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宙組 瑠風 輝

2016年の幕開けを飾る宙組・宝塚大劇場公演は、シェイクスピア没後400年メモリアルミュージカル、シェイクスピア自身を主人公とした『Shakespeare~空に満つるは、尽きせぬ言の葉~』と、ダイナミック・ショー『HOT EYES!!』の2作品を2月1日まで上演中。 恵まれたスタイルと歌唱力で存在感をあらわす瑠風輝、初めての新人公演主演でシェイクスピアに挑む!

新人公演で、実在の人物シェイクスピアを 「感性豊かに演じたい」

 新年の宝塚大劇場では、宙組公演『Shakespeare~空に満つるは、尽きせぬ言の葉~』『HOT EYES!!』の2作品を2月1日まで上演中。公演期間中に一日だけ行われる新人公演が、1月19日18時に開演する。

 その主役に抜擢されたのが入団4年目の瑠風輝さんだ。2012年に宙組公演で初舞台を踏み、宙組公演に組回り出演後、宙組に配属。今回新人公演に初めて主演する。前回の新人公演『王家に捧ぐ歌』では本公演で真風涼帆が演じたウバルト役に扮し、伝統的な男役の技法と現代的な佇まいで観客を魅了した。「ウバルト役では本当にたくさんのことを学ばせていただくことができました。今回は主役、しかもシェイクスピアという実在の人物を演じさせていただきますので、いろんな本を読んで勉強し、まずは自分なりの解釈ができるようになりたいと思います」

 イングランドに生まれ、ロンドンで活躍し、「ハムレット」「オセロ」「ロミオとジュリエット」「真夏の夜の夢」など多くの傑作を残して52歳で没したと言われている劇作家、ウィリアム・シェイクスピアの人物史は謎に包まれている。シェイクスピア没後400年メモリアルとして描かれた宝塚歌劇のオリジナル・ミュージカル
『Shakespeare~空に満つるは、尽きせぬ言の葉~』は、史実に戯曲を絡ませつつ、シェイクスピアの生き様をドラマチックに描いた作品だ。「先日行われた制作発表を拝見した時に、シェイクスピア役の宙組トップスター朝夏まなとさんが歌われた曲がとても素敵で胸を打たれました。私は歌うことが大好きなので、その曲を新人公演で歌わせていただけることが本当にうれしいです。朝夏まなとさんは、これまでも役によって声のトーンや話し方をすべて変えていらっしゃって、今回も魔女や妖精を信じている17歳の感性豊かな青年シェイクスピアの純粋な気持ちが年上の女性アン・ハサウェイへの純愛へと育っていく感情の波を色濃く表現されていますので、私もシェイクスピアが成長していく過程を大事に演じることを心がけています。ふだんは感情があまり表に出るタイプではないのですが、今の自分に出来る精一杯の力を発揮して、凛とした十代のシェイクスピアを感性豊かに演じたいと思います」
 舞台映えする174センチの恵まれた長身に加え、感情の起伏を芝居に昇華して表現できるインテリジェンスを持つのが男役・瑠風輝の強みだ。新人公演はもちろん、本公演での活躍が大いに期待されており、本役ではアン・ハサウェイの弟役のほか、宮内大臣一座の役者ロバート・アーミンに扮してジュリアス・シーザーほかシェイクスピア作品の人物を次々と演じわける。有望な若手男役スター瑠風輝さんの様々な魅力が引き出される憎い仕掛けだ。

 「劇中劇の場面では瑠風輝ではなく役者のロバートが演じているように見えなければいけませんので、それらを踏まえ、しっかり表現したいと思います」
 瑠風輝さんが宝塚歌劇と出会ったのは中学生の時。東京宝塚劇場で初観劇したのが春野寿美礼主演の花組公演『ファントム』だった。ここに入りたい、と直感で決めた。「クラシック・バレエを習っていましたが、歌うことも大好きでした。オペラ座の怪人を題材とした舞台で、ファントム役の春野さんのすばらしい歌声にすっかり心を奪われました」

 2016年7月から始まる宙組公演は、ウィーン発の世界的なミュージカルであり、いまや宝塚歌劇を代表する人気作の一つ『エリザベート―愛と死の輪舞―』である。真夏に観るもうひとつの夢のために今、役に命を吹き込み歌い舞い踊る瑠風輝さんの輝かしい舞台姿を目に焼き付けておきたい。

瑠風 輝さん

2012『華やかなりし日々』で初舞台、宙組に配属。
16年『Shakespeare~空に満つるは、尽きせぬ言の葉~』で新人公演初主演。
出身/東京都  愛称・もえこ

インタビュアー 名取千里(なとりちさと)
ティーオーエー、現代文化研究会事務局/宝NPOセンター理事主な編著書「タカラヅカ・フェニックス」(あさひ高速印刷)「タカラヅカ・ベルエポックI・II」(神戸新聞総合出版センター)/「仕事も結婚も」 (恒友出版)
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