3月13日から4月20日まで上演中の花組宝塚大劇場公演は、人気脚本家・大石静氏が書き下ろしたオリジナルミュージカル『カリスタの海に抱かれて』と、レヴューロマン『宝塚幻想曲』の2本立て。 新人公演を卒業して活躍の場を広げる花組娘役の桜咲彩花、多様な魅力で新生花組の舞台を彩る。
トップスター明日海りおが率いる新生花組が放つ第2弾は、人気脚本家・大石静氏作、石田昌也氏演出によるオリジナルミュージカル『カリスタの海に抱かれて』と、稲葉太地氏作・演出によるレヴュー『宝塚幻想曲』の2本立て。前作は1本もの大作の『エリザベート―愛と死の輪舞―』だったから、新生花組のショーは今回が初めて。4月20日まで宝塚大劇場で上演中だ。
「『エリザベート―愛と死の輪舞―』のあと、花組はシアター・ドラマシティと東京国際フォーラムとに分かれて公演しましたので、久しぶりに全員が揃ったお稽古場がすごく新鮮でした」と、2007年に初舞台を踏んだ第93期生の娘役・桜咲彩花さん。『カリスタの海に抱かれて』では地中海に浮かぶカリスタ島の娘ナディアを演じている。
「フランス革命前夜の独立運動を背景に描かれるシリアスな物語ですが、ナディアは特別明るいキャラクターの娘。島民たちそれぞれが個性を出しつつみんなで一つにまとまれたらいいねと話しています」
同時上演のショーでは「“浪漫 波の花”という場面で初めて男役さんをリードする振付をいただき、旅人を誘惑して海に連れ込もうとするダンスに挑んでいます」
桜咲彩花さんは宝塚歌劇101周年の今年、良いスタートを切った。1月、シアター・ドラマシティ公演『風の次郎吉―大江戸夜飛翔―』に出演し、鼠小僧・次郎吉に恋する目明し・あやめに扮して舞台狭しと駆け回る大活躍ぶりを披露した。主演は専科の北翔海莉。「北翔さんとは2013年の花組公演『オーシャンズ11』、2014年の花組公演『エリザベート―愛と死の輪舞―』でご一緒させていただきましたが、今回のようにたくさんお芝居で絡ませていただいたのは初めてで、とても幸せでした」。ファン時代に観劇した『薔薇の封印』で浮浪者の役を演じていた北翔の姿が印象に残っているという。「大先輩の北翔海莉さんが鼠小僧・次郎吉で私が女目明し。緊張の連続でしたが、エネルギーのすごさに圧倒され、もっともっと上達したいと思い続けました」
新人公演のヒロインを、桜咲彩花さんは二度、演じている。『愛のプレリュード』と『オーシャンズ11』。研1から研7まで出演してきた新人公演を、初めて客席から観たときのこと。「上級生の役を本公演どおりに演じさせてもらえる新人公演は、何とありがたい舞台だったか、何と大切な機会だったかと気づかされました。上級生の役を演じるのは確かにプレッシャーがありますが、こんなに大きな舞台で二度もヒロインをさせていただいた自分は本当に幸せ者。その経験を自信につなげて、本公演でこれまで以上のエネルギーを発していかなければと気持ちを新たにしました」
昨年末は各組のスターが集結する、恒例のイベント『タカラヅカスペシャル2014―Thank you for 100years―』にも出演し、花組を代表するスターの1人として晴れやかに舞台をつとめた。「組が違うと普段はなかなか会えませんが、同期生たちと久しぶりに語り合うことができて、いろんな刺激を受けました」
今秋の花組公演は、トップスター明日海りおが光源氏を演じる『新源氏物語』とショー『Melodia ―熱く美しき旋律―』と発表された。日本物は宝塚歌劇団の十八番だ。花組での上演回数は多くはないが、桜咲彩花さんは2011年『小さな花がひらいた』、2012年『近松・恋の道行』などに出演した。
「日舞は日ごろの積み重ねが大切です。劇団レッスンには日舞もありますので、しっかりとお稽古しようと思っています」
大人の恋愛物に憧れている。例えば『仮面のロマネスク』。いつもさわやかな印象の桜咲彩花さんの、憂いを湛えた表情も美しいのだ。
2007年『シークレット・ハンター』で初舞台、花組に配属。11年『愛のプレリュード』で新人公演初ヒロイン。13年『オーシャンズ11』新人公演ヒロイン
出身/大阪府 愛称・べーちゃん