2015年の幕開けを飾る雪組宝塚大劇場公演は、モンキー・パンチ氏の原作をミュージカル化した『ルパン三世―王妃の首飾りを追え!―』と、早霧せいな率いる新生雪組が挑むいい男たちのレビュー『ファンシー・ガイ』の2本立て。 抜擢に応え成長を続ける雪組娘役の星乃あんり、宝塚歌劇101年目の第一歩、新春の舞台を華やかに盛り上げる。
2015年1月1日、宝塚歌劇101周年の幕が上がり、雪組公演『ルパン三世―王妃の首飾りを追え!―』『ファンシー・ガイ!』が2月2日まで宝塚大劇場で上演中だ。絶大な人気を誇るモンキー・パンチ氏の原作を世界で初めて宝塚がミュージカル化した『ルパン三世―王妃の首飾りを追え!―』は、新トップスター早霧せいな演じるルパンがベルサイユ宮殿で開催中の展覧会場に忍び込み、マリー・アントワネットの首飾りを盗もうとして18世紀のフランスへとタイムスリップする。そこで登場するのが『ベルサイユのばら』でお馴染みの、新トップ娘役・咲妃みゆ扮するマリー・アントワネット。時は革命前夜。取り巻きたちが次々と去っていく中、最後までアントワネットと運命を共にするランバル公妃マリー・ルイーズを、2009年に初舞台を踏んだ第95期生の星乃あんりさんが清冽に演じていて美しい。「フランス革命の時代は『ベルサイユのばら』で勉強してきましたが、今回はアニメ『ルパン三世』のスパイスが入ってくるので、また新しい視点をプラスして演じる楽しさを感じています」
入団後、3年目に新人公演のヒロインより先に宝塚バウホール公演のヒロインに抜擢された星乃あんりさん。本公演期間中に一度ある新人公演と異なり、バウホール公演は数日間に亘る。続けてヒロインを演じるパワーが必要なだけではなく、その公演『灼熱の彼方~「オデュセウス編」と「コモドゥス編」~』は主役もエピソードも違う台本が2冊あった。「お話をいただいた瞬間は信じられず、緊張しました。ダブルヒロインでしたが2冊の台本と格闘する日々で無我夢中だったことを思い出します」
同年、『仮面の男』で新人公演初ヒロイン。翌年『ドン・カルロス』の新人公演でもヒロインを演じ、『双曲線上のカルテ』ではバウ単独ヒロインをやり遂げた。研5になった2013年には話題の日本映画原作『Shall we ダンス?』新人公演でも主人公の憧れのダンス教師エラを演じている。そして2014年10月、バウホール公演『パルムの僧院―美しき愛の囚人―』のヒロインの一人で牢獄長官の娘クレリア役の熱演、12月末の宝塚歌劇100周年フィナーレイベント『タカラヅカスペシャル2014―Thank you for 100years―』への出演が、星乃あんりさんを更に大きく成長させた。「『パルムの僧院』のお話をいただいた時は、まだ原作を読んでいなかったので、パルマ市に行き、いろんな勉強をかねてイタリアの空気や陽気さなどを味わってきました。宝塚歌劇らしいヒロイン役をさせていただけるのがうれしかったのと、結果を残さないといけないという思いで取組みました。タカラヅカスペシャルには初めて出させていただきましたが、各組から十数名ずつだけが出演する催し。組を代表する責任を感じましたし、たくさんの刺激を受けました」
星乃あんりさんは福岡県の出身。宝塚歌劇との出会いは博多座公演『コパカバーナ』だ。「高校生の夏、宝塚歌劇ファンの祖母から、急に観に行けなくなったので観てきてと言われて初観劇しました。ショーも踊りもお芝居もある宝塚歌劇の世界が衝撃的でした」
すぐに音楽学校受験を決意するが、大学受験との両立が条件。猛レッスンの末、晴れて音楽学校生となった。
さて、同時上演のショー『ファンシー・ガイ!』は新生雪組の男役たちがダンディの極みを魅せる。「全体的に大人っぽく仕上がっていて今回、私が挑戦させていただいているのもキャバレーの女という役です。動きや振りの中に女っぽさ、色っぽさを出せるように、映画などを見て勉強しました」
幼い頃から続けているクラシックバレエ。今もダンスが大好きという星乃あんりさんの、さまざまな一面を楽しみたい。
2009年『Amour それは…』で初舞台、雪組に配属。11年バウホール公演『灼熱の彼方~「オデュセウス編」と「コモドゥス編」~』で夢華あみとともにヒロインに抜擢。同年『仮面の男』で新人公演初ヒロイン。12年バウホール公演『双曲線上のカルテ』で単独初ヒロイン。
出身/福岡県 愛称・あんり