雪組・宝塚大劇場公演は、和月伸宏氏原作の大ヒットコミック、アニメや実写映画も次々とヒットを重ね、世代を超え多くの人に愛されている「るろうに剣心―明治剣客浪漫譚―」を初めてミュージカル化した浪漫活劇『るろうに剣心』。 華やかで鮮やか、シャープな身のこなしを魅せる永久輝せあ。少年のような純粋さをもちながら、歴史ある宝塚歌劇の名作の主役も似合う、品格ある男役をめざす。
宝塚大劇場では、和月伸宏氏原作のシリーズ売上累計5,900万部を超える大人気コミック「るろうに剣心―明治剣客浪漫譚―」を演出家・小池修一郎氏により初めてミュージカル化した浪漫活劇『るろうに剣心』の幕が上がり、3月14日まで上演中。主役の緋村剣心を演じているのは昨年1月、『ルパン三世―王妃の首飾りを追え!―』のルパン役で新生雪組披露公演を見事に率いたトップスター早霧せいなだ。2月23日には新人公演が行なわれ、研6の永久輝せあさんが、アニメや実写映画も大ヒットを重ねる世界的ヒーロー、緋村剣心役に果敢に挑む。永久輝せあさんは2011年に初舞台を踏んだ第97期生で、2015年1月にルパン三世役で新人公演初主演を果たした。
「新人公演で早霧せいなさんの役を演じさせていただくのは、2014年『一夢庵風流記 前田慶次』新人公演での奥村助右衛門役を含めて3度目になります。緋村剣心役は宝塚ファンの方々だけでなく原作のファンの方々の期待に応えなければという大変さがありますが、素敵な役なので、演じさせていただけるとわかった時は素直にうれしかったです。お稽古は原作を読んで自分なりに役のイメージを膨らませることから始めましたが、早霧せいなさんが演じる剣心を見て本当にいろいろなことを学ばせていただいているので、早霧さんのお力をお借りして演じられる部分は大きいと思っています」
緋村剣心が究極のヒーローと言われるのは自分自身と向き合う内面の強さと純粋さ、周りの人への優しさがあるからで、役づくりの楽しさをすごく感じているという永久輝せあさん。「ただ人斬り抜刀斎と称された美しい剣さばきを舞台でお見せするのはむずかしく、練習がかなり必要だなと実感しています」
ルパン三世役では軽快な身のこなしで魅力満開だった永久輝せあさんだが、殺陣もある剣心役にはまた違った難しさがあるという。「早霧さんは『男を演じるのだから、地に足をつけて、お腹に力を入れて』と教えてくださいます。入団7年目までの生徒で演じる新人公演に出られるのは、後少しです。私がそうして育てていただいたように、自分の役作りに必死になるだけでなく、舞台全体に目を行き届かせて下級生にアドバイスができるようにならなければいけないなと思います」
男役に憧れて宝塚を目指した永久輝せあさんは、宝塚歌劇以外の舞台を見る時も自然と男性ばかりに目がいくそうだ。スーツの着方や男らしい身体のライン、笑いかた、エスコートのしかたなど、理想とする男役になるためにチェックしたい項目がたくさんある。
「宝塚の男役として、品格を忘れてはいけないと肝に銘じています。心の芯、身体の芯、舞台に対する姿勢の芯が強く、黒燕尾が最高に似合う男役になるのが夢です。少年のような純粋さをもちながら、歴史ある宝塚歌劇の名作の役もよく似合う、そんな男役が理想ですね」
これから挑戦してみたい役をお聞きすると「新しい表現力を必要とする舞台に挑戦して引き出しを増やしたい。人間ではない役をやってみたいです」
挑戦者の前には必ず壁や山が立ちふさがるが、「壁や山からはどうやっても逃げられないので、きちんと受け止めて稽古に励む、それしかありません。私は器用なほうではないので、突き詰めて考えて納得するまでやり続けますね」
初のミュージカル化の見所の一つが、原作はもちろんアニメにも実写映画にもなかった、剣心が歌う場面だ。「人斬りと呼ばれていた時の陰のある曲や、人びとの幸せを願い、逆刃刀を振るうようになってからの明るい曲など、数曲を歌わせていただきます」
持ち前のスター性が剣心役に憑依したときの、永久輝せあさんの鮮やかさは譬えるものがない。
2011『めぐりあいは再び』で初舞台、雪組に配属。15年『ルパン三世―王妃の首飾りを追え!―』で新人公演初主演。
出身/東京都 愛称・ひとこ、ひとみ