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星組 綺咲愛里

8月21日から9月28日まで上演中の星組宝塚大劇場公演は、ブロードウェイでも最も陽気なミュージカル・コメディの傑作中の傑作、ファン待望の『ガイズ&ドールズ』。 常に最大の挑戦を続けたいと語る綺咲愛里、星組新トップコンビ北翔海莉と妃海風の宝塚大劇場お披露目公演で、新人公演ヒロインに挑む。

待望の再々演『ガイズ&ドールズ』の 新人公演でヒロイン・サラを

 新トップスター北翔海莉と新トップ娘役の妃海風を中心とする新生星組公演『ガイズ&ドールズ』“GUYS&DOLLS”が8月21日、宝塚大劇場でスタートする。1950年にブロードウェイで幕を上げ、ミュージカル・コメディの傑作中の傑作と言われる『ガイズ&ドールズ』の宝塚版が、大地真央のスカイと黒木瞳のサラで初演の幕を上げたのが1984年。02年の再演も大好評を得て、再度の上演が待ち望まれていた。

 9月8日、18時に開演する新人公演でヒロインのサラを演じるのが、2010年に初舞台を踏んだ第96期生の綺咲愛里さん。『The Lost Glory―美しき幻影―』と『黒豹の如く』の新人公演でもヒロインを演じている。「初めて新人公演のヒロイン役をいただいた時はとても緊張しましたが、憧れのトップ娘役さんが演じていらっしゃる役をさせていただけることがうれしかったです。二度目の時は少し緊張が薄らいだものの、ヒロイン役をさせていただく責任をすごく感じましたし、お話が奥深い内容だったこともあって台本を何回も読み返しました。『ガイズ&ドールズ』は映画化もされていて、いろんな資料から様々なヒントを得ることができますが、大事なことは全て台本に尽くされていて台本の中に沢山の答えがあると思いますので、それをさがしていきたいです。一方で私は再演作品に出演させていただく機会がほとんど無かったので、歴代の上級生が演じていらっしゃる舞台の映像を繰り返し観るという勉強方法に新鮮な思いで取り組んでいます」

 時代は1948年頃のニューヨーク。ギャンブラーのスカイは一晩で女性を口説き落とせるかどうかという仲間のネイサンの賭けに乗り、ネイサンが指定した、お堅いことで有名な救世軍の娘サラに接近する。「サラはギャンブラーのような生き方を嫌っていますが、次第にスカイに打ち解けていく心情が素敵に描かれていますので、大切に演じたいです。サラの気持ちが揺らぐときに歌になるので、気持ちを乗せて歌いたいと思います」

 本公演で演じるのはミミという踊り子。「ミミは屈託のない、いかにもアメリカの女の子といった性格です。礼真琴さんが演じていらっしゃるアデレイドと同じ場面に出ていることが多く、ショーナンバーを数曲踊らせていただきます。新人公演で組ませていただいたことのある男役の礼真琴さんが今回は女役のキュートなアデレイドを演じていらっしゃるので、すごく新鮮に感じています」

 綺咲愛里さんは今年6月、赤坂ACTシアターと大阪梅田のシアター・ドラマシティで『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』のヒロインを演じた。「ナースのブレンダは等身大に近く、お稽古場ではありのままの自分で演じられるかなと思っていたのですが、次第に成長し、地に足のついた大人の女性になるまでの道のりを表すのが課題でした。でも幕が上がってからは毎日、新しい発見ばかりで、時にはお芝居なのか現実なのかわからなくなるほど楽しくて幸せな経験をさせていただきました」

 兵庫県川西市出身。習っていたピアノの先生に勧められて音楽学校受験の願書を出し、そのあとに宝塚歌劇を初めて観たという珍しいケース。
「合格できるとは考えていませんでしたので、合格発表を見た時は思いがけないことに動揺してしまって」。その気持ちの揺らぎを音楽学校の教師の言葉が抱きとめた。あなたがたは不合格だった人たちの涙を背負ってここにいるのです、と。「その言葉で覚悟を決めました。同期生に手取り足取り様々なことを教えてもらい、音楽学校の2年間でどんどん宝塚歌劇を好きになっていきました。宝塚の煌びやかな舞台は、失敗を恐れずに自分をさらけ出して鍛え続ける神聖なお稽古場があってこそ。お稽古場では緊張しますが、常に最大の挑戦をし続けていきたいと思っています」

 ライトを浴びて輝く舞台姿はもちろん、自らの信じる道を突き進む姿勢の美しいスターである。

綺咲愛里さん

2010年『THE SCARLET PIMPERNEL』で初舞台、星組に配属。14年『The Lost Glory―美しき幻影―』で新人公演初ヒロイン。シアター・ドラマシティ公演『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』でヒロイン。
出身/兵庫県  愛称・あーちゃん

インタビュアー 名取千里(なとりちさと)
ティーオーエー、現代文化研究会事務局/宝NPOセンター理事主な編著書「タカラヅカ・フェニックス」(あさひ高速印刷)「タカラヅカ・ベルエポックI・II」(神戸新聞総合出版センター)/「仕事も結婚も」 (恒友出版)
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