1月30日まで上演中の月組宝塚大劇場公演は、ベルリンの高級ホテルを舞台に繰り広げられる人間模様を描いたミュージカル『グランドホテル』と、日本初のレヴュー『モン・パリ』誕生から90周年を記念しておくる『カルーセル輪舞曲』の2作品。 男役のさまざまな魅力を身につけていきたいと語る夢奈瑠音、再演が待ち望まれていた『グランドホテル』新人公演で、主役のフェリックス男爵に挑む。
話題のミュージカル『グランドホテル』の新人公演で主役フェリックス・フォン・ガイゲルン男爵を演じるのは、2010年に初舞台を踏んだ第96期生の夢奈瑠音さん。最後の新人公演で大きなチャンスをつかんだ。
「主役のお話をいただいた直後は、信じられないという驚きでいっぱいでしたが、すぐにラストチャンスを与えていただいたことへの感謝の思いがこみ上げてきました。月組の新トップスター珠城りょうさんのお披露目公演で、新人公演の主役を演じられるのはとても光栄ですし、再演が待ち望まれていた作品に出演できること自体、すごくうれしいので、精一杯がんばりたいと思います」
『グランドホテル』の舞台は1920年代のベルリン。豪華なグランドホテルに長期間、滞在中のフェリックスは、実は借金の返済に追われる日々をすごしている。ある日、引退興行のために宿泊しているバレリーナ、グルーシンスカヤの宝石を盗みに入るが、そこで彼女と出会い、生まれて初めて真実の恋に落ちる――。
「珠城りょうさんが演じていらっしゃる男爵像は気品があり、大きくて男らしい魅力に溢れています。私も品格を保ち、しっかりと存在感を出していきたいと思います」
夢奈瑠音さんの新人公演初主演を知った同期生たちからは、よかったね、がんばってねと、あたたかい言葉が届けられたという。
「新人公演の主役を演じたことのある同期生には、いろいろ教えてねと話しています。出演者の中で1番上の学年ですから、下級生をまとめていく立場です。不安も緊張もあって当たり前なので、みんなと素敵な舞台が創れたらいいなという思いで取り組んでいます」
夢奈瑠音さんが宝塚歌劇を初めて観劇したのは小学4年生の時。全国ツアー公演『春麗の淡き光に』『Joyful!!』である。「曾祖母と祖母が宝塚歌劇が大好きで、私の母は物心ついた時から観劇していたそうです。母は初観劇した時のすばらしい感動をしっかりと味わって欲しいという思いから、私が小学4年生になるまであえて劇場に連れていかなかったそうです。母の思惑どおり、私は生まれて初めて観る宝塚歌劇のすばらしい舞台から大きな感動を受け、宝塚歌劇に憧れを募らせました」
小学1年生の時からクラシックバレエのレッスンに通い、踊ることが大好きだった夢奈瑠音さんが、宝塚音楽学校受験を目指すようになるまでに時間はかからなかった。初めて受験した年に見事、合格。「音楽学校入学後に初めて男役の歌を学び、むずかしさと楽しさを知って、歌がどんどん好きになりました。今も歌は勿論大好きですが、これからはお芝居もさらに勉強していきたいです」
これまでは少年役など溌剌とした若い役が多かった夢奈瑠音さんだが、今年6月、『NOBUNAGA〈信長〉―下天の夢―』の新人公演で明智光秀という大人の男性役を演じ、「初挑戦でしたので教えていただくことがたくさんあり、一生懸命に引出しを増やしていきました。これからは何気なく立っているだけで男らしく見えるよう、男役のさまざまな魅力を身につけていくことが出来ればと思います」
お芝居の中で求められている役割を果たしながら、男役・夢奈瑠音の個性を色にしてお客様に伝えられるようになることが目標だ。
身体を鍛えることが大好きな体育会系のスターだが、書道が特技で、茶道のクラブ活動もやっていたという文化系の一面もある。そんなギャップが憎いほどステキだ。
最近、雑貨を買いに行くと必ず言われることがある。「プレゼントですかと聞かれるのですが、そうではなくて、私のために買っているのです」とチャーミングな笑顔を見せる。
実は夢奈瑠音さんは可愛い雑貨が大好き。もうすでに、素顔のときも麗しく凛々しい存在感を色濃く放っている。
2010年『THE SCARLET PIMPERNEL』で初舞台、月組に配属。17年『グランドホテル』で新人公演初主演。
出身/東京都 愛称・るね