らず、いつか外の世界を見てみたいと願うおそめさんの気持ちに胸が締め付けられます。でもおそめさんは気が強くてカラリとした性格の明るい人。作品もコメディなので、笑いのつぼがたくさんあり、大いに楽しんでいただけると思います」

 これまで出演した公演の中で野々花ひまりさん自身、強く印象に残っているのが2016年6月にKAAT神奈川芸術劇場とシアター・ドラマシティで上演されたフランス産ミュージカルの日本初上演作品『ドン・ジュアン』である。「快楽主義で数多くの女性たちを魅了するプレイボーイ、ドン・ジュアンの少年時代を演じました。娘役の私が少年ドン・ジュアンにどれだけ近づけるか、娘役の殻を破らざるを得ない状況の中で望海風斗さん扮するドン・ジュアンにつながる少年にならなければと覚悟を決めました。難しかったのですが新しい発見がたくさんあり、お芝居が楽しくて大好きになりました」

 野々花ひまりさんが宝塚歌劇を初めて観たのは2009年4月、宙組公演『薔薇に降る雨』『Amour それは…』。第95期生がデビューした初舞台生公演だ。その後、博多座公演『大江山花伝』を観て宝塚音楽学校を受験する気持ちが固まった。「いつかヒロインを演じられるようになれたら…と思っていました。このようなチャンスを与えていただいたからには、全力で頑張っていきたいです。そして、この公演で学んだことを大切に、次に活かしていきたいと思います」

 野々花ひまりさんは高校時代“努力の上に花が咲く”と教わったそう。「太陽に向かって咲くひまわりが大好きです。私自身が目指す将来にまっすぐ向かって行けるように、そして野原に咲く花の可憐さも忘れないようにという思いで芸名を決めました。今公演で103期生が初舞台を踏みます。雪組では私たち99期生以来の初舞台生公演です。初心にかえり、本公演も新人公演もつとめたいと思います」

 日々の努力の積み重ねが野々花ひまりさんを押し上げ続ける。初ヒロイン役に輝く、まぶしい野々花ひまりさんである。

野々花ひまりさん

2013年『ベルサイユのばら』で初舞台、雪組に配属。17年『幕末太陽傳』新人公演で初ヒロイン。
出身/福岡県  愛称・ひまり、かほ

インタビュアー 名取千里(なとりちさと)
ティーオーエー、現代文化研究会事務局/宝NPOセンター理事主な編著書「タカラヅカ・フェニックス」(あさひ高速印刷)「タカラヅカ・ベルエポックI・II」(神戸新聞総合出版センター)/「仕事も結婚も」 (恒友出版)
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