真夏の宙組宝塚大劇場公演は、独創的なストーリーと美しい旋律で多くの人々を魅了し、宝塚歌劇を代表する人気作となったミュージカル『エリザベート―愛と死の輪舞―』を8月22日まで絶賛上演中。 キレのあるダンスで存在感を現す和希そら、本公演では黒天使、新人公演では憧れのルキーニに挑戦!
全編がすばらしい楽曲で綴られたウィーン発のミュージカル「エリザベート」が、宝塚歌劇団により日本初演の幕を上げたのが1996年。黄泉の帝王トートを主役においた宝塚版『エリザベート―愛と死の輪舞―』の独特の世界観は、忽ち観客を魅了した。再演を重ね、上演回数899回、観客動員数216万人を達成。宝塚歌劇初演から20周年を数える今年、待望の宙組宝塚大劇場公演『エリザベート―愛と死の輪舞―』が7月22日に初日を迎えた。その新人公演が8月9日に開催され、2010年に初舞台を踏んだ第96期生の和希そらさんがルイジ・ルキーニ役に挑戦。
「『エリザベート―愛と死の輪舞―』は宝塚音楽学校に入学する前年、雪組公演を観ました。5組すべてが上演し終えて、雪組が2巡目のスタートを切った2007年の舞台です。水夏希さんがトートを演じていらっしゃいました」と和希そらさん。『エリザベート―愛と死の輪舞―』の中で、狂言回し役を担うルキーニ役はとても魅力的な役である。「ルキーニはイタリアの無政府主義者で、フランツ・ヨーゼフ1世の皇后エリザベートを暗殺した実在の人物ですが、幕開きに衝撃的に登場して、物語の進行役を務めます。重要なストーリーテラーとしての役どころに、とても魅力を感じます」
和希そらさんの新人公演歴を振り返ると、宝塚歌劇100周年の2014年に研5で演じたのが新人公演『ベルサイユのばら―オスカル編―』の主役オスカル。
「歴史的な記念の年に新人公演初主演をさせていただき光栄でした」
新人公演主演経験はその後の舞台に確実に生きていると感じるそうだ。「新人公演主演のときと同じだけのパワーを常に本公演でも出せれば、場面全体が確実によくなることを実感しました」
『エリザベート―愛と死の輪舞―』の初日が開くと、和希そらさんがルキーニ役に挑む新人公演の稽古が始まる。「新人公演メンバーの長の学年になりましたので、下級生を率いて稽古に取組みます。宙組は団結力があり、コーラスが良いと褒めていただけることが多いのですが、それを新人公演でも感じていただけるよう、宙組の誇りをもってやり遂げたいと思います」
一方、和希そらさんが本公演で演じるのは、トートの心情をダンスで表現する黒天使だ。幼稚園の頃からジャズダンスとヒップホップを習い、学生時代は毎日ダンスレッスンに明け暮れたほどダンスが好きな和希そらさん。「歴代の舞台と振付は変わっていませんが、過去の映像からコピーするのではなく、今、この瞬間に直接先生からつけていただく振りを新鮮に受け止めて、初演に臨むつもりでお稽古しようと心がけています」
和希そらさんが忘れられない思い出のダンス場面がある。2015年3月、梅田芸術劇場メインホール公演『TOP HAT』でのこと。「上級生の娘役さんと組ませていただき、初めて舞台の中央で踊る機会をいただきました。組長さんやトップスターの朝夏まなとさんに、包容力や色気などを教わって、娘役さんと組んで踊る楽しさを知りました。新しいことをたくさん学ぶことができて、本当に楽しかったです」
和希そらさんが目指している男役の姿は、男らしい、色気のある男役だ。「たとえばピンクならショッキングピンクが好きです。ピンク色の似合う男性ってステキじゃないですか。ピンクを着ても女っぽくならない、魅力的な男役になりたいんです」
そんな和希そらさんが、真っ黒な役ルキーニに挑む。旬の色気を放つ男役・和希そらさんの舞台姿を見逃すわけにはいかない。
2010年『THE SCARLET PIMPERNEL』で初舞台、宙組に配属。14年『ベルサイユのばら―オスカル編―』新人公演で初主演。
出身/岡山県 愛称・そら、そーちゃん