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月組 海乃美月

第101期初舞台生のお披露目となる月組宝塚大劇場公演は、革命勃発のパリに生きた若者たちの、激しく熱い愛と理想に満ちた青春を描いた、フレンチ・ロック・ミュージカル『1789―バスティーユの恋人たち―』を6月1日まで上演中。 早くからの抜擢に応え多彩な表情をみせる海乃美月、役替りでトップスターの恋人役に挑戦!

仏革命を背景にトップスターの 恋人役を役替りで演じる

 新世紀を迎えた宝塚歌劇団では第101期初舞台生のお披露目公演が始まった。毎年恒例の初舞台生による口上とラインダンスは、春の宝塚大劇場公演でしか観られない。今年は、2012年にフランスで初演されたヒット作を宝塚歌劇団座付の小池修一郎氏が潤色・演出したフレンチ・ロック・ミュージカル『1789―バスティーユの恋人たち―』で披露。6月1日まで、トップスター龍真咲が率いる月組により上演中だ。

 この宝塚バージョンの見所のひとつが、トップスター龍真咲が扮する青年ロナンと運命的な出会いをする王太子の養育係オランプ役の役替わりだ。2011年に初舞台を踏んだ第97期生の海乃美月さんがダブルキャストでこの大役に抜擢された。「トップスターである龍真咲さんの恋人役とお聞きしたときは驚きのあまり、思わず聞き返してしまいました。すでにいろんな舞台でヒロインを経験されている早乙女わかばさんとの役替わりなので、様々なことを勉強させていただきながら、自分なりに精一杯の力を出して龍さんに必死でついていこうと思っています」

  『1789―バスティーユの恋人たち―』は、フランス革命を重税に喘ぐ民衆の側から描いた作品だ。主役であるロナンは民衆の中から生まれるヒーロー。父親を官憲に理不尽に銃殺され土地を奪われた彼は、いつの日か父の敵を討つと心に誓っている。一方、王家に仕えることを使命として生きてきたオランプは、あるキッカケでロナンと出会い、強く惹かれていく。
「一目ぼれではなく、身分や住む世界の違いを越えた特別な恋心を表現するのはとてもむずかしいです」と海乃美月さん。研5ながら、もう新人公演のヒロインを3作品で演じている有望な娘役だ。「新人公演では本役さんというお手本があったので感情の流れがよく理解できたのだと気づきました。今公演ではオランプという大役を自分の力でゼロから創り上げなければならず、生み出すという力がもっと必要なんだなと感じています」

 ダブルキャストといっても、同じように演じなくていいし、逆に異なる演技をしなければという制約もないそうだ。自分の思うオランプを演じていきたいと、海乃美月さんはまっすぐ前を向く。

 体を動かすのが大好きな子どもだった。クラシックバレエを習い、合唱隊に入って歌うことを楽しんでいた。宝塚歌劇の初観劇はバレエスタジオのバスツアーで観た星組公演『王家に捧ぐ歌』。宝塚受験を決意したのは2006年、星組公演『ベルサイユのばら―フェルゼンとマリー・アントワネット編―』を観たのがキッカケ。宝塚音楽学校を卒業後、2011年、星組公演『ノバ・ボサ・ノバ』で初舞台を踏んだ。月組に配属されて2作目、『ベルサイユのばら―オスカルとアンドレ編―』の新人公演でヒロイン役に抜擢されたのは、まだ研2のときである。「ロザリーをさせていただきましたが、周りが見えなくなるほど自分のことに必死でした」

 最近、忘れ難い役に出会ったという海乃美月さん。2014年、日本青年館とシアター・ドラマシティで演じた『THE KINGDOM』のジェニファー。「危険なところにも出かけていく、男勝りで冷静な頭をもったカッコいい女性です。もう挑戦するしかない、と緊張でいっぱいだった私に、演出の正塚晴彦先生が、海乃はそういうイメージだとおっしゃってくださって、それが自信につながりました。きっとできる、と無我夢中で取り組んだ思い出深い役です」

 『1789―バスティーユの恋人たち―』で演じるトップスターの恋人役オランプを、どんな色に染め上げるのか、海乃美月さんの姿をナマの舞台で確かめておきたい。

海乃美月さん

2011年『めぐり会いは再び』で初舞台、月組に配属。13年『ベルサイユのばら―オスカルとアンドレ編―』で新人公演初ヒロイン。14年日本青年館・シアター・ドラマシティ公演『THE KINGDOM』で早乙女わかばと共に初ヒロイン。
出身/富山県  愛称・えり、うみ、くらげ

インタビュアー 名取千里(なとりちさと)
ティーオーエー、現代文化研究会事務局/宝NPOセンター理事主な編著書「タカラヅカ・フェニックス」(あさひ高速印刷)「タカラヅカ・ベルエポックI・II」(神戸新聞総合出版センター)/「仕事も結婚も」 (恒友出版)
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