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宙組 未涼 亜希

2011年の幕開きを飾る雪組宝塚大劇場公演は、世界で最も知られている永遠の純愛物語をミュージカル化した『ロミオとジュリエット』を、1月31日まで上演。 花組で男役に磨きをかけてきた未涼亜希、雪組に異動後、確かな実力で、新生雪組の華やかな舞台を引っ張る。

ロミオの親友ベンヴォーリオを 新生雪組で演じ存在感を増す

1月31日まで宝塚大劇場で上演中の新生雪組披露公演『ロミオとジュリエット』に、未涼亜希さんがベンヴォーリオ役で出演している。花組から雪組に異動して初めての舞台である。未涼亜希さんは1998年4月、新たに組織された宙組のお披露目公演『シトラスの風』で初舞台を踏み、翌年花組に配属後、昨年10月までずっと花組で活躍してきた。もちろん生え抜きだからといって組替えに無縁ではないのだが、未涼亜希さんご自身も「正直なところ、自分はこのまま花組にいると思い込んでいました」と言うほど、まさか、の組替えで雪組の未涼亜希が誕生した。そして、この思いがけない異動を未涼亜希さんは、自分にとっての大きな転機と受け止めている。
 
「甘やかすと成長が止まってしまいます。花組での毎日が楽しければ楽しいほど、自分には何か刺激的な変化が必要だと感じていました。今回の組替えがそれだったのかと。花組を離れるのはすごく寂しいけれども、雪組が自分を必要としてくれるのであれば、私にとってありがたいことだと思いました」
 
男役を学び、磨いてきた花組時代。2度の新人公演主演、宝塚巴里祭主演の実績があり、大作『虞美人』での張良役が絶賛されたほどの実力派。因みに花組では8人いた上級生が、雪組では組長一人だけになった。未涼亜希さんにかかる期待は当然、大きい。

 「周りのかたからそういう言葉をお聞きし、頭では理解しているつもりですが、全部,真に受けてしまうと自分で自分にプレッシャーを与えてしまうことになるので、今の自分に出来ることを精一杯やるしかありません。下級生をひっぱっていく責任も重々感じていますが、まだ雪組がどういう組か、全部はわかっていない状態。雪組が積み重ねてきたものを理解せずにやってもうまくいくはずがないので、自分自身がここで何をするべきか、きちんと見つめて、自分を甘やかさずにやっていきます。でも雪組は組替えしてきた人にあたたかいので、また甘えちゃいけないなと思っているところです」 遊びに来たのでも、友達を増やすために来たのでもないのですから、と明確に言い切る潔さが、すごく魅力的な人だ。

 新生雪組が放つ新しい光の束に期待が高まる1月1日、ウィリアム・シェイクスピアの不朽の名作を新たにミュージカル化し、2001年のフランス初演以来、今も各国で上演され続けている斬新な大ヒットミュージカル『ロミオとジュリエット』の宝塚歌劇版が初日の幕を上げた。「ベンヴォーリオはロミオの親友。幼馴染の三人組のうち、最後まで生き残ります。2幕ではジュリエットが死んだことをロミオに伝える役割があり、親友であるがゆえに、どうやって伝えようかと悩む歌があります。ロミオを演じる新トップの音月桂とは同じ84期生。支えるのとはちょっとちがうけれど、親友のことを思って、どうしたらいいのかと悩んだりするのは、同期の思いと重なるところがあるかもしれませんね。大切に演じます」

 雪組の稽古集合日まで、少し休みがあった。旅行が好きな未涼亜希さんはヨーロッパへ。「長い休みは苦手。ずっと家にいると体が痛くなってくるので、外に出たほうが元気になれます(笑)。時期的に『ロミオとジュリエット』の舞台は観られませんでした。でもいつも海外に行っているときは開放感に満ち溢れていて、ある意味、そこで充電できたかな」

 シェイクスピア作品『ロミオとジュリエット』には縁がある。1999年6月、宝塚バウホール花組公演『ロミオとジュリエット’99』に最下級生で出演しているのだ。輝きと落ち着きを纏って咲き誇る未涼亜希さんの活躍に興味が尽きない。

未涼 亜希さん

1998年『シトラスの風』で初舞台、花組に配属。2004年『天使の季節』で新人公演初主演。09年『宝塚巴里祭2009』主演。10年10月付けで雪組に組替え。
大阪府出身/愛称・まっつ

インタビュアー 名取千里(なとりちさと)
ティーオーエー、現代文化研究会事務局/宝NPOセンター理事主な編著書「タカラヅカ・フェニックス」(あさひ高速印刷)「タカラヅカ・ベルエポックI・II」(神戸新聞総合出版センター)/「仕事も結婚も」 (恒友出版)
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