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星組 天華えま

宝塚大劇場星組公演は、幕末の動乱期に真っ直ぐに生きた最後の侍の生き様を描き出した 『桜華に舞え』と、華やかで美しく香り高い世界を描いたロマンチック・レビュー・シリー ズ第19作品目『ロマンス!!』の2作品を10月3日まで上演中。 華麗なダンスで魅せる天華えまが、星組トップコンビのサヨナラ公演で新人公演初主演、 強い挑戦の気持ちで舞台に臨む。

明治維新から西南戦争へと向かう 激動の歴史を美しい日本物で魅せる

 8月26日に初日を迎えた星組宝塚大劇場公演は、グランステージ『桜華に舞え―SAMURAI 
The FINAL―』と、ロマンチック・レビュー『ロマンス!!(Romance)』の2本立て。星組
トップスター北翔海莉の退団公演だ。トップ娘役の妃海風も共に退団する。

 新人公演『桜華に舞え』に初主演するのが、2012年に初舞台を踏んだ第98期生の天華
えまさん。

 「新人公演主演は一つの目標でもありましたので、死ぬ気でがんばろうと気持ちを新た
にしましたが、まだ実感がありません。私を応援してくださる方々から、頑張ってねとい
うあたたかい言葉をたくさんいただきましたので、その方々のお気持ちに応えてきちんと
成果を出すためにも、強い挑戦の気持ちで舞台に臨みたいと思います」

 『桜華に舞え』は明治維新の立役者の1人、桐野利秋の生き様を描いた日本物ミュージ
カル。天華えまさんが本公演で演じるのは会津藩第9代藩主の松平容保である。

 「日本物のお芝居は初めてですが、日本史と着物が大好きで、小さい頃から両親に京都
や各地の神社めぐりによく連れて行ってもらいました。今は大好きな大河ドラマ『八重の
桜』のDVDを観て、同時代を描いたこの作品からたくさん刺激を受けています」

 研3のとき、天華えまさんは全国ツアー公演『風と共に去りぬ』のウィリー役を演じる
ことになり、上級生の中に混じってどうやって役を深めていけばいいか、どんな努力をす
ればいいかと、もがき苦しんだという。「自分の甘さや弱さに直面し、思うような表現がで
きませんでした。前回の新人公演『こうもり』でクリプトン役を演じた時、ファルケ博士
の助手グループの中で一番上級生の私がみんなを纏めるという立場を初めて経験したので
すが、沢山悩んで下級生への思いの伝え方を学ぶことができ、ようやく自分らしさを取り
戻せたように思います」

 先の見えない暗闇から抜け出した直後に手にした新人公演初主演だ。それぞれに輝きな
がら、全員の心が一つになれる舞台を創りたいと、天華えまさんは思っている。

 天華えまさんが宝塚歌劇を初観劇したのは天海祐希主演の『ME AND MY GIRL』。「当時は
まだ幼かったのですが、今でも1番好きな舞台です」。

 小学校の卒業文集に宝塚歌劇団に入りたいと書いていたが、中学からはバレリーナにな
るために厳しいレッスンを積んでいた。だが日本でバレリーナになるためには身長が高く
なりすぎた天華えまさんに、宝塚ファンの母が宝塚音楽学校受験を勧めた。「もし宝塚受験
に失敗していたら海外留学を目指していたと思います」

 天華えまさんは、「直感を信じて演じたいですね」と、初めて台本を読んだときの感情を
大事に役作りしているという。目指している男役は、「泥臭い熱い男役もさわやかな王子様
も似合う、いろいろな味が出せて七変化する男役になりたいと思っています。芯がぶれず、
面白さをそなえていて、お客様に飽きないなと思っていただけるような」
天華えまさんが『桜華に舞え』で演じる本役の松平容保も、新人公演の桐野利秋も、信念
のある芯のぶれない人物である。

 そして『ロマンス!!(Romance)』は、岡田敬二氏の作・演出によるロマンチック・レビ
ュー・シリーズ第19作だ。宝塚の伝統的な美しいレビューシーンで、鍛錬の賜物である天
華えまさんの華麗なダンスが見られるに違いない。

天華えまさん

2012年『華やかなりし日々』で初舞台、星組に配属。16年『桜華に舞え!!』新人公演で初
主演。
出身/滋賀県  愛称・ぴーすけ、ぴー

インタビュアー 名取千里(なとりちさと)
ティーオーエー、現代文化研究会事務局/宝NPOセンター理事主な編著書「タカラヅカ・フェニックス」(あさひ高速印刷)「タカラヅカ・ベルエポックI・II」(神戸新聞総合出版センター)/「仕事も結婚も」 (恒友出版)
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