4月24日から6月1日まで上演の月組宝塚大劇場公演は、パリで初演され絶賛を博し宝塚バージョンとして日本初上陸、フランス革命に散ったラブストーリーをポップな現代感覚で描くフレンチ・ロック・ミュージカル『1789―バスティーユの恋人たち―』。 早くからの抜擢に応え、娘役として実績をつんできた早乙女わかば。新しい世紀を迎え第101期初舞台生のお披露目となる舞台を、華やかにドラマティックに彩る。
宝塚歌劇101年目に当たる今年の宝塚大劇場は雪組公演に始まり、星組、花組と続き、いよいよ月組による1本物大作、スペクタクル・ミュージカル『1789 ︱バスティーユの恋人たち︱』が4月24日に初日を迎える。2012年にパリで初演され、絶賛を博したフレンチ・ロック・ミュージカルを宝塚歌劇団の座付演出家・小池修一郎氏が潤色・演出した宝塚バージョンで、これが日本初演である。トップスター龍真咲が演じるのは、革命に身を投じていく地方出身の青年ロナン。トップ娘役の愛希れいかがフランス王妃マリー・アントワネットを演じ、ロナンが恋に落ちる王太子の養育係オランプを2008年に初舞台を踏んだ第94期生の早乙女わかばさんが役替りで演じる。「本公演で主演されるトップスターさんの恋人という重要な役どころを与えていただき、貴重な経験をさせていただけることに感謝しています。王妃様におつかえするために生きてきたオランプは環境も考えも異なるロナンに出会い激しく心が揺れ動きます。ロナンに強く惹かれながらも、王妃様のお側にいなければと考え苦しむオランプの心の揺れをしっかりお客様にお伝えできるように、これまでの経験を生かして取り組みたいと思います」
早乙女わかばさんは星組時代の2012年9月、宝塚バウホール公演『ジャン・ルイ・ファージョン ―王妃の調香師―』でヒロインのマリー・アントワネットを演じた。「その折にアントワネットの孤独やフェルゼンへの思いなどをすごく勉強しましたので、今でも手に取るように想像できます。その気持ちをオランプの役づくりに生かし、愛希さん演じる王妃様に深く寄り添っていきたいと思います」
初舞台の月組公演『THE SCARLET PIMPERNEL』のあと、星組に配属された早乙女わかばさんが月組に移籍したのは2014年5月。同年7月、凪七瑠海と美弥るりかがダブル主演したシアター・ドラマシティ公演『THE KINGDOM』でヒロインの一人サーシャを演じたあと、トップスター龍真咲が率いる9月の大劇場公演『PUCK』で本公演デビューを果たした。「私が月組に組替えになってから、龍さんは『PUCK』の妖精パックや『風と共に去りぬ』のスカーレットといった、チャーミングな魅力に溢れた役を演じていらっしゃいました。今回、地を這って生きているような野性的なロナン役を演じる龍さんをお稽古場で拝見して、新鮮な魅力を感じています」
研2での抜擢から新人公演のヒロインを3度演じてきた早乙女わかばさん。2015年1月珠城りょうが主演したバウホール公演『Bandito―義賊サルヴァトーレ・ジュリアーノ―』でもアマーリア役でヒロインを演じた。珠城りょうとは同期。「バウホール公演で同期のコンビは珍しいとお聞きしましたので、同期ならではのきずなや信頼感を出したいと思いました」。溌剌とした勢いのある男役を引き立て、自らも優美な娘役の存在を花開かせた舞台だった。
そんな早乙女わかばさんが宝塚の娘役を目指すキッカケになった舞台は、小学生の時に母に連れられて初めて観た轟悠主演の『春櫻賦』と『LET,S JAZZ』。「2階席でオケボックスも見えたことを鮮明に覚えています。数年後、家でパソコンが使えるようになると宝塚歌劇についてくわしく調べて、宝塚コドモアテネという音楽学校付属の学校があることを知り、自分の意志で通うようになりました」
2013年10月、バウホールでの専科公演『第二章』では、主演を務めた専科の轟悠、星組トップ娘役の夢咲ねね、専科の英真なおきと共に出演者は4人だけという舞台でも活躍した。今回、オランプ役とめぐり合ったのはこれまでの実績が評価されてのことだ。「今までの貴重な経験を活かしつつ、娘役としてさらに大きく進化することが目標です」。オランプとして生きる時間はもう始まっている。
2008年『ME AND MY GIRL』で初舞台、星組に配属。10年『ハプスブルクの宝剣』で新人公演初ヒロイン。11年バウホール公演『ランスロット』でバウ初ヒロイン。14年5月、月組へ組替え。
出身/兵庫県 愛称・わかば