春爛漫の宝塚大劇場星組公演では、ワルツ王、ヨハン・シュトラウス二世のオペレッタ「こうもり」より、19世紀後半のウィーンを舞台にした愉快なミュージカル『こうもり』と、北翔海莉率いる星組の魅力を余すところなく見せる華麗多彩なショー『THE ENTERTAINER!』の2作品を4月25日まで上演中。 抜群のスタイルで魅せる若手男役スター紫藤りゅう、新人公演初主演でファルケ博士に挑戦!
宝塚大劇場では4月25日まで、星組公演『こうもり』『THE ENTERTAINER!』の2作品を上演中だ。MUSICAL『こうもり』の新人公演で主役のファルケ博士を演じるのが、2010年に初舞台を踏んだ第96期生の紫藤りゅうさん。「今日まで無我夢中で走り続けてきました。新人公演に出られる最後の学年で主役をさせていただくことになり、大変光栄です」
原作の「こうもり」は1874年にヨハン・シュトラウス二世が作曲し、アン・デア・ウィーン劇場で初演したオペレッタ。宝塚版でも出演者は全員、クラシックの発声で原曲どおりに歌うという。
「ファルケ博士を演じられる北翔海莉さんは、本当に素晴らしい歌声をお持ちでいらっしゃいます。新人公演で同じ役を演じさせていただくにあたって、私はまだまだ技術が追いつきませんが、歌うことへの苦手意識を捨てて挑戦し続けたいと思います」
「うまく歌えるようになるためには、物まねをしなさい」と北翔海莉からアドバイスをもらった紫藤りゅうさん。「目から鱗が落ちました。耳からとり入れた情報をどんどん声に出すことが勉強になります。特にオペレッタが原作の『こうもり』では深く響きのある声を出さないと作品の深みが出てこないよと教えていただきましたので、クラシックの発声をしっかり修得したいと思います」
紫藤りゅうさんは研2のとき、『ノバ・ボサ・ノバ』の新人公演で、出世役と言われているドアボーイ役に抜擢された。配役変更に伴ってのことだったが、観客の視線が集まったのはいうまでもない。そんな紫藤りゅうさんに一つの転機が訪れたのは2014年1月、『眠らない男・ナポレオン―愛と栄光の涯に―』の新人公演でナポレオンⅡ世を演じた時のことだ。「稽古を重ねても何かができるようになったという自覚がもてなくて、本役の天寿光希さんにご相談すると『まず自分がやりたいことをやらなきゃいけない、何がやりたいのかをみせないとお客様に何も伝えられないよ』とアドバイスをいただきました。次に2015年2月『黒豹の如く』の新人公演でマルコス・ファビオ役をさせていただいたときも本役の天寿さんに『紫藤はもっと自分を出した方が良いんじゃないかな、出し切れていない部分がまだまだあるよ』と言っていただいたことがきっかけで、自分を信じることが自信につながり表現力を増すことがわかりました」
そして2015年8月、『ガイズ&ドールズ』の新人公演で紅ゆずる演じるネイサン・デトロイト役に抜擢された紫藤りゅうさん。「北翔海莉さん演じる主役スカイと紅ゆずるさん扮するネイサンとの掛け合いがいかに素晴らしいかということを痛感しました。お二人ともコメディセンスが抜群で、間のとり方は誰にも真似ができません。『こうもり』もファルケ博士と親友のアイゼンシュタイン侯爵との丁々発止の駆引きが楽しいお話です。紫藤はコメディが課題だねと言われるのですが、新人公演では少しでもお客様に笑っていただけるよう、頑張っていきたいと思います」
紫藤りゅうさんが宝塚歌劇を初めて観たのは2007年の月組公演『パリの空よりも高く』と『ファンシー・ダンス』。「リズミカルで洒落た台詞の掛け合い、お客様の心をくすぐるお芝居の絶妙な間、トップハットにステッキ、タキシードやスーツを着た男役さんの群舞に感動して、私も男役をやりたい、と思うようになったんです」
4歳から始めたクラシックバレエ、174センチの長身、抜群のスタイル。男役になるために生まれてきたような紫藤りゅうさんが目指しているのは、ノーブルな品のある男役。
リアルな世界にいるはずのない男役の究極の魅力とは? その答を、紫藤りゅうさんの今後の舞台で是非、みせてほしい。
2010年『THE SCARLET PIMPERNEL』で初舞台、星組に配属。16年『こうもり』で新人公演初主演。
出身/東京都 愛称・るりこ、しどりゅー、しゃもじ