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星組 麻央 侑希

宝塚大劇場公演で好評を博した星組の豪華三本立て、舞踊ファンタジー『宝塚ジャポニズム~序破急~』、ロマンティック・ミュージカル『めぐり会いは再び 2nd ~Star Bride~』とグランド・レビュー『Étoile de TAKARAZUKA』が、東京宝塚劇場で1月2日から2月10日まで上演される。 ダイナミックな男役をめざす星組ホープ麻央侑希、宝塚歌劇99周年を迎え、更に成長を続ける。

新人ながら、男役のエスプリを感じさせる

 1914年に初公演を行った宝塚歌劇は、2013年に99周年を迎える。1月2日、東京宝塚劇場で初日の幕を上げるのが星組公演『宝塚ジャポニズム~序破急~』『めぐり会いは再び2nd~Star Bride~』『Étoile de TAKARAZUKA』。日本物レビューとミュージカルと洋物レビューが揃った豪華な3本立てには、三種三様の美しさと味わいがある。

「宝塚の日本物レビューを初めて経験させていただいたのが2年前、『宝塚花の踊り絵巻―秋の踊り―』でした。日本舞踊は鬘のつけ方、お扇子の出し方などで力量がわかる恐さがあります。一つ一つの動きに責任をもつことが、男役として舞台に立つ責任に重なるところがあるなと感じました。お稽古したことを舞台の上でどのようにお見せできるか、日々、課題に挑戦しています」と、2008年に入団した94期生の麻央侑希さん。

 宝塚歌劇では日本物レビューの上演が少なくなってきているが、麻央侑希さんは昨年も、宝塚大劇場で開催された第51回宝塚舞踊会に出演し、3年連続、日舞に取り組んでいる。

 元来、麻央侑希さんはスポーツ好きの体育会系フェアリー。特技は器械体操だし、学校のクラブ活動は陸上部でハードルの選手だった。しかも4歳からクラシックバレエを習い、高校に入ってからはジャズダンス教室にも通っていた。175センチの長身、小顔。バランスのとれたスタイルと鍛えた身体能力は、男役・麻央侑希さんの武器だ。その麻央さんが艶やかな着物姿で、はんなりした色気ある若衆の舞いを踊る。だから観客は目が離せなくなる。

 麻央侑希さんは横浜市出身。子どもの頃に東京宝塚劇場公演を一度くらいは観ていても不思議ではないのだが、「実は高校3年まで宝塚を観たことがなかったんです。ジャズダンス教室の先生が宝塚受験を薦めてくださって、東京宝塚劇場で初めて観たのが星組公演『長崎しぐれ坂』『ソウル・オブ・シバ‼』でした。銀橋をスターさんが歌い踊りながら通っていく迫力ある華やかさに圧倒され、こんな素敵なところがあったのか、と。その年に宝塚音楽学校を受験しました」

 初舞台は2008年、『ME AND MY GIRL』。翌年には阪急電鉄初詣ポスターのモデルに起用され、2011年には星組の選抜メンバー6名とウォーキングシューズのコマーシャルにも出演した。同年4月、『ノバ・ボサ・ノバ』で新人公演初主演を果たす。その時の同時上演作が『めぐり会いは再び』だった。今回の続編では麻央侑希さんが役者ルナールに扮して幕開けに登場し、先輩役者のクラウスと台詞を交わしながら銀橋を渡る。物語の大事な導入部分を担当するのだ。

「ルナールはキャラクターがはっきり描かれています。一つ一つの芝居を丁寧に演じ、お客様にきちんとお伝えできるよう、心がけています」

『めぐり会いは再び2nd~Star Bride~』の新人公演で麻央侑希さんが演じるのは、劇作家エルモクラート。本役は真風涼帆だ。「初演では旅芸人に扮し、脚本の続きを書いてくれるようにエルモクラートさんを追いかけ回しました(笑)。今回エルモクラート役を演じるにあたり、そのときの気持ちを思い出して役づくりの参考にしています」

 今回は新人公演も2本立て。『Étoile de TAKARAZUKA』新人公演では真風涼帆の場面を踊ることが多い。が、かに座としし座の場面では、トップスター柚希礼音が踊るヘラクレス役が与えられた。雑誌『歌劇』のレビュー座談会にも初登場し、「緊張しましたが、すごくうれしかったです。発言したとおり、責任を持ってやらなければと思っています」

 2013年3月19日から巨匠リチャード・ロジャースの名曲に満ちた星組シアター・ドラマシティ公演『南太平洋』に出演する。主演は専科の轟悠。「憧れのブロードウェイ・ミュージカルに出演でき、幸せです。メンバーの一員として舞台にしっかり貢献できるよう、心してお稽古します」

 いつのまにか、下級生をひっぱる立場になった。「そうなんです、あっという間に。この間も上級生に、私は宝塚ファン歴が短いという話を聞いていただいていたら、それは甘えだよとご指摘頂き、確かにそうだな、と。今からファン歴を積み上げることをやればいい、舞台をたくさん観て先輩たちの魅力をどんどん見つけ、自分のものにしていけばいいと。その日を境に意識が変わりました」

 下級生と呼ばれる時期は終った。大事なことは、あす何をするかではなく、今日なにをするかである、と麻央侑希さんの輝く目が語っている。

麻央 侑希さん

2008年『ME AND MY GIRL』で初舞台、星組に配属。11年『ノバ・ボサ・ノバ』で新人公演初主演。
出身/神奈川県 愛称・ゆっこ、ゆきじ

インタビュアー 名取千里(なとりちさと)
ティーオーエー、現代文化研究会事務局/宝NPOセンター理事主な編著書「タカラヅカ・フェニックス」(あさひ高速印刷)「タカラヅカ・ベルエポックI・II」(神戸新聞総合出版センター)/「仕事も結婚も」 (恒友出版)
宝塚の情報誌ウィズたからづか

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