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雪組 香綾しずる

ハートフルコメディの最高傑作を初めてミュージカル化し宝塚大劇場で好評を博した雪組公演『Shall we ダンス?』と、宝塚歌劇100周年を彩る華やかなショー『CONGRATULATIONS宝塚‼』の2本立てが、東京宝塚劇場で1月2日から2月9日まで上演される。 キレのある動きでダンス教室のインストラクターを演じる香綾しずる、大人の色気ある男役を目指し、宝塚歌劇100周年を迎える。

100周年の幕開けは芝居の雪組が 東京宝塚劇場で「Shall we ダンス?」

2014年、いよいよ宝塚歌劇が100周年を迎える。1月2日、東京宝塚劇場の幕開けを飾るのが雪組公演『Shall we ダンス?』だ。原作は周防正行氏。周防氏が監督し、役所広司・草刈民代主演で大ヒットした同名映画は1996年度日本アカデミー賞で13部門を独占、2004年にはリチャード・ギア主演のハリウッド映画でもリメイクされ、またもや大ヒットを飛ばした。そのハートフル・コメディの最高傑作を宝塚歌劇団の座付き演出家・小柳奈穂子が世界で初めてミュージカル化したのが、宝塚版『Shall we ダンス?』。

 主人公のヘイリーが通うようになるボールルームダンス教室のインストラクター、アーカムを演じているのが第90期生の香綾しずるさんである。
 映画では竹中直人や渡辺えり子らが演じた強力な個性の生徒たちを相手にダンスを教えるアーカム役は、ただの平凡なインストラクターでは務まらない。
 「ダンスのお手本を見せる場面があるので、誰よりも踊れなければと思い、社交ダンスを習いに行ったのですが、これまでやってきたダンスと使う筋肉が全く違いました。登場人物の中に埋もれてしまわないキャラクターを目指し、男性の背筋がのびていて、胸の筋肉が盛り上がっている印象から、胸筋をアピールした役づくりを考えたんです(笑)。千秋楽まで日々、ダンス力と役作りをパワーアップしていきたいです」

 作品自体、アドリブが利く芝居の楽しさがある。「お客様が自然に笑ってくださって、演じている私たちも、よし、やった!と、エンターテイメントとしての楽しさが深まってきています。この作品に出会えて本当に幸せです」心温まる作品なのだ。

 が、台本を手にしたばかりの頃、しばらく稽古が進まなかったそうだ。『Shall we ダンス?』は、どこにでもいそうな会社員が駅前のダンス教室に通ううちに忘れかけていた人生のときめきを思い出していく物語だ。絢爛豪華な宝塚歌劇的手法で観客の視線を釘付けにするというやり方だけでは通用しない。しかし、「忘れかけていた人生のときめきを思い出していく」ことは、夢を見ること、そのものだ。まさにタカラヅカなのである。

 脚本・演出の小柳氏が、歌劇の歴史は不可能に立ち向かってきた歴史でもある、と舞台化を引き受けた決意をプログラムに書いているが、香綾しずるさんも、
「舞台は映画のようにクローズアップはできません。キャラクターが生きてこないと舞台として成り立たないという難しさをお稽古中に感じましたので、主人公を演じる壮一帆さんをはじめ、みんなで場面ごとに自主稽古を繰り返して固めていきました」

 芝居の雪組が、果敢に挑戦した映画『Shall we ダンス?』の世界初ミュージカル化。その舞台が、宝塚歌劇100周年への架け橋へと見事に結実した。

 さて、同時上演のショー『CONGRATULATIONS 宝塚‼』は、全ての場面が中詰めのように賑やかだ。「お祝いとお祭りにピッタリなので、ぜひ何度でも劇場に足をお運びください」と香綾しずるさん。「踊りに踊りますが、疲れません。逆に、踊り切った感があり、爽快です。宝塚歌劇100周年の2014年、私は男役11年目を迎えますので、さわやかな笑顔だけではなく、大人の色気のある男役を目指したいと思います」

 初舞台も組配属も雪組。「いつのまにか下級生がたくさん増えました。雪組の伝統を少しでも伝えていきたいですし、そうしなければいけないと思っています。上級生の自覚をもち、雪組を支えられる一人になれるようこれからも精進します」

香綾しずるさん

2004年『スサノオ』で初舞台、雪組に配属。09年『ZORRO』で新人公演初主演。
出身/山口県 愛称・がおり

インタビュアー 名取千里(なとりちさと)
ティーオーエー、現代文化研究会事務局/宝NPOセンター理事主な編著書「タカラヅカ・フェニックス」(あさひ高速印刷)「タカラヅカ・ベルエポックI・II」(神戸新聞総合出版センター)/「仕事も結婚も」 (恒友出版)
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