トップページ > 2014年04月号 >フェアリーインタビュー

月組 凪七瑠海

月21日から4月28日まで上演の宝塚大劇場月組公演は、日本物レビューの日本絵草子『宝塚をどり』、1900年代初頭の貨客船を舞台に繰り広げられる祝祭劇『明日への指針―センチュリー号の航海日誌―』と、グランド・レビュー『TAKARAZUKA花詩集100‼』の豪華3本立て。 抜群のプロポーションでキレのあるダンスを魅せる凪七瑠海、各組トップスターが特別出演し、第100期生のデビューとなる春爛漫の舞台で、いっそう輝きをはなつ。

一〇〇周年の舞台に甦る   「花詩集」の名場面を踊る

 宝塚少女歌劇の初公演が行なわれたのは1914年4月1日。100周年を迎えた今春の宝塚大劇場公演は月組による『宝塚をどり』『明日への指針―センチュリー号の航海日誌―』『TAKARAZUKA花詩集100‼』の三本立て。日本絵草紙『宝塚をどり』には各組のトップスターが、そしてグランド・レビュー『TAKARAZUKA花詩集100‼』には各組のトップコンビが特別出演し、恒例の初舞台生ラインダンスを第100期生が披露する。さらに上級生も加わった100名のロケットも観られるという豪華な舞台だ。

 日本物レビューに出演するのは初舞台以来という第89期の凪七瑠海さんは、『宝塚をどり』で初めて白塗りの化粧をし、「念願だった若衆に扮して踊ります」と、キリリとした笑顔を見せる。今やスター揃いの同期の中で首席入団を果たし、宙組に配属されると新人公演主演や宝塚バウホール公演主演の経験を積み、2013年1月に宙組から月組に異動、華々しく活躍中である。「月組にはご縁があって、2003年の初舞台が月組でしたし、2009年には『エリザベート』のエリザベート役で特別出演しました。今回の組替えでは下級生たちが『お帰りなさい』と言ってくれたのがうれしかったです」

 その月組で2回目の大劇場公演だ。プチ・ミュージカル・プレイ『明日への指針』では通信士のナイジェル役。タイタニック号が沈没した時の生存者の一人で、月組トップの龍真咲が演じるジェイクとは通信士仲間。友情で結ばれているが性格は大きく異なり、賭け事の好きな遊び人のジェイクに対して、婚約者のいるナイジェルは真面目で優しい。その優しさが物語の光と陰になるー。1900年代初頭の禁酒法時代。貨客船センチュリー号を舞台に繰り広げられるオリジナルの祝祭劇である。

 凪七瑠海さんが人間の心情を巧みに演じて記憶に新しいのが2014年1月、梅田芸術劇場公演『風と共に去りぬ』のスカーレットⅡ。スカーレットの本心を具現化した役だ。マグマのように激しいスカーレットに対峙して、嘘偽りのない本心を堂々と言い放つ、凪七瑠海さんのスカーレットⅡは、明るい強さと熱情を感じさせて圧巻だった。

 「エリザベート、ジャッキーに続いて、またスカーレットⅡという女役をいただき、この学年で男役の私が演じる意味はなんだろうと、最初は少し考え込んでしまいました。実際に演じてみるとスカーレットから学ぶことがすごく多くて、あらためて自分自身を見つめ直すキッカケになり、Ⅱの役に出会えたことを感謝しています。スカーレットⅠがあってのⅡなので、Ⅰのスカーレットに合わせてⅡの役づくりをしなければいけないのですが、スカーレットの本心であるⅡがしっかり立っていないと、スカーレット自身が揺らぐことができません。とはいえ、ある程度、一緒に心を動かしていないと二人のテンションに差ができるので、その微妙な加減に苦心しました。でも本当に楽しかったです」

 さて、グランド・レビュー『TAKARAZUKA花詩集100‼』の見所の一つが第6場。「白の王子」になって踊る凪七瑠海さんだ。「春日野八千代先生が踊られた場面だそうです」
 当時はピエロに扮して踊ったようだが、今回は100周年バージョン。バレエの要素を取り入れた美しい場面である。因みに、凪七瑠海さんがショーでバレエ要素の入った振付を受けたのは初めてのこと。

 4月になると、4日と6日に「宝塚歌劇100周年 夢の祭典『時を奏でるスミレの花たち』」が開催される。これに出演できる現役スターは、トップコンビを含めて各組4名のみ。もちろん凪七瑠海さんは、その一人である。「この年、この時期に月組生でいられることが幸せです。これからもっと精進し、原点を忘れずに、舞台を楽しむ気持ちを大切にしていきたいと思います」

 7月には、同期の美弥るりかと共にシアター・ドラマシティの主演を務めることも決まっている。 

凪七瑠海さん

2003年『花の宝塚風土記』で初舞台、宙組に配属。09年、月組公演『エリザベート』でヒロイン役として特別出演、同年『カサブランカ』で新人公演初主演。10年バウホール公演『Je Chante』でバウ初主演。13年月組へ組替え。
出身/東京都 愛称・カチャ、エリカ、ガチャガチャ

インタビュアー 名取千里(なとりちさと)
ティーオーエー、現代文化研究会事務局/宝NPOセンター理事主な編著書「タカラヅカ・フェニックス」(あさひ高速印刷)「タカラヅカ・ベルエポックI・II」(神戸新聞総合出版センター)/「仕事も結婚も」 (恒友出版)
宝塚の情報誌ウィズたからづか

ウィズたからづかの最新コンテンツ