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宙組 蒼羽 りく

11月4日まで上演中の宙組宝塚大劇場公演は、ベストセラー小説であり、映画版の大ヒットでも有名な名作をミュージカル化した『風と共に去りぬ』。南北戦争を舞台に繰り広げられるドラマティックでスケールの大きい舞台が、99周年の記念すべき年に甦る。 舞台映えするルックスにキレのあるダンスを魅せる蒼羽りくが、最後の新人公演で、レット・バトラーに挑戦!

新人公演ではレット・バトラーの       大きさと心の動きを

 宝塚大劇場では11月4日まで、宙組公演『風と共に去りぬ』を上演中。マーガレット・ミッチェルの原作を宝塚歌劇がミュージカル化したのが1977年のこと。脚本・演出の植田紳爾氏はスカーレットの本音を語る分身の存在、「スカーレットⅡ」を生み出し、宝塚歌劇の二枚目男役スターが初めて口ひげをつけた。この画期的な宝塚版は観客を魅了し、これまで繰り返し再演を重ねてきた。宝塚歌劇99周年の記念すべき年に甦った『風と共に去りぬ』は、公演回数1216回、観客動員数272万人を誇る宝塚歌劇の代表作の一つである。

 10月22日に行われる新人公演の主人公レット・バトラー役を、第93期生の蒼羽りくさんが演じることになった。

「研7の私にとって最後の新人公演です。レット・バトラー役をさせていただけると知って驚きましたが、レットは歴代のトップスターの方々が演じてこられた素敵な役。挑戦できる幸せを感じています。本役の凰稀かなめさんからもいろいろ勉強させていただきながら、少しでも前進できるようにがんばります。新人公演という、上級生のお手本がある大事な最後のチャンスを必ず生かし、自分のこやしになるようにしたいと思います」

 蒼羽りくさんにとって新人公演主演は3度目。研4のときに新人公演『TRAFALGAR』のホレイショ・ネルソン役に抜擢されたのが最初だ。2度目は昨年の大ベストセラーSF小説を取り上げた『銀河英雄伝説@TAKARAZUKA』のラインハルト役である。「ラインハルトはむずかしい役というイメージが先行してしまい、その中で初主演のときより成長していなければという気負いがあったように思います。今回は気負いすぎず、今の自分にできる精一杯をレット・バトラーという役に注ぎたいです。新人公演では主演に限らず、いつも本役さんから多くのことを教えていただいてきましたので、それらの経験が少しずつでも自分の中に積み重なり、蒼羽りくの大きさにつなげていきたいと思います」

 新人公演の配役発表直後に、宙組トップスター凰稀かなめからアドバイスをもらった。

「声の出し方や動き方などに捉われてしまわず、まず自分の感情を動かすことを考えるようにと。本公演の稽古中にもかかわらず、的確にさりげなく教えてくださったことがすごくうれしかったですし、自分のどこが強みで何が足りないところかを、きちんと理解して言えるようにならなければいけないと気づきました。表現というのはすべて心につながっていますので、自分の心を豊かにして表現の幅をひろげることを目指したいと思います」

 大きな芸名である。「名前の由来は、羽という字を使いたかったこと、大空などの広いイメージをもちたかったことから‘そらはね‘と決まり、字を当て嵌めました。‘りく‘は男の子の名前辞典からインスピレーションで選びました。宙組に配属になったのは運命だと思っています」

 共に初舞台を踏んだ同期生たちの活躍ぶりは、良い刺激になるという。「皆よくやっているなと感心する反面、私ももっとできるはず、がんばるぞ、という気持ちになります」

 蒼羽りくさんのキレのいい、率直な言葉と、温かみのある朗らかさに、心奪われる人は多いだろう。蒼羽りくさんの華麗なダンスは、フィナーレで堪能できる。
 東京宝塚劇場公演は11月22日から12月23日まで。東京で蒼羽りくさんがレット・バトラーを演じる新人公演は12月5日に行われる。

蒼羽 りくさん

2007年『シークレット・ハンター』で初舞台、宙組に配属。10年『TRAFALGAR―ネルソン、その愛と奇跡―』で新人公演初主演。
出身/東京都 愛称・りく

インタビュアー 名取千里(なとりちさと)
ティーオーエー、現代文化研究会事務局/宝NPOセンター理事主な編著書「タカラヅカ・フェニックス」(あさひ高速印刷)「タカラヅカ・ベルエポックI・II」(神戸新聞総合出版センター)/「仕事も結婚も」 (恒友出版)
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