写真集 伊藤誠の眼 〈個人的写真的時代史1958〜2006〉

発行2007年11月1日発行
著者伊藤誠
表紙デザイン山本みどり

印刷・製本あさひ高速印刷株式会社
TEL 06-6448-7521
152ページ並製本(雁垂れ)
210mm×210mm

8歳の眼から始まる写真集「伊藤誠の眼」。自身が子どもの頃、撮影した写真を収めた珍しい写真集でもある。全作品147点がネガフィルムのようにデザインされた表紙もユニークで目を惹く。

幼い頃から父親の影響でカメラを持ったという伊藤さんは昭和30〜40年代の今では懐かしい風景をフィルムに収め、子どもながらもそこに「時代の空気」を写し取っている。
モノクロから始まり、カラーへと移る昭和33年から平成18年は写真集のサブタイトルにもあるように個人的ではあるが、それを超えた時代史の感があり、ノスタルジーを感じるだけではなく、写真が語る時代が見えて来るようでもある。
伊藤さんは写真集を作製するに当ってこれまで撮りためたネガ・スライド・プリント約22,000コマから147点にしぼり、8歳から56歳までに区分して、その時代の出来事を写真に添えた。「大阪市電廃止の日」の一枚が収められている「19歳の眼」には東大安田講堂封鎖解除やベ平連の新宿駅西口広場反戦フォークソング集会に7000人・・・など昭和44年の主な出来事が添えられている。「45歳の眼」に記録されている阪神大震災直後を写した写真からは無言のメッセージが伝わる。
あとがきでこの写真集は「撮影者自身の記録、それ以上でも以下でもない」という伊藤さんだが、記録は立派な作品ではないかと思えてくる1冊である。
ソフトカバーながらモノクロ61点、カラー86点、全作品を配した表紙からも思いが伝わってくる写真集だ。

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