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星組 十碧 れいや

11月16日から12月15日まで上演中の星組・宝塚大劇場公演は、日本の芸能の原点、能楽を取り入れ構成した舞踊ファンタジー『宝塚ジャポニズム~序破急~』と、昨年星組で公演し好評を博したミュージカルの続編『めぐり会いは再び 2nd ~Star Bride~』と、グランド・レビュー『Étoile de TAKARAZUKA』の豪華三本立て。 来年4月台湾公演が決定した充実の星組、若手スター十碧れいやが身長を生かした伸びやかなダンスで舞台を盛り上げる。

今年最後の舞台は日本物、ミュージカル、ショー。幕開きは粋な若衆姿を披露

 今年、宝塚大劇場公演の掉尾を飾るのは星組による『宝塚ジャポニズム~序破急〜』『めぐり会いは再び2nd~Star Bride〜』『Étoile de TAKARAZUKA』の3本立てだ。通常はミュージカル、つまり宝塚歌劇でいうところの「お芝居」と「レビュー」の2本立てだから、3本立ては1本の時間が短くなるとはいえ、楽しみが増える。
 しかも、今公演では研7までの生徒で本公演どおりに行われる新人公演も、ミュージカル『めぐり会いは再び2nd』とレビュー『Étoile de TAKARAZUKA』の2本立てなのだ。

 研6の十碧れいやさんが、その新人公演『めぐり会いは再び』に初主演することになった。
 「主演と分かった時は、うれしすぎて涙が出てきてしまいました。でも冷静になって考えると、私にできるだろうか、どうしよう、と」

 幼稚園の時からバレエを習っていた十碧れいやさんの、小さい頃の夢はバレリーナ。スポーツは部活動もしたことがなかった。叔母に連れられて宝塚大劇場で初めて観た宝塚歌劇、宙組『ファントム』が将来を変えた。

 「気がついたら前のめりで観ていました。出演者の皆さんがキラキラ光っていた。劇場空間の密度の濃さ、一体感。高校1年で宝塚受験を決めたときは、ここに立ちたいという思い以外、何も考えませんでした。普段はのんびり型ですが、やりたい、と思ったら、ガッと突き進むタイプです」

 難関の宝塚音楽学校受験は1度で合格。音楽学校時代のことはすべて印象に残っている。十碧れいやさんたちの93期生の初舞台は、ラインダンスのほかに楽器演奏も披露したため、身長の高い十碧れいやさんはスルドという大太鼓を肩から吊るして1日中練習に明け暮れた。初舞台が無事に終わった研1の9月、日生劇場公演『Kean(キーン)』で初台詞を言った。「一言、『入院しています』だけでしたが、ものすごく緊張しました」

 それから6年。今年、星組では主要な中堅スターが数人、組替えや退団で星組を去り、下級生の出番が増えた。「1年前には群舞の後方の列にいたのに、今は前列に近いところで踊らせていただいて。組の皆さんが言われる通り、本公演での責任が重くなったと感じています」

 11月16日に初日を迎える『めぐり会いは再び2nd』で十碧れいやさんが演じるのは、2011年に星組で上演し好評を博した『めぐり会いは再び』と同じコクマ役だ。だが今公演は前回から1年後という設定。紆余曲折があり、コクマはアジス王子ではなくコレットの従者である。「前回、アジス王子様とコレット様がいい感じになって終ったので、そのままコレット様の従者に」というわけで、時間の経過と共に物語も発展している。

 3作品の最初は日本物ショー『宝塚ジャポニズム〜序破急〜』で幕が開く。星組では2010年10月『宝塚花の踊り絵巻―秋の踊り—』以来となる日本物ショーだ。幕開きの場面で後方にいる5人の若衆のセンターに立っているのが十碧れいやさん。

 「若衆の踊りは中性的な舞いです。美しく妖艶に踊れるように上級生を見てお稽古しています。日本舞踊は動きがしなやかで、ゆっくり。やはり上級生は動きと動きの間を埋めるのがお上手です」

 ラストがレビュー『Étoile de TAKARAZUKA』。この新人公演で十碧れいやさんは、男役スター紅ゆずるの場面をいくつか踊るが、ラスト近くの1場面にかぎり、トップスター柚希礼音のアクエリアスオムSを踊る。「お稽古場でも、真ん中に立つかたのエネルギーを実感しています。舞台の空間を埋める集中力、目力に圧倒されます」

 新人公演初主演の十碧れいやさん自身、ますます熱い視線を集めるスターになっていく。
 「ふだんものんびりしていますが、お稽古場でもあまり焦ることがないんです。これからも私らしくコツコツやっていきたいなと思います」

 宝塚が好きという気持ちと、どういうことをやりたいかという夢をもつこと。宝塚受験生に向けての助言をお聞きすると、迷いのない言葉がスラスラ飛び出した。
 

十碧 れいやさん

2007年『シークレット・ハンター』で初舞台、星組に配属。12年『ダンサ セレナータ』新人公演でホアキン役を演じ好評を得る。
出身/愛知県 愛称・れな、ポコちゃん

インタビュアー 名取千里(なとりちさと)
ティーオーエー、現代文化研究会事務局/宝NPOセンター理事主な編著書「タカラヅカ・フェニックス」(あさひ高速印刷)「タカラヅカ・ベルエポックI・II」(神戸新聞総合出版センター)/「仕事も結婚も」 (恒友出版)
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