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花組 柚香 光

3月17日まで上演中の宝塚大劇場花組公演は、1930年代のハリウッド映画界を舞台に、大物プロデューサーの栄光と挫折とロマンスを描いたミュージカル『ラスト・タイクーン』と、新たな形式を提示する意欲的なステージ『TAKARAZUKA ∞ 夢眩』の2本立て。 天性の華やかさで注目を集める若手ホープ柚香光、花組トップスター蘭寿とむのサヨナラ公演で、初めての新人公演主演に挑む。

蘭寿とむの最後の舞台、  すべてを心に刻み 新人公演の舞台に立つ

 宝塚歌劇100周年を迎えた宝塚大劇場では3月17日まで、花組のトップスター蘭寿とむのサヨナラ公演『ラスト・タイクーンーハリウッドの帝王、不滅の愛―』~F・スコット・フィッツジェラルド作「ラスト・タイクーン」より~と、『TAKARAZUKA ∞ 夢眩』を上演中だ。

 フィッツジェラルドの未完の長編小説をミュージカル化した『ラスト・タイクーン』は、1930年代のハリウッド映画界が舞台。蘭寿とむが扮する大物プロデューサー、モンロー・スターの栄光と挫折、そして大人のロマンスが、華やかな音楽と共に繰り広げられる。

 「蘭寿とむさんの稽古に対する真摯な姿勢、組子たちへの思いやり、スタッフの方々への配慮、おごることのない研究心など、今回の公演で改めて見習わなければいけないことがたくさんあることに気づきました」

 そう話すのは、2月25日の『ラスト・タイクーン』新人公演に主演する柚香光さん。2009年に入団した期待の第95期生で、人気と注目度が急上昇中の有望なスターである。「蘭寿とむさんが卒業される最後の舞台で、新人公演の主演をさせていただくことになり、嬉しさと責任を感じています」

 モンロー・スターは才能と知性に溢れた魅力的な大人の男性。洗練された男性像を演じるトップスター蘭寿とむのすべてを心に刻みつけたいと、柚香光さんは片時も目を離さず大先輩を見続けている。「蘭寿さんの魅力が最大限に生かされた素敵な男性の役なので、私にはむずかしいのですが、少しでも多く蘭寿さんから吸収して、最終的には、私らしい表現ができるように勉強したいと思います」
 振り返ると、柚香光さんは宝塚バウホール公演や新人公演で早くからキーパーソンの役を演じてきた。2012年『サン=テグジュペリ』の新人公演のホルスト、同年のバウホール公演『Victorian Jazz』のエドワード皇太子、日本青年館での轟悠主演公演『おかしな二人』のロイ。2013年『オーシャンズ11』のターク・モロイ、新人公演のテリー・ベネディクト。さらにバウホール公演『フォーエバー・ガーシュイン』ではダンス力を生かしてフレッド・アステアを。『宝塚巴里祭2013』への出演を経て、『愛と革命の詩』では、この世の悪なるものの象徴Angel Black(黒い天使)に扮し、新人公演では明日海りおが演じた革命の闘士ジェラール役に挑戦した。

 「『愛と革命の詩』のAngel Blackはハンブルクバレエ団の大石裕香先生がすばらしい振付をしてくださり、音楽を聴いて体を動かす楽しさを感じることができました。新人公演のジェラールはずっとやりたかった色濃い役。今も大好きな役の一つです」

 このときの同時上演のショー『Mr.Swing!』の1場面で、蘭寿とむと踊る女役の役替わり3人のうちの一人に抜てきされた。「蘭寿さんには『もっと相手を感じて踊ってごらん』とアドバイスをいただきました。短い期間でしたが、身をもって教えていただき、一回一回が貴重な経験になりました」

 新人公演『オーシャンズ11』で演じたベネディクトも星組公演を観た時から気になる役だったという。「自分ではない別人になってみたい、という願望が強いからかもしれませんが、役をいただく前から、こういうふうにやりたい、と興味が湧いてきました」

 毎年、今年の目標を漢字一字で表現しているという柚香光さん。2014年は「進」である。

 「昨年はチャレンジをイメージした『挑』。今年は進化、進歩、躍進の意味を込めました」

 宝塚歌劇101周年を、新しい花組を、自らの熱い情熱で鼓舞することのできる力のある、美しい男役だ。

柚香 光さん

2009年『Amourそれは…』で初舞台、花組に配属。13年『愛と革命の詩』でAngel Blackを好演、『Mr.Swing!』では役替わりで踊る女を務めた。
出身/東京都 愛称・れい

インタビュアー 名取千里(なとりちさと)
ティーオーエー、現代文化研究会事務局/宝NPOセンター理事主な編著書「タカラヅカ・フェニックス」(あさひ高速印刷)「タカラヅカ・ベルエポックI・II」(神戸新聞総合出版センター)/「仕事も結婚も」 (恒友出版)
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