鉄斎美術館開館40周年記念 「鉄斎―万巻の書を読む―」4月1日より開催

鉄斎美術館開館40周年記念 「鉄斎―万巻の書を読む―」4月1日より開催

近代文人画の巨匠・富岡鉄斎の作品を蒐集、これらを整理保存、調査研究、展示公開するために1975年(昭和50年)、清荒神清澄寺の境内に開館した鉄斎美術館。2000点以上に及ぶ鉄斎コレクションを有する専門美術館は全国でも、ここ宝塚の鉄斎美術館だけです。今年は、鉄斎が座右の銘とした「万巻の書を読み、万里の路を行く」をテーマに春季、秋季2回の展覧会が開催され、4月1日からは「鉄斎―万巻の書を読む―」が始まります。

 近代日本において文人画家として確固たる位置を得た鉄斎ですが、自身は画工とみなされることを嫌って、終生学者を自任したといわれています。そして「南画の根本は学問にあり、人格を研かなくては画いた絵は三文の価値もない」との言葉を遺しています。

 鉄斎は数万冊にも及ぶ書物を読破することで古人の心に触れ、深い教養と高潔な精神を養いました。中国故事や和漢の書物から画題を得た多彩な作品には、示唆に富んだ賛が寄せられています。鉄斎が、「私の画を見るなら、まず賛を読んでほしい」と述べる所以です。

 展覧会では、独自の画境を確立した晩年の名品を中心に展示されています。鉄斎が敬愛する中国の文人・蘇東坡を描いた「東坡帰院図」には、鉄斎旧蔵の稀覯本『東坡先生年譜』、また、千利休が茶人丿貫を山科の庵に訪ねた図「休師訪丿貫図」には、江戸時代の『茶話指月集』など出典となった書物も併せて見ることができます。

 88歳で描いた「瓢中快適図」には、「悠々自適に天性を全うし、書物を枕に安楽の境地」との自作の詩が書かれ、鉄斎が理想とした晩年の姿を見るようです(左写真)。書巻の気を感じながら鉄斎の世界を存分に愉しんでみたいものです。

鉄斎美術館開館40周年記念 「鉄斎―万巻の書を読む―」4月1日より開催
宝塚の情報誌ウィズたからづか

ウィズたからづかの最新コンテンツ