1974年に初演され、社会現象を引き起こした舞台『ベルサイユのばら』。雪組新トップスター壮一帆を中心とした新生雪組が、フェルゼン編を4月19日から5月27日まで宝塚大劇場で上演する。 美しい舞台姿で気品あるオーラを放つ鳳翔大が、新トップコンビの宝塚大劇場お披露目、そして第99期初舞台生デビューとなる大舞台を、華やかに盛り上げる。
新トップスター壮一帆を中心とする新生雪組披露公演『ベルサイユのばら』―フェルゼン編―が、4月19日から宝塚大劇場で始まる。宮廷の場面が見どころの一つであるフェルゼン編には、着飾った貴婦人たちが他愛ないお喋りに興じる華やかな場面がある。今回、その場面に、『ベルサイユのばら』初のキャラクター、ランベスク公爵が登場する。星組トップスター・柚希礼音と月組トップスター・龍真咲が特別出演する公演では未涼亜希が演じるこの役を、雪組バージョンでは鳳翔大さんが演じる。
「ランベスク公爵は、どちらかというと反フェルゼン派の人です。当時、すべてを手にしていた貴族は、食べるものもない平民の暮らしを知らず、暇を持て余しています。そんな貴族社会の様子を、第1幕の談話の場面でしっかり表現したいと思います」
2002年、星組公演『プラハの春』で初舞台を踏んで以来、鳳翔大さんが演じてきた役は新人公演『黎明の風』の主人公・白洲次郎や新人公演『Paradise Prince』の主人公・若き天才アーティストのスチュアートをはじめ、個性豊かな人物たちだが、その中でも貴族役が最も多く、爵位のほとんどを経験ずみという。
「でも『ベルサイユのばら』の時代の貴族を演じるのは今回が初めてです。国や時代によって貴族のあり方も変わり、立ち居振る舞いが微妙にちがってきます。この時代の貴族は特に誇り高く、服装や靴、仕草や歩き方などに決まりごとが多いのが特徴で、ランベスク公爵は巻き毛の鬘を被っています。これまでの経験を生かして、さすが貴族をたくさん演じてきているなと思っていただけるように、場面の世界観をしっかり表現できればと思います」
一方、第2幕では貴族と全く色のちがう平民のアルマンを演じ、目に見えない人間の内実を表現する。「荒くれ者の衛兵隊員アルマンが更生して、オスカル隊長の命令を待っているところから登場しますので、初めてご覧になる方にも物語の流れがおわかりいただけるように演じるのが課題です。一つの作品の中で両極端とも言える二役を演じるのは今回が初めてですが、貴族と衛兵隊員との格差をはっきりと演じわけたいです。衛兵隊員役は全員が、私より下級生。上級生として皆を引っ張り上げながら、共に創り上げる気持ちでバスティーユの場面につなぎ、お客様に『ベルサイユのばら』の魅力を存分に楽しんでいただくことができればうれしいです」
昨夏、宙組から雪組に異動した。3作目に当たる『ベルサイユのばら』は、鳳翔大さんが宝塚受験を決意するきっかけになった思い出の作品だ。「今、この時期に『ベルサイユのばら』に出演できて本当にうれしいです。組替えの話をお伺いした時は驚きましたが、自分を見つめ直す良い機会になりましたし、手ごたえも感じています。今後もこれまで同様、スキルアップにつとめ、大きな戦力になるよう踏ん張っていきたいと思います」
鳳翔大さんが10年間に及ぶ宙組時代に培った、宝塚スターとしての引き出しの数は多い。「組替えになって初めての公演の時は、1日に1回は稽古場の下級生がいる席に行き、自分から話しかけるようにしていました。フランクに話せる交流がないと、上級生に聞きたいことがあっても下級生からは言い出しにくいのです。私自身、すごく不器用で、一つの台詞を喋るのに人の何倍もお稽古時間がかかる下級生でしたから、ずいぶん上級生の方々の力をお借りしてきました。私もまずは皆と同じ場所に下りていって話を聞くように心がけています」
雪組宝塚大劇場公演『ベルサイユのばら』―フェルゼン編―では、第99期生37名が初舞台を踏む。総勢100名を越える出演者が揃った舞台は、宝塚歌劇100周年への架け橋となる運命を担っている。そんな世紀の大舞台に、鳳翔大さんの気品あるオーラがよく似合う。
2002年『プラハの春』で初舞台、宙組に配属。08年『黎明の風』で新人公演初主演。12年雪組に組替え。
出身/兵庫県 愛称・だい