8月27日まで上演中の花組・宝塚大劇場公演は、世界中で愛され続けている「星の王子様」の作者で飛行家でもあるサン・テグジュペリを描いたファンタジックなミュージカル『サン=テグジュペリ』と、ラテンの世界をテーマにした情熱的なショー『CONGA‼』の2本立て。 立ち姿の美しい花組若手スター大河凜、長い手足の先まで気持ちを込めて、真夏の舞台を熱く盛り上げる。
炎暑の7月27日から8月27日まで、宝塚大劇場では花組によるミュージカル・ファンタジー『サン=テグジュペリ』—「星の王子さま」になった操縦士(パイロット)—と、ショー、ラテン・パッショネイト『CONGA‼』の2作品を上演中だ。
世界中の大人と子どもに読まれ続けている童話「星の王子さま」の作者で飛行家・小説家のアントワーヌ・ド・サン=テグジュペリの生涯を、彼の代表作「星の王子さま」の世界を絡めて描いたミュージカル『サン=テグジュペリ』は、7月上旬、熱い稽古を繰り広げていた。
「私が演じる航空機関士リゲルは23歳くらいの設定なので、フレッシュに演じたいです」と、お稽古中の大河凜さんが話してくれる。2007年に初舞台を踏んだ若手の男役スター。大阪府池田市出身。小学生の時に宝塚歌劇を初めて観劇し、「ここに入りたい」と思ったという。「当時、私がバレエを習っていた先生が宝塚出身のかたで、宝塚音楽学校受験を勧めてくださいました」
因みに、初観劇の演目は雪組公演『猛き黄金の国』『パッサージュ』。男役になりたかったが、受験時の身長は164センチ。だから最初は娘役の卵だった。けれども忽ち身長がのびて、予科の中途で男役に。「男役は、ふだんの自分にはできないことができます。今、貴重な経験をさせていただいていると思うので、男役になってよかったです。歌うことが好きなので受験すると決めてから習いに行きました。娘役の声で歌っていたときの成績はよくなかったのに、男役として歌うと、だんだん自分が表現したいと思う歌い方ができるようになりました」
入団して3年目に『外伝ベルサイユのばら—アンドレ編—』で幼少時代のアンドレ役に抜擢された。新人公演でも男装の麗人オスカル役を得た大河凜さんは、「この時の経験で気持ちが大きく切り替わり、お芝居することも歌うこともさらに大好きになりました。毎日、舞台に立つことが楽しいんです」
幼少時代のアンドレ役では幼馴染の小さなマリーズとデュエットした。また新人公演のオスカル役は、演じる楽しさを大河凜さんに教えた。そして2011年2月、『愛のプレリュード』新人公演で初主演を果たした大河凜さんは、同年7月、『ファントム』新人公演のフィリップ・ドゥ・シャンドン伯爵、2012年1月、『復活』新人公演のシェンボックなどを演じ、自身のもつ華やかな明るさに裏打ちされた、確かな存在感で観客を魅了した。
今夏、『サン=テグジュペリ』新人公演で大河凜さんが演じるのは、飛行家アンリ・ギヨメ。主役のサン=テックスと相思相愛といえるほど仲のいいライバル役だ。本公演のギヨメは、『復活』でシェンボックを演じた花組2番手の壮一帆。「主人公のサン=テックスを演じていらっしゃる蘭寿とむさんは、熱い思いを抱きしめている、1本筋が通った役柄がすごくお似合いです。壮さんは豊かな表現力で独特の世界を創られていて、私自身のお稽古を忘れて見入ってしまいます」
火傷するほど熱いショー『CONGA‼』では、黒塗りの化粧をした大河凜さんに出会える。赤や濃茶の、黒塗りに映える衣装をつけ、足裏が地面を感じるかのようにリズムを刻む大河凜さん。フィナーレにつきものの、大階段での男役たちによるダンスは、紫色の変わり燕尾だ。「踊ることは大好き」という大河凜さん。手先、足先まで神経の行き届いた大河凜さんのダンスに酔いしれたい夏だ。
2007年『シークレット・ハンター』で初舞台、花組に配属。
2011年『愛のプレリュード』で新人公演初主演。
出身/大阪府 愛称・がりん、しずか